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世界のお酒【飲んで飲まれる、モンゴルの飲酒事情】地ビールも!

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コナン

モンゴル在住ののびです。

モンゴルの首都ウランバートルでは、毎月1日にスーパーに行くと、お酒売り場にカバーがかけられている様子を目にします。1日は、町中が禁酒日とされているからです。

地方都市によっては、毎週金曜日が禁酒日になっているところもあります。

禁酒日

禁酒日にスーパーに行くと酒類コーナーにカバーがかけられています(撮影:のび)

これは、お酒によるトラブルが多発するため、禁酒を意識づけるため決められた制度です。

そこで今回は、モンゴルの飲酒事情についてご紹介しましょう。

モンゴル産蒸留酒「アルヒ」


モンゴルは1990年に民主化されるまで、長らく社会主義国でした。

その間、モンゴルの国づくりを支援してきたのが旧ソ連。モンゴルの年配の方たちのなかにはロシア語が堪能な方もおられますし、優秀な人たちは旧ソ連に留学していました。

その旧ソ連が教えてくれたもののひとつが、蒸留酒である「ウォッカ」です。

モンゴルでは「アルヒ」と呼ばれています。

そしてモンゴルには、2種類のアルヒがあります。ツァガーン・アルヒとシミーン・アルヒです。

ツァガーン・アルヒがないと宴会ではない!


ウォッカは旧ソ連が持ち込んだものですが、現在はすでにモンゴル産のウォッカが多数あります。

この旧ソ連から教わったモンゴル産ウォッカをツァガーン・アルヒ(白いウォッカ)と呼びます。

一番メジャーな銘柄は、ずばり「チンギス」です。

ツァガーン・アルヒ

「チンギス」のウォッカ(撮影:のび)

実はこのお酒、日本国内でも購入できます。

その他にも、一般市民受けするARKHI、スムーズな飲み心地のEVOK、高級感漂うSOYOMBOなど、10種類近いツァガーン・アルヒがあります。

このツァガーン・アルヒは、宴会があると必ず途中から出てきます。

タイミング的には、ビールで乾杯して、食事を食べてひと段落したころ。

宴会の一番上位の人が、全員のショットグラスにツァガーン・アルヒを注いでまわりだすと、宴会は第二ステージに突入です。

みんなのグラスに注ぎ終えると、宴席の上長が口上を述べ、一気に飲み干します。参加者は続けて飲み干します。

次にしばらくすると、次の上長が同じようにグラスに注いでまわり、口上を述べて一気に飲み干します。そして参加者もそれに続きます。

これを繰り返します。

最低限のルールは2つ。

ひとつは、最低3杯は飲み干すこと、もうひとつは開けたボトルは全て飲み干すということ。

でもだいたい3杯飲むと訳が分からなくなり出しており、あとはひたすら飲んで、話をして、そして飲んで、と延々に続けられていきます。

確かにウランバートルの冬は、最高気温がマイナス20℃なんて日もありますので、ウォッカを飲みたくなる気持ちはわからないでもありません。

でも、夏でも同じようにウォッカを飲んでいます。

だから、やはり禁酒日が必要になるのかもしれません。

世界で唯一の動物由来の蒸留酒「シミーン・アルヒ」


シミーン・アルヒは、動物の乳を由来とする蒸留酒です。

実は世界にある蒸留酒のうち、動物の成分から作られる蒸留酒は、このシミーン・アルヒだけです。

これは発酵させたヤギやウシの乳を蒸留して作ります。

その作成には大量の乳と燃料が必要となるため、極めて貴重な飲み物です。

かつては、その希少性から最上の飲み物と考えられていましたが、最近は工場で生産されるようになっています。

体調が悪い時、とても疲れた時などに、少し温めて飲むとよいとモンゴル人には勧められます。

飲むとほんのりとミルクのような、獣のような風味がします。

シミーンアルヒ

「ミルクウォッカ」と書かれているシミーンアルヒ(撮影:のび)

 ビールも飲みます!モンゴル地ビールをご紹介します


意外に思われるかもしれませんが、モンゴルには5種類以上の地ビールがあります。

モンゴルは旧ソ連からウォッカを教わったように、ビールの製造方法を旧東ドイツから教わりました。

アルタンゴビ

モンゴル地ビールで最も人気のある「アルタンゴビ」(左)、長く親しまれている「ボルギノ」(右)(撮影:のび)

一番人気があるのはアルタンゴビ。オーソドックスな爽やかな味わいで、飲みやすいビールです。

ボルギノは、ほぼ100年もの歴史のあるビール。コクのある味わいが根強い人気の秘訣です。

この他、発泡酒のような軽い味わいで飲みやすい「シングール」、のどごしではどのビールにも負けない「レジェンド」など、それぞれ特徴あるビールを飲むことができます。

ちなみに、日本と違って2Lのペットボトルに入ったビールが売っていますし、量り売りのビールもあります。

さいごに

遊牧民宅でアルヒをいただいた時、自分が飲む前にアルヒを薬指の先端につけ、ピンッと跳ねて指先についたお酒を上空に目掛けて飛び散らしました。

これは貴重なお酒を、先に神様に飲んでいただくためでした。

開けた瓶は必ず飲み干すという風習は、「もったいない」精神からきているのかもしれません。

ライター 【のび】

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