おしゃれ料理小説『パンとスープとネコ日和』で異彩を放つのは「頭脳パン」
レーズンが入っているパンだけが「頭脳パン」ではない
私は頭脳パンとは、レーズンが入っているパンだというイメージでした。レーズンが頭にいいんだと思っていたんですが、どうやら違う様です。
頭脳パンの定義は、「頭脳粉」で作られていることなんだそう。「頭脳粉」という名前だけでは、正直大丈夫なのかと思いますが、小麦粉にビタミンB1を混ぜたものを言いますので、全く怪しいものではありあません。この頭脳粉については、大脳生理学者である林髞(はやし たかし)氏が著書『頭のよくなる本 – 大脳生理学的管理法』の中で提唱しています。
ちなみにこの林髞氏は、あの「パブロフの犬」で有名なイワン・パブロフの元で条件反射学を学んでいて、木々 高太郎(きぎ たかたろう)というペンネームで推理小説も執筆していたという多才な人物です。頭脳パンはちゃんと学術的裏付けがある食べ物なんですね。

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頭脳パンに願いを込めて。
実は私は幼少期に頭脳パンを食べたことがありません。当時の頭脳パンはレーズン入りというイメージがあったので、レーズンが嫌いな私は食べられなかったのです。
しかし、頭脳パン=レーズンというわけではないと分かった今、遅ればせながら頭脳パンデビューしてみようかなと思っています。アキコたちが願ったように今からでも頭脳明晰になるかもしれないし…。
なにより、しまちゃんの親と同じように“頭がよくなるように”と強く願って子どもたちにも食べさせてやろうと企んでいるのです。

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パンとスープとネコ日和 (ハルキ文庫 む 2-4)
群 ようこ
唯一の身内である母を突然亡くしたアキコは、永年勤めていた出版社を辞め、母親がやっていた食堂を改装し再オープンさせた。しまちゃんという、体育会系で気配りのできる女性が手伝っている。メニューは日替わりの〈サンドイッチとスープ、サラダ、フルーツ〉のみ。安心できる食材で手間ひまをかける。それが、アキコのこだわりだ。そんな彼女の元に、ネコのたろがやって来た―――。泣いたり笑ったり・・・・・・アキコの愛おしい日々を描く傑作長篇。
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