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【おいしい小説】子供の頃にした?『きりこについて』独特過ぎる白玉の食べ方

【おいしい小説】子供の頃にした?『きりこについて』独特過ぎる白玉の食べ方

相当“ぶす”な女の子「きりこ」のお話『きりこについて』

『きりこについて』の主人公は相当“ぶす”な女の子「きりこ」。どのくらい“ぶす”かというと、本文の中で“ぶす”という文字にボールド(太字)がかかるくらい“ぶす”なのです。“ブス”ではなく“ぶす”とひらがな表記にしているところにも、きりこの“ぶす”さ加減が表れているような気がします。

著者の西加奈子が書くのは、“ぶす”なきりこの少女時代から20代半ばまで。かなり意外な結末と想像通りな結末が、ごちゃ混ぜになった様な不思議な本なのです。

小学生きりこの好物「白玉」

きりこが小学生時代にこよなく愛する食べ物が「白玉」です。

【おいしい小説】子供の頃にした?『きりこについて』独特過ぎる白玉の食べ方

どのくらい好きかというのは、給食に白玉が登場した時の説明がすべてを物語っています。

口に含み、噛まずに、舌の下や奥歯と頬の間で慈しみ、五限目が始まる頃まで置いておくことが、きりこにとって至上の喜びであった。

…なんとなく、美しい日本語で書かれていて騙されそうになりますが、きりこの白玉の食べ方、きたない!!
さらに、口の中にある白玉を友だちに見せびらかすなんてことも、やらかしています。

時間が経ってもなお張りを失わない、白玉のエロティックな、舌触り!

って、さすがの表現というか、白玉のエロティックさに、思わず「そうか」と納得しそうになりましたが、これ、自分の子どもがしていたら、確実に叱りつけるヤツだわ!と思いながら読んでいました。

【おいしい小説】子供の頃にした?『きりこについて』独特過ぎる白玉の食べ方

相棒の猫・ラムセス2世との出会いのきっかけが、白玉

きりこは白玉が給食として出たある日、白玉に夢中になり過ぎて、昼休みに皆に「シロツメクサ摘み」をやろうと言おうと思っていたのに、出遅れてしまいます。
きりこが気づいた時には、皆は運動場で「長縄跳び」をしていたのです。
長縄跳びをしている皆に「シロツメクサ摘みやろうや!」(きりこは関西弁です)と言いに行くわけですが、皆は長縄跳びに夢中で聞いてくれません。
そこで、思わず大声を出してしまい、案の定大切な白玉がポンと口から出てしまいます。

うちの可愛い可愛い、白玉……。

と打ちひしがれたきりこは涙をこらえながら、こういうのです。

お墓に埋めたるわな。

そこまで溺愛されているとは!何て幸せな白玉でしょうか。
私なら、落とした白玉のお墓を作るなんて、思いつきもしません。
きたない!とか思って申し訳ない気持ちになりました。
まぁ、その直後、お墓を作ろうと体育館裏に移動したきりこは、後に大切な相棒となる猫の「ラムセス2世」と出会い、

白玉をぽいっと、地面に投げ捨てた。

わけですが。

【おいしい小説】子供の頃にした?『きりこについて』独特過ぎる白玉の食べ方

これは、愛してやまない白玉を投げ捨てることで、ラムセス2世との出会いの衝撃を表現しているのか、ただ単に「大好きな白玉を落としてしまって、かわいそうな自分」の世界から目を醒ましただけなのかは分かりませんが、きりこにとって白玉はかけがえのない相棒と出会うきっかけになった食べ物であることは間違いありません。

その食べ方、そういえばしてたわ!

子どもがしてたら叱る、といいましたが、自分の好きな食べ物をずっと口に含む食べ方って、子どもの頃しませんでしたか?
思い起こせば子どもの頃、私はアーモンドチョコレートのアーモンドをずっと口に含んでいました。
我が家の子どもたちはグミで実行しています。
見つけ次第、注意しますが、いっこうに直る気配はありません。
自分も思い当たる節がありすぎるので、あまり強くも言えないですよね。
今度からは、大好きな食べ物の味をずっと感じていたいんだな、と大きな心で見守っておきます。
そして、もし口からポロリと落としてしまったら、いっしょにお墓を作ってあげようと思います。

Written by フジイ

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