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西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

自意識過剰な主人公に共感できる?西加奈子「うつくしい人」

今回取り上げるのは、以前紹介した『きりこについて』に続いて、西加奈子さんの作品です。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

『うつくしい人』は32歳の蒔田百合という女性が主人公。
百合は自意識過剰な性格で、常に他人の目に対して怯えながら過ごしています。
「他人から見て、自分はどう見えるか」が物事を決める尺度となっていて、歴代の彼氏も「連れていて自慢できるかそうでないか」が決め手でした。
学生時代には嫌いではない(むしろ好きだった?)クラスメートへのいじめに加担していて、その過去が百合の心の暗い闇の原因となっています。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

このように「好きでも無い彼氏と付き合う」「嫌いではないクラスメートをいじめる」など、自分の意志ではなく「他人の目」を基準に生きていくようになった理由の大きな存在が「姉」です。

百合の「姉」はとても「うつくしい人」であり、純真無垢な女性です。
純真無垢すぎて、学生の頃のある事件を皮切りに人間関係につまずき、ずっと「ひきこもり」をしています。
しかし、ひきこもりとなった今でも、姉は美しく、やさしく、やはり純真無垢なまま存在しています。

他人の目を気にしなさ過ぎて社会生活を送れない姉を反面教師のようにして、他人の目を気にすることで自分を守ってきたつもりだった百合でしたが、あることがきっかけでとうとう職場で急に泣きだしてしまいます。
それほどに、自らを他人の視線から追い込んでしまっていたのでした。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

突然泣き出すという醜態をさらしてしまった百合は、一人旅に出ます。
この旅立ちの場面では、百合の病的なまでの自意識の描写が読んでいて辛いほどです。
しかし、百合はこの旅行でとあることに気づき、大きな変化を遂げるのです。

百合を潤す唯一の存在、それがビール

ホテルについた百合は、ホテルのバーへ行きます。
そこで、ちょっと失礼でうだつの上がらないバーテンの坂崎と謎のドイツ人マティアスと出会います。
この二人が、百合の救世主となるわけですが、ここで注目したいのが「ビール」です。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

この小説は主人公である百合の語りで物語が進んでいきます。
先ほど書いたように、百合は他人の目を非常に気にします。
あの人にとって自分はこう見えているのではないかという考えはもちろんのこと、あの人、本当はこの仕事がしたくないのではないかという、少々余計なお世話なことまで考えています。
つまり、百合の頭の中は他人と自分のことでいっぱいなのです。

しかし、ビールを飲む瞬間はその百合の頭の中の独白がスっと消えているような感覚を覚えるのです。
つまり、何も考えていない、素の自分が出ているような感覚です。
このホテルの場面以外にもビールを飲むシーンは何度かあるのですが、特に前半の百合がまだ苦しんでいる時にすら、そのように感じました。
重苦しい世界の中、ビールだけが軽やかに百合の喉を潤しているような印象でした。

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

百合はお金持ちのお嬢様で、身に着けている物はすべて一流です。
歴代の彼氏も外車を乗り回しているようなタイプばかり。
そんな百合がバーであえて「ビール」を自然にオーダーしていることから、そのような印象を持ったのかもしれません。
だって、お嬢様ならシャンパンとか何だかおしゃれな飲み物を頼みそうだと思いませんか?

西加奈子『うつくしい人』 他人の目を気にすることに疲れてしまったあなたへ

きっと、「大好きなビールを飲みたい」と思う、百合自身の隠れていた意志が自然と出ていたシーンだったのでしょう。
好きな飲み物(特にお酒!)を前に、自分を偽ることなど出来ませんものね。

Written by フジイ

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© WOWOW INC.

「同じ味わいのビールは無い!?」種類豊富なベルギービールの歴史【W杯日本代表お疲れさまでした!】

サッカー、日本vs ベルギーとても良い試合でした。

普段あまりサッカーを見る事はないのですが、今回は特殊な条件下であまり前向きではない空気の中、すばらしい戦績と成績を残してくれたことにただ感謝したい気分です!

それで先日、「ベルギービールというビールがあったなぁ、普通のビールと何が違うのだろう」と思ったので、帰りにスーパーで買ってみました。

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可愛いネコちゃんに目が行きます

いただきます。

 

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通常のビールより色が薄いです。試しに飲んでみると見た目同様非常にあっさりしています。

それに加えどこか風味のよいフルーティな味覚が…、そして苦味が少ないので飲みやすいです。

こちらのビールはベルジャンホワイトビアスタイルと呼ばれるビールで

特徴は芽が生える前の小麦を使うことで、その小麦のタンパク質と酵母の影響で

ビールが白く濁ることから「ホワイト」と呼ばれています。

また、コリアンダーやオレンジピールで香りづけがされているのも特徴です、

それが清涼感のある味わいに繋がっているのだと思います。

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ところがこのベルギービール、実は味、色、香りからアルコール度数に至るまで

「同じ味わいのビールはない」と言われるほどバラエティに富んでいます。

僕の飲んだこのボールも数あるベルギービールのうちの一つにしか過ぎないみたいです。

色々なビールを飲みたい人からしたら天国のような国ですね。

 

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また銘柄ごとに独自の形をした専用グラスが多い事も特徴でこの専用グラスの違いで味わいに歴然の差がでると言われているとまで言われています。

そんなものをプラスチックコップで飲んでしまいました、ごめんなさい。

 

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ベルギーでビールが飲まれていた歴史をさかのぼって見ると紀元前50年、今から約2080年前、かの有名なカエサルのベルギー遠征の際にはすでに各地で飲まれていたようです。

それから約1300年後、フランスの13代王ジャン1世がビール作りを推奨したことでベルギービール製造はさらに発展していきました。

ビールの多様性を生んだ背景は国の緯度が高く、良質な葡萄がとれずワインは発達しなかった事。

自然発酵製法(ランビック)に向く好条件が揃っていたこと。ドイツやチェコほどの良質なホップが取れず、ハーブやスパイス、フルーツを使用した醸造法が受け継がれていたことがあげられます。

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これだけ種類が豊富なベルギービール。自分に合ったお気に入りを見つけた悦びはまたひとしおです。

少し大きめなスーパー、酒屋さんでならば意外と売っていて気軽に購入するコトが出来ます。

まだまだ続くワールドカップ、お気に入りのビールを片手に応援…なんていうのもオツなものかもしれません。

そして日本代表の皆様、このたびは素敵な時間を共有させていただき誠にありがとうございました!

Written by tori

【餃子注意】下北沢の餃子を食べ尽くせ!

東京・世田谷区は下北沢。
本多劇場をはじめとした数々の劇場、多くのライブハウス、点在する古着屋や雑貨店、そして無数の居酒屋・カフェ・バー…様々な食と文化が入り混じる、まさにヤミー!な街。
この街で行われる「餃子の旅」へのお誘いを受けたので、嬉々として行ってきました!

メンバーは20~30代の女3人。
ルールは簡単。各店でストイックに餃子のみを食べて、できるだけ多くの店舗を巡ること。(もちろんビール付き。)好きなものを食べていいのは最後の店だけ、というもの。

1店舗目:第三新生丸

まずは、今回の旅の参加者中最年少かつエンゲル係数の高さNO.1が選んだ居酒屋・第三新生丸へ…こちらは八丈島の食材をふんだんに使ったお料理が自慢のお店。 早速生ビール!と、焼餃子を注文!

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羽根!!!!!!

こちらの餃子、もう言っちゃいますけどこの日3人の一番の評価を叩き出した逸品。
餃子ひとつひとつが大きくて、皮はモチモチ厚くて、焼けた底がパリッパリ。タネはじゅわーーっとジューシーかつ肉感がっつり、パンチの効いた強気なニンニクのバランスが余りにもばっちり。青ネギとゴマが入った餃子のタレがついてくるのですが、これがまた絶品!餃子との相性が抜群なのでした。
3人で食べながら、「最高OF最高」「人生ナンバーワン餃子」といった言葉が飛び交いました。本当に全くその通りなのです。

それにしても何故一軒目を居酒屋にしてしまったのか…誘惑が多すぎる…
早速ルールを「おなかに溜まらないものなら1品は頼んで良い」と変更することに。意志が弱いってこういうことです。
結局「鯵のなめろう」を頼んで、ビールもお代わりする始末。しかもこのなめろうが!叩きたての鯵にしょうがと葱がたっぷり。お酢をつけて食べると味が変わっておいしいよ、というアドバイスに従ってみると、あまりの感動に大声が出るほど。いっそこのままここで飲もうよ、という誘惑を涙を飲んで断ち切って、お会計。

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

世界の旅ごはんレポート、はじめます♪

はじめまして! 旅と暮らしを料理でつなぐウェブよみもの『旅のあと ふたりのレシピ』を主宰する、旅行ライターのゆさ みずあと申します。
現在は、薬膳やカラーの発想を取り入れながら食卓をつくる、フードディレクターとしても活動しています。

自他ともに認める食いしん坊、そして旅好きの私。
週末や長期休暇のたびに、おいしいもの(とお酒)を求めて国内外へ旅に出かける日々…。
そんな旅先で見つけたさまざまなおいしいものを「世界の旅ごはんレポート」シリーズとして紹介していきたいと思います。

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

バリ島・ウブドではじめてのバビグリン体験

先日、夫とふたりでバリ島旅行をしてきました。
最初に訪れたウブドで出合ったのが、名物グルメの「バビグリン」です。
バビグリンとは、豚の丸焼きのこと。
島民のほとんどが信仰するヒンドゥー教のお祭りでも欠かせない、ポピュラーな料理です。

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

ウブドにはバビグリンを食べられるお店がたくさんありますが、いちばんの有名店は「IBU OKA(イブオカ)」
ウブド王宮の周辺に1~3号店があり、食事どきにはどこも満席&行列ができるほどの人気があります。

バビグリン専門店、IBU OKA3号店へ

大通りから少し奥まったところにある3号店に行ってみることにしました。
進むのが不安になるような、細い路地を歩いていくと…お店の看板を発見!

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

バリらしく、開放感のある素敵な空間です。
入り口からは想像できないほど広い店内に、テーブルがたくさん並んでいます。

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

私たちは、目の前に緑が広がるオープンエアーのカウンター席をチョイスしました。
まずは定番のビンタンビールで喉をうるおします♪

バリ島・ウブドのローカルグルメ!バビグリン専門店へ行ってみた【世界の旅ごはん】

観光客も多いこちらのお店では、写真つきの英語メニューを見ながら注文できます。
豚のさまざまな部位が味わえる「バビグリンスペシャル」をオーダーしてみました。

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』嵐・二宮主演で今秋映画化!映画の前に原作をチェック

二宮和也主演映画化で注目!『料理の鉄人』演出家の小説デビュー作

嵐の二宮和也さん主演で映画化されると話題の小説が『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

あの伝説的人気番組『料理の鉄人』を手掛けた田中経一氏の小説デビュー作だ。

『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』は、戦争の混乱の中で消失してしまった200品を超える壮大なコース料理「大日本帝国食彩全席」のレシピをめぐるストーリー。
物語は現代の日本と、第2次世界大戦頃の満州、2つの時代・2つの土地をつないでゆく。

2つの時代の2人の主人公と「大日本帝国食彩全席」

かつて清の始皇帝が宮廷料理人に作らせた“世界で一番スケールの大きなコース料理”が「満漢全席」と呼ばれていた。
第二次世界大戦の時代、日本の威厳を示すことを目的として、その「満漢全席」を超えるコース料理を作れと命じられたのが1人目の主人公・西島秀俊さん演じる山形直太朗
彼は絶対味覚、つまり“麒麟の舌”を持つ料理人で、天皇の料理番を勤めていた男だった。
この命令により山形は、「大日本帝国食彩全席」制作に専念するため単身満州へと渡り、その生活全てを捧げて13年の年月をかけてレシピを開発することとなる。

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

一方、二宮和也さん演じるのは現代日本に生きる2人目の主人公・佐々木充
彼もまた“麒麟の舌”を持ち、どんな料理でも再現してみせる特技を持っているのだが、料理に情は不要、技術の鍛錬こそが必要だという考えで、料理への情熱を失ってしまっていた。
佐々木は、依頼人が人生最後に食べたい物を再現して高額の報酬を得る「最期の料理人」として働いていたが、その再現能力を聞きつけた男に、消失してしまっていた「大日本帝国食彩全席」レシピの再現を依頼される。

嵐・二宮主演でこの秋映画化!満漢全席を超える幻のコース料理を巡る陰謀と愛の物語

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

横浜赤レンガ倉庫で行われたフェス GREENROOM FESTIVAL 2017

5月20日、21日に行われた都市型フェス、GREENROOM FESTIVAL 2017
今回は、このお洒落イベントのフェス飯事情を探りに潜入してきました!

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

とにかくお洒落!気分の上がるコーディネートの会場

GREENROOM FESTIVALは、「Save The Beach, Save The Ocean」をコンセプトに、サーフ・ビーチカルチャーをベースとした音楽・アートフェス。
会場も赤レンガ倉庫とあって、音楽を聞きながら横浜の海が望め、時には海風が通る、とっても気持ちのいいロケーションで開催されています。
まさに都市型フェス!といったオシャレ感が満載で、会場内にはいたるところにガーランドやテント、ハンモックなどのフォトスポットが点在しています。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた
オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

まずはビール!超!快晴です。

全体的にメキシカンとカレー多め

早速フェス飯調査に乗り出します!
フェスらしく屋台が基本ですが、どの屋台もなんだかお洒落に感じます。
こんな可愛らしいワゴンのお店も有りました。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

全体的にはタコライス、チリ、カレーなどのメキシカンやスパイシーな料理が多め。
海に寄り添ったフェスらしいラインナップです。

さっそくブルースカイエリアで、先ほど写真に出ていたLunch Stand tipiさんの、タコライス、チリポテト、リングィーサを頼んでみました。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた
オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

このリングィーサというもの、アルファベット表記ではLINGUICA。
リングイカと誤読して、てっきりイカリングだと思ったら、その正体は巨大ソーセージ!
リングィーサとは、ポルトガルやブラジル、ハワイやカリフォルニアで食べられている、豚肉に唐辛子などのスパイスが入った燻製していない生ソーセージなんだそう。
かなりジューシーで食べごたえがあり、ビールの進むお味でした。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

ARAWIGOKITCHENさんでは、パクチーポテトグリーンカレーをいただきました。
グリーンカレーにはチキンがドーン!と乗っていてかなりボリュームたっぷり。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

パクチーポテトは、個人的にはもっとパクチーがモリモリでもよかったかも。。。

ハミングバードエリアでは、かねよ食堂さんの三崎まぐろロースト弁当を!
小梅が乗っているので和な味付けかと思いきや、ソースはスパイシー。
これは意外でした。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

このエリアはとっても立派なツリーハウスがあって、夜のライトアップされた様子はとってもきれいなんです。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

チケットがなくても楽しめるのがGREENROOM FESTIVAL

GREENROOM FESTIVALの会場は、横浜赤レンガ倉庫の店舗エリアと、特設エリアに分かれています。
特設エリアはチケットを購入しないと入れませんが、店舗エリアはチケットがなくても楽しめるようになっています。
サーフマーケットと称して、様々なブランドや店舗がテントで物販コーナーを設けていて、とってもにぎやか。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

我々はこちらのエリアで、なんと崎陽軒のシューマイを発見!
ビールに合うね~とっても合うね~、とおいしくいただきました。
野外で座ってビールを飲みながら青空の下、崎陽軒のシューマイを食べる経験って、めったに出来ないですよね笑

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた
オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

ヤミー!的フードツートップは、燻製勢

今回の調査で、ヤミー!的に最も美味しかったフードを2つ紹介します!
(選考基準は、「ビールに合う」、「スパイシーさに疲れた時によい」となっておりますので、あしからず…)
ひとつめは、J.S. BURGERS CAFÉのスモークターキー

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

ターキーだからこそ、チキンとは違ったハンパじゃない大きさの逸品。
一人では食べ切れそうにないボリュームです。
スモーク加減がちょうどよく、とにかくビールに合いまくります。
他のフードが盛り付けで時間がかかって並ぶなか、スモークターキーは並ばずに変えるところも高ポイントでした。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

ふたつめは、赤レンガ倉庫内のPatagoniaブースで出会った、ワイルド・ソッカイ・サーモン
もともと加熱調理済みのスモークサーモンがパウチになって販売されていて、トルティーヤ・チップスとともに提供されます。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

これが本当に美味しいんです!!!
味付けはシンプルに思えますが、程よい塩味とサーモンの旨味、スモークの絶妙さが完璧なバランスです。
Patagoniaのオリジナルビール、ロング・ルート・エールとともに楽しめば、気分は最高。

Long Root Ale, a new collaboration from @hopworksbeer & @patagoniaprovisions brewed with Kernza Perennial Grain. #patagonia #patagoniabeer #patagoniaprovisions #hopworksurbanbrewery #hopworks #hopworksbeer #hub #kernza #kernzagrain #kernzaperennialgrain #

実はこちらはPatagonia内のキャンプやトラベルに適した食品を製造しているプロビジョンズの商品。
Patagoniaのオンラインストアでも買うことが出来るので、キャンプやピクニック、お花見の時に持っていけば、その日の人気メニューNO.1となること間違いなしです。

オシャレ都市型フェスGREENROOM FES 2017のフェス飯事情探ってみた

今年のGREENROOM FESTIVALでは、たくさんのおいしいフェス飯に出会うことが出来ました。
他のフェスで今回おすすめしたフードを見かけたら、是非食べてみてくださいね。

Written by にゃも

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他にも読みたい!フェス飯・イベント飯他にも読みたい!フェス飯・イベント飯

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

京都最強と言われるパン屋「たま木亭」

強豪ひしめく京都のパン屋の中で、ナンバーワンの呼び声高いお店が「たま木亭」です。

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

宇治市にあるこの「たま木亭」には、おいしいパンを求めて京都のみならず、府外からもお客さんが訪れるため、店の前にはいつも行列が出来ています。
そのずっと気になっていた「たま木亭」に、家族総出で行って参りました。

私たちが訪れた時にも、駐車場には他府県ナンバーの車がずらりと並んでいました。
幸運なことに、お店の前の駐車場が空いていたので停められましたが、たま木亭の駐車場は近隣に散らばって30台分もありますので、運が悪いとちょっと離れた所に止めることになります。
すべてはタイミングですね。
しかし、やはりお店の前には列が出来ていて、子連れにはなかなか厳しい状態でした。

たま木亭

photo by Richard Murdey

優柔不断一家にはハードルが高かった…

列は外にまで延びているわけですから、店内もずらりとお客さんが一列に並んでいます。
つまり、逆走がしにくい状況になっています。
「やっぱさっきのパンが欲しい」と思っても、なかなか戻りにくい。
もちろん、戻って取りに来るお客さんもいましたが少数でした。
ネットなどで予習をしてから、ある程度目星をつけていくことをおすすめします。

我が家は長女を筆頭に優柔不断なので、いつもパン屋に行くと店内を5周くらいはうろつきます。
しかし、今回はそんなに悩む暇がないので「気になったパンがあったら、それにしてしまう。1人2個まで。」という決まり事をつくり、挑みました。
たぶん、お店の滞在時間がこれまでで最短だったんじゃないかな…。

せっかくなので外で食べます

たま木亭の真正面には、「京都大学宇治キャンパス」があります。
おしゃれな建物と、広い芝生が素敵なキャンパスです。
たま木亭でパンを買った家族連れが何組か芝生の上でピクニックを楽しんでいました。
ものすごく惹かれたのですが、私たちはたま木亭から車で10分ほどの「府立宇治公園」に移動しました。

宇治公園は宇治川の真ん中にある公園で、平等院のすぐそばにあります。
賀茂川のように「とんび」に襲われることもなく、まだ桜も咲いていませんでしたので人も少なく、ゆったりとパンを味わう事が出来ました。

【シリーズ京都パン屋巡り行ってみた】京都で最もおいしい!?「たま木亭」

たま木亭で購入したのは、「パンシュー」「ブルーベリーの練乳仕立て」「クリームパン」「3種のガレット」「ベーコンハース」「洋風あんぱん」「じゃがジューシー」の7種類。
カレーパンを狙っていた夫ですが、カレーパンはちょうど売り切れていて買えませんでした…。

カレーパン協会で一位になった、たま木亭のカレーパン

たま木亭のパンでまず驚くことが、冷蔵されていた「ブルーベリーの練乳仕立て」以外、すべてまだ暖かかったことです!
こんなことは初めてでした。
たくさんお客さんが来るので、焼き立てパンが常に並んでいる状態なのでしょうね。
ハード系のパンが多いので、冷えると硬くなっているだろうなと思うのですが、どのパンもパリパリフワフワで食べやすかったです!

そして、パンの美味しさ!感動ものです。
「パンシュー」と「ベーコンハース」は大きなベーコンがゴロゴロ入っていて、そのベーコンのジューシーさといったら!
ベーコンの油を吸ったパンの美味しさといったら!思い出すだけでたまりません。

パンシュー たま木亭のスペシャリテ うますぎる!! #たま木亭 #パンシュー  仲田

たま木亭さん(@tamakitei)がシェアした投稿 –

そして定番の「クリームパン」。これまで食べたことのない食感と、程よく濃いクリームの味が絶妙のバランスでした。
「洋風あんぱん」も同様に、やはりパンとあんこのバランスが素晴らしかったです。

我が家で栄えあるベストワンに選ばれたのが「じゃがジューシー」!じゃがいもとバター醤油がパンに溶け込んで、なんとも至福な味わいでした。

正直言うと、並ぶのが苦手なのでパンを食べるまでは「もう来ないかな」と思っていました。
しかし、パンを食べると「帰りにも寄って帰ろうか?」と本気で考えるほどにハマってしまいました。
きっと、また車を走らせ、行列に並んで買いに行くことでしょう。それくらい、最高においしいパン屋さんでした。

Written by フジイ

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『バー・リバーサイド』様々なカクテルとマスターの名言 大人の為の会話劇小説

二子玉川の落ち着いたバーで一杯

ちょっと感傷的になったり、気持ちに整理がつかない時…ちょうどいい距離感で優しく話を聞いてくれ、おいしいお酒を作ってくれるバーでマスターとおしゃべり、なんて出来たら良いですよね。
今回紹介するのは、吉村喜彦さんによる小説『バー・リバーサイド』です。

様々なカクテルと沁みる名言 大人の会話劇小説『バー・リバーサイド』

舞台は東京・二子玉川にある席数わずか7席の小さなバー・リバーサイド。
静かな空気感の落ち着いたお店で、マスターの川原草太とスタッフの新垣琉平が働いています。
彼らと6人の個性的な常連客が繰り広げるのは、それぞれの世界で様々な境遇を経た者たちならではの印象的な会話劇
物語は5つの短編で構成されていて、ページ数も多くないので、あっという間に読み終えてしまいます。
全ての短編にそれぞれの会話にちなんだお酒や料理が登場するのですが、作者の吉村さんは元サントリーの宣伝部勤務というだけあって、その描写が独特なのです。

様々なカクテルと沁みる名言 大人の会話劇小説『バー・リバーサイド』

沖縄の独特な埋葬に使われる「花酒」をつかったカクテル

たとえば、うどん店で働く客・井上が語るのは、あの世とこの世に関するちょっとスピリチュアルな話題。
スタッフ・琉平が出身地である沖縄特有の死者の埋葬方法を語り始めます。

沖縄には洞窟が多く、昔はその中に亡くなった人を葬って、亡くなって七年後に親戚がその骨一本一本を丁寧に泡盛で洗ったそう。
使う泡盛はできれば、与那国島で作られる60度の泡盛・花酒がいいとされていたといいます。

井上が静かに相槌を打ちながら琉平の話を聞いていると、突然マスターが目を輝かせていいます。

「あ、いいカクテル、思いついた!」

シェイカーに氷を入れ、花酒をとろりと注ぎ、
シャカシャカ、シャカシャカッ—-
マスターがシェイカーをかなり激しく振り続ける。
シェイクの決め手は
氷を微妙に溶かし、酒に水を入れることだ。
水と空気によって、酒が開かれ、香りがたち、液体の味はまろやかになる。
円錐形のグラスに、できたかカクテルをやさしく注ぎ入れた。
シェイクのおかげで、液体の色は、ほんのり霧のかかったような乳白色。
グラスには、きめ細かい霜がびっしりとついている。
マスターは表面張力ぎりぎりまでグラスに液体を注いだ。
グラスの縁の液体が、ぷっくり膨れてエロチックだ。

「マスター。これ、何ちゅうカクテルなん?」
花酒シェケラート。花酒をシェイクしただけ。」

花酒シェケラート、こんな素敵な文章で描かれると味がとっても気になりますよね。
他にも、紹興酒と烏龍茶で作るドラゴン・ウォーター、桃のカクテル・ベリーニ、ジョニ赤のハイボール…様々なお酒が個性豊かに登場します。

様々なカクテルと沁みる名言 大人の会話劇小説『バー・リバーサイド』

心に響くマスターの名言の数々

フリーライター・森の話題は、少しディープな人間関係の悩み。
落ち込み気味の森にマスターが差し出すのは、ダーティ・マティーニです。
こんな言葉をかけます。

「マティーニは時を重ねるごとに、どんどんドライになっていきました。でも私は、影と湿り気のある方が好きなんです。だから、森さんにはこのカクテル。
切れ味が過ぎると、その鋭い刃で、自分が怪我をすることになります。加減が難しい。少し澱(おり)を残しておいた方がいい。そう。自分の『いい加減』を見つけることがたいせつです」

こんな風に、マスターの心に響く名言が飛び出しまくるのも、この小説の魅力の一つ。
その言葉の数々は決して説教臭かったり押し付けがましいことはなく、常連客達の心に寄り添おうとしているようで、説得力があります。

様々なカクテルと沁みる名言 大人の会話劇小説『バー・リバーサイド』

おいしいカクテルや料理と共に、人情味あふれるマスターの言葉たちが、お客さんの悩み・葛藤・迷いをそっと包んでくれるバー・リバーサイド。
読んでいると、常連客達の心や体のどこかに詰まっていた何かがすっと押し流されていくのを見守っているような感覚になります。
帰路につく頃に、どこかすっきりとした表情になっている彼らの顔が浮かぶよう。
春や初夏の涼しい夜、お酒を片手に是非読んでいただきたい一冊です。

Written by にゃも

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【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

ショートショートの神様・星新一がつむぎ出した、時代小説

「ショートショートの神様」と呼ばれ、SF作家として認知されている星新一の時代小説があるのをご存じでしょうか。
その名も『星新一時代小説集』です。

【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

文庫で出版されているのは、「天の巻」「地の巻」「人の巻」の3冊。今回のテーマは「天の巻」に収録されている「殿さまの日」というお話に出てくるごはんです。

現代とは比にならない?その時代の「お米」の重要性

「何万石の大名」というフレーズを聞いたことがあると思います。
この「石(こく)」は、お米の量を表す単位。
江戸時代は、そのお殿さまの領地は面積ではなく、収穫できるお米の量「石高」によってその広さを表していました。
もちろん、石高の高い大名ほど力が強いことは言うまでも有りません。
1石=1,000合だそうで、いったい何合炊きの炊飯器がいるのかと、どうでもいい想像をしてしまいそうです。
私は時代劇や大河ドラマを観る程度の知識しかなく、今までで読んだことのある時代小説も「鬼平犯科帳」くらいでしたので、この時代のお米の重要性がこんなにも大きいとは知りませんでした。
収穫できるお米の量は大名の力を表すだけではなく、すべての人々への生活に直結したものだったのです。

【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

「殿さまの日」

「殿さまの日」は、そんな時代のとあるお殿さまの1日が書かれています。
殿さまは一日中、いろいろな事を考えています。回想、妄想、思想さまざまなことが頭をぐるぐると支配している様です。しかし、いろいろな事を考えても、立場上直面した問題を解消することが出来ません。

というのも、殿さまが問題解決のために何かをしようとすると、家臣によけいな気づかいをさせてしまうばかりか、幕府や他藩との関係に変化が起こってしまいますので、なかなか行動を起こす事ができません。
そのため、殿さまはいつも通りの1日を何事もないかのように過ごすしかないのでした。

【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

形式張った殿さまのごはん

そんな殿さまの一日の最初のご飯は、朝8時の朝食です。ご飯の為のお座敷に移動していただきます。
メニューは「うめぼし、大根のみそ汁、とうふの煮たもの、めし」だそうで、意外と質素。
つぎの間に控えている「毒見役」が一通り口に入れて、問題が無いか確認。さらにその毒見役を監視する小姓もいます。
そんな厳戒態勢の中、殿さまの前に運ばれてきたごはんはすっかりぬるくなっています。

【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

「たまには温かいご飯が食べたいなぁ」とでも思うのかと想像していましたが、殿さまは子どものころから、ぬるくなったご飯しか食べたことがないので「料理とは、ぬるくつめたいものなのだ」と殿さまは「思いこんで」いるそう。
温かいご飯を食べたことがないので、そもそもホカホカの温かいご飯の存在を知らないということなのです。

何だかとてもかわいそうな気がしてきました。殿さまとは本当に窮屈なお仕事です。
すべてが形式にのっとっていて、平和な時代でさえも「毒見役」が必要なのです。
思案ばかりしている殿さまがその存在に疑問を抱いても、形式上その役職に人間を置いておかなければいけません。
食事中に小姓に何と話しかけるかも、吟味に吟味を重ねた他愛のない形式張った言葉です。
いつも周りにいる側近たちですら、殿さまが形式張った行動をとる裏でこんなに思案をしているとは、露ほども知らないでしょう。

正午には「すまし、野菜の煮つけ、いわしのひもの、めし」と、やはり思いのほか質素なお昼ご飯を食べます。
もちろん、形式上毒見役を経由しているので冷えています。
食べながら、「たまには変わったものが食べてみたい」と思いつつも「無理なことだ」とあきらめている殿さま。
ひとことそんなことを言ってしまえば、料理係が責任をとらされ、さらに食費が財政を圧迫してしまうと容易に想像できるからです。

夕飯も代り映えのしないメニューを食べ、甘い物(干し柿)か酒どちらにするか問われた殿さまはぬるくなったお酒を飲みます。
物足りない気持ちもありますが「殿さまのからだは藩のものでもある」ため、自らの欲求のために必要以上の飲酒はできません。

【星新一の時代小説】お金よりお米が価値を持った時代 殿さまの食卓はぬるい?

炊き立てごはんの美味しさを知らないお殿さま

お米の取れ高が重要だった時代の大名(殿さま)が、ご飯が最もおいしい状態、つまり炊き立てのご飯の美味しさを知らないとは、何だか切ないですね。
物語のキャラクターとはいえ、藩のトップという立場の殿さまの周囲すべてに気を使いながら過ごしている様子が、家庭で奥さんに気を使って肩身の狭い思いをしている旦那さんのようで、何だか胸がきゅっと締め付けられてしまいました。

読了後、炊き立てご飯を食べてながら、自分の国で収穫されたお米をしっかりと味わい、こんな平和な世の中にしてくれた先人たちへ思いを馳せていきたいな…と少々感傷的になってしまいました。

Written by フジイ

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この「トン汁」というお話はのスタートは東日本大震災ではありません。主人公の母親が急死し、そのお葬式から帰ってきた場面から始まります。
母親は冷え込んだ早朝、トイレに行こうとした瞬間に倒れて、脳溢血(のういっけつ)で亡くなりました。この時、主人公は小学3年生。中学1年生の兄と小学5年生の姉がいました。それから、これまで料理をしたこともなかったであろう、父親。残された4人家族は、呆然としたまま葬式が行われた田舎から帰宅したのです。
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いちごを食べ終わると同時に、今まで黙ってこたつに入っていた父親がこういうのです。

“腹、減ってないか”。

これが、この家の味となる「トン汁」が誕生した瞬間でした。

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「トン汁」の役割

父親がこの日作ったトン汁の具は、生協から届いた“豚肉のコマ切れ”“モヤシ”でした。母のトン汁とは大違いの具材でしたが、父親は“モヤシだったら包丁も使わずにすむんだし”“お父さんのオリジナル料理だ”と言って、笑います。この時、主人公ははじめて「お母さんがもういない」現実を目の当たりにして、ようやく泣く事ができたのです。

父親が初めて作ったトン汁は、あまりおいしくありませんでした。しかし、このトン汁はその後“我が家にとって大切な、特別な料理になった”のです。もちろん、具は「豚肉」と「もやし」のみのままで。

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その後、3人の兄弟はそれぞれ大人になり、結婚後も「トン汁」を特別な料理として、それぞれの家庭で作り続けます。兄は父親のオリジナルレシピのまま、姉はいろいろなアレンジを加えながら、そして主人公は豆腐を入れたトン汁を“わが家のトン汁”としています。
この家族にとっては、トン汁が「家族の団結」の味であり、傷ついた気持ちを何とか守ろうとする、後ろ盾のようなものだったのだろうと思います。

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家族の戸惑いをまとめてくれた「トン汁」

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Written by フジイ

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