ヤミー!-自己満足 食・文化メディア | ヤミー!(yummy!)は、おいしいが一気に読めちゃう飯テロWEBマガジン!

秘密のお料理代行屋の主人公が謎を解くコージーミステリ 事件の鍵はチリコンカン

コージー・ミステリー『秘密のお料理代行① そのお鍋、押収します!』

コージー・ミステリーという小説のジャンルをご存じでしょうか?ミステリーなので、事件が起こって主人公がそれを解決するのですが、その主人公が「近所のおばちゃん」「好奇心旺盛なおねえさん」だったりするのが特徴です。代表的な作品はアガサ・クリスティーの『ミス・マープル』だといえば、ピンとくる方も多いと思います。暴力的な表現が少なく、恋愛要素や、お料理に絡ませた作品も多いので、気軽に読んで楽しめるジャンルの小説なんです。
そんなコージー・ミステリー作品の一つ、『秘密のお料理代行① そのお鍋、押収します!』では、“秘密のお料理代行”を仕事としている主人公・ライラが、事件に巻き込まれていきます。

“秘密のお料理代行”とは、お客の依頼によって、その人が作ったように見せかけた料理をライラが作り、こっそり納品するケータリング業のこと。そのお客の一人、ペット・グランディに納品した「チリコンカン」が今回の事件のきっかけになります。なんと、「チリコンカン」を食べた女性が急に倒れて死んでしまうのです。自分が作った料理だけど、ペットの名誉のためにそれを明かすことが出来ないライラ。惹かれ合っているイケメンな担当刑事・ジェイにも事実を言えないことに、さらに後ろめたさも感じて…。と、そんな感じでライラはいつの間にか事件解決のために奮闘している、といったストーリーです。

秘密のお料理代行屋さんの主人公が謎を解くコージーミステリ 事件の鍵はチリコンカン

声に出して言いたくなる料理「チリコンカン」

ライラは小説内でいろいろなおいしそうなお料理を作っていますが、やはり事件のきっかけとなった「チリコンカン」が気になります!毒入りは勘弁ですが。

Chirikonkan

「チリコンカン」、その存在は知っていたし、だいぶ以前になんちゃってチリコンカンは作ったこともありましたが、本格的なものはまだ食べたことがありません。そもそもチリコンカンってどこの料理屋さんに行けば食べられるんでしょう。
訳者あとがきによると、チリコンカンは“テキサス生まれのメキシコ料理”だそう。普通に南米の料理なんだろうと思っていた私はびっくりしました。アメリカで生まれたお料理なんですね!“アメリカの国民食”である、チリコンカンは“日本の家庭で作るカレーのようなもの”という説明が、アメリカにおける「チリコンカン」の存在感を分かりやすくしてくれています。

mexican chili con carne

ますます食べたくなるぞ!チリコンカン!

作中、ペットの作るチリコンカンは地域の人みんなを虜にしている、と書かれています。(本当はライラが作っているのですが。)もともと、アメリカ人に絶大なる人気を誇る「チリコンカン」なのに、ライラの作るチリコンカンは、よほど美味しいんでしょうね。うーん、ますます食べたい!

Spicy Homemade Chili Con Carne Soup

実は、巻末にライラのレシピ集が収録されており、もちろんチリコンカンのレシピも掲載されています。おお、作ってみようかなと思ってはみたものの、材料を見て断念。到底、我が家のキッチンにある材料では作れず、材料を揃えるだけですごい出費になりそうです。調理器具にしても、ダッチオーブンとかターキーベイスターとか無いので、どうすればいいんだろうという感じ。
ネットで検索すれば、日本仕様に作りやすくなったチリコンカンのレシピは見つかりますが、やっぱり本場のチリコンカンが食べたい!チリコンカンが食べられるお店を探しても、「チリコンカン風」が多いですし…。
“アメリカの国民食”と言われるほど、あちらではポピュラーなお料理なのに、日本では簡単にその味を楽しめないなんて…本場アメリカの味「チリコンカン」を日本で探す道は、なかなか険しいようです。

Written by フジイ

過去のランキングはこちらから!

関連記事

おしゃれ料理小説『パンとスープとネコ日和』で異彩を放つのは「頭脳パン」

『かもめ食堂』好きにおすすめ・おしゃれ料理小説『パンとスープとネコ日和』

「おしゃれ料理小説」と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、『かもめ食堂』の群ようこさんの作品なので、やはりそんな雰囲気の小説です。ドラマ化の際には、主演が小林聡美さんだったし、安定のもたいまさこさんだったし、映像化してもやはりそんな雰囲気でした。

おしゃれ料理小説『パンとスープとネコ日和』で異彩を放つのは「頭脳パン」

主人公のアキコは53歳。たった一人の身内であった母親を亡くし、勤めていた出版社を退職して母親が長年営んでいた昔ながらの食堂を改装。“ボリュームのあるサンドイッチとスープ、サラダの、オーソドックスなメニュー”を提供する食堂を開店します。タイトルの“ネコ日和”の部分は、飼い猫の「たろ」のことです。アキコは、開店と同時期に拾ったたろを、唯一の家族として迎え入れます。

おしゃれ料理小説『パンとスープとネコ日和』で異彩を放つのは「頭脳パン」

© WOWOW INC.

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』嵐・二宮主演で今秋映画化!映画の前に原作をチェック

二宮和也主演映画化で注目!『料理の鉄人』演出家の小説デビュー作

嵐の二宮和也さん主演で映画化されると話題の小説が『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

あの伝説的人気番組『料理の鉄人』を手掛けた田中経一氏の小説デビュー作だ。

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』は、戦争の混乱の中で消失してしまった200品を超える壮大なコース料理「大日本帝国食彩全席」のレシピをめぐるストーリー。
物語は現代の日本と、第2次世界大戦頃の満州、2つの時代・2つの土地をつないでゆく。

2つの時代の2人の主人公と「大日本帝国食彩全席」

かつて清の始皇帝が宮廷料理人に作らせた“世界で一番スケールの大きなコース料理”が「満漢全席」と呼ばれていた。
第二次世界大戦の時代、日本の威厳を示すことを目的として、その「満漢全席」を超えるコース料理を作れと命じられたのが1人目の主人公・西島秀俊さん演じる山形直太朗
彼は絶対味覚、つまり“麒麟の舌”を持つ料理人で、天皇の料理番を勤めていた男だった。
この命令により山形は、「大日本帝国食彩全席」制作に専念するため単身満州へと渡り、その生活全てを捧げて13年の年月をかけてレシピを開発することとなる。

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

一方、二宮和也さん演じるのは現代日本に生きる2人目の主人公・佐々木充
彼もまた“麒麟の舌”を持ち、どんな料理でも再現してみせる特技を持っているのだが、料理に情は不要、技術の鍛錬こそが必要だという考えで、料理への情熱を失ってしまっていた。
佐々木は、依頼人が人生最後に食べたい物を再現して高額の報酬を得る「最期の料理人」として働いていたが、その再現能力を聞きつけた男に、消失してしまっていた「大日本帝国食彩全席」レシピの再現を依頼される。

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

自意識過剰な主人公に共感できる?西加奈子「うつくしい人」

今回取り上げるのは、以前紹介した『きりこについて』に続いて、西加奈子さんの作品です。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

『うつくしい人』は32歳の蒔田百合という女性が主人公。
百合は自意識過剰な性格で、常に他人の目に対して怯えながら過ごしています。
「他人から見て、自分はどう見えるか」が物事を決める尺度となっていて、歴代の彼氏も「連れていて自慢できるかそうでないか」が決め手でした。
学生時代には嫌いではない(むしろ好きだった?)クラスメートへのいじめに加担していて、その過去が百合の心の暗い闇の原因となっています。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

このように「好きでも無い彼氏と付き合う」「嫌いではないクラスメートをいじめる」など、自分の意志ではなく「他人の目」を基準に生きていくようになった理由の大きな存在が「姉」です。

百合の「姉」はとても「うつくしい人」であり、純真無垢な女性です。
純真無垢すぎて、学生の頃のある事件を皮切りに人間関係につまずき、ずっと「ひきこもり」をしています。
しかし、ひきこもりとなった今でも、姉は美しく、やさしく、やはり純真無垢なまま存在しています。

他人の目を気にしなさ過ぎて社会生活を送れない姉を反面教師のようにして、他人の目を気にすることで自分を守ってきたつもりだった百合でしたが、あることがきっかけでとうとう職場で急に泣きだしてしまいます。
それほどに、自らを他人の視線から追い込んでしまっていたのでした。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

突然泣き出すという醜態をさらしてしまった百合は、一人旅に出ます。
この旅立ちの場面では、百合の病的なまでの自意識の描写が読んでいて辛いほどです。
しかし、百合はこの旅行でとあることに気づき、大きな変化を遂げるのです。

百合を潤す唯一の存在、それがビール

ホテルについた百合は、ホテルのバーへ行きます。
そこで、ちょっと失礼でうだつの上がらないバーテンの坂崎と謎のドイツ人マティアスと出会います。
この二人が、百合の救世主となるわけですが、ここで注目したいのが「ビール」です。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

この小説は主人公である百合の語りで物語が進んでいきます。
先ほど書いたように、百合は他人の目を非常に気にします。
あの人にとって自分はこう見えているのではないかという考えはもちろんのこと、あの人、本当はこの仕事がしたくないのではないかという、少々余計なお世話なことまで考えています。
つまり、百合の頭の中は他人と自分のことでいっぱいなのです。

しかし、ビールを飲む瞬間はその百合の頭の中の独白がスっと消えているような感覚を覚えるのです。
つまり、何も考えていない、素の自分が出ているような感覚です。
このホテルの場面以外にもビールを飲むシーンは何度かあるのですが、特に前半の百合がまだ苦しんでいる時にすら、そのように感じました。
重苦しい世界の中、ビールだけが軽やかに百合の喉を潤しているような印象でした。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

百合はお金持ちのお嬢様で、身に着けている物はすべて一流です。
歴代の彼氏も外車を乗り回しているようなタイプばかり。
そんな百合がバーであえて「ビール」を自然にオーダーしていることから、そのような印象を持ったのかもしれません。
だって、お嬢様ならシャンパンとか何だかおしゃれな飲み物を頼みそうだと思いませんか?

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

きっと、「大好きなビールを飲みたい」と思う、百合自身の隠れていた意志が自然と出ていたシーンだったのでしょう。
好きな飲み物(特にお酒!)を前に、自分を偽ることなど出来ませんものね。

Written by フジイ

このライターの他の記事は こちら から!

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

京都最強と言われるパン屋「たま木亭」

強豪ひしめく京都のパン屋の中で、ナンバーワンの呼び声高いお店が「たま木亭」です。

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

宇治市にあるこの「たま木亭」には、おいしいパンを求めて京都のみならず、府外からもお客さんが訪れるため、店の前にはいつも行列が出来ています。
そのずっと気になっていた「たま木亭」に、家族総出で行って参りました。

私たちが訪れた時にも、駐車場には他府県ナンバーの車がずらりと並んでいました。
幸運なことに、お店の前の駐車場が空いていたので停められましたが、たま木亭の駐車場は近隣に散らばって30台分もありますので、運が悪いとちょっと離れた所に止めることになります。
すべてはタイミングですね。
しかし、やはりお店の前には列が出来ていて、子連れにはなかなか厳しい状態でした。

たま木亭

photo by Richard Murdey

優柔不断一家にはハードルが高かった…

列は外にまで延びているわけですから、店内もずらりとお客さんが一列に並んでいます。
つまり、逆走がしにくい状況になっています。
「やっぱさっきのパンが欲しい」と思っても、なかなか戻りにくい。
もちろん、戻って取りに来るお客さんもいましたが少数でした。
ネットなどで予習をしてから、ある程度目星をつけていくことをおすすめします。

我が家は長女を筆頭に優柔不断なので、いつもパン屋に行くと店内を5周くらいはうろつきます。
しかし、今回はそんなに悩む暇がないので「気になったパンがあったら、それにしてしまう。1人2個まで。」という決まり事をつくり、挑みました。
たぶん、お店の滞在時間がこれまでで最短だったんじゃないかな…。

せっかくなので外で食べます

たま木亭の真正面には、「京都大学宇治キャンパス」があります。
おしゃれな建物と、広い芝生が素敵なキャンパスです。
たま木亭でパンを買った家族連れが何組か芝生の上でピクニックを楽しんでいました。
ものすごく惹かれたのですが、私たちはたま木亭から車で10分ほどの「府立宇治公園」に移動しました。

宇治公園は宇治川の真ん中にある公園で、平等院のすぐそばにあります。
賀茂川のように「とんび」に襲われることもなく、まだ桜も咲いていませんでしたので人も少なく、ゆったりとパンを味わう事が出来ました。

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

たま木亭で購入したのは、「パンシュー」「ブルーベリーの練乳仕立て」「クリームパン」「3種のガレット」「ベーコンハース」「洋風あんぱん」「じゃがジューシー」の7種類。
カレーパンを狙っていた夫ですが、カレーパンはちょうど売り切れていて買えませんでした…。

カレーパン協会で一位になった、たま木亭のカレーパン

たま木亭のパンでまず驚くことが、冷蔵されていた「ブルーベリーの練乳仕立て」以外、すべてまだ暖かかったことです!
こんなことは初めてでした。
たくさんお客さんが来るので、焼き立てパンが常に並んでいる状態なのでしょうね。
ハード系のパンが多いので、冷えると硬くなっているだろうなと思うのですが、どのパンもパリパリフワフワで食べやすかったです!

そして、パンの美味しさ!感動ものです。
「パンシュー」と「ベーコンハース」は大きなベーコンがゴロゴロ入っていて、そのベーコンのジューシーさといったら!
ベーコンの油を吸ったパンの美味しさといったら!思い出すだけでたまりません。

パンシュー たま木亭のスペシャリテ うますぎる!! #たま木亭 #パンシュー  仲田

たま木亭さん(@tamakitei)がシェアした投稿 –

そして定番の「クリームパン」。これまで食べたことのない食感と、程よく濃いクリームの味が絶妙のバランスでした。
「洋風あんぱん」も同様に、やはりパンとあんこのバランスが素晴らしかったです。

我が家で栄えあるベストワンに選ばれたのが「じゃがジューシー」!じゃがいもとバター醤油がパンに溶け込んで、なんとも至福な味わいでした。

正直言うと、並ぶのが苦手なのでパンを食べるまでは「もう来ないかな」と思っていました。
しかし、パンを食べると「帰りにも寄って帰ろうか?」と本気で考えるほどにハマってしまいました。
きっと、また車を走らせ、行列に並んで買いに行くことでしょう。それくらい、最高においしいパン屋さんでした。

Written by フジイ

このライターの他の記事は こちら から!

ページトップ