『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』嵐・二宮主演で今秋映画化!映画の前に原作をチェック
山形直太朗という料理人がレシピに込めた愛
「大日本帝国食彩全席」を再現するために、各地へ出向き関係者の証言を集め山形直太朗の背中を追ううちに、佐々木は次第に料理人・山形の人柄と信条に魅せられてゆく。
山形が料理に込めた思いは、愛。
家族愛、民族を超えた平和を目指す愛、料理そのものへの愛、それらの思いが込められていたのが「大日本帝国食彩全席」という高大なレシピだった。
佐々木がレシピを通じて山形の愛を感じ取り、自らの料理への愛を取り戻していく過程を味わえるのが、この作品の魅力だ。
こういった料理人が料理に向き合う姿勢を描写できるのは、著者・田中経一氏が「料理の鉄人」を制作を通して実際に料理人の姿・生き様を見てきたからこそ描ける賜物なのである。

「大日本帝国食彩全席」に隠された陰謀ミステリー
この作品を楽しめるもうひとつのポイントが、レシピに隠された陰謀を巡るミステリー要素だ。
佐々木がレシピと山形の消失のナゾに迫っていくと、歴史を揺るがすほどの恐ろしい陰謀が隠されていたことが明らかになってゆく。
このミステリー描写がとても巧みで、物語が2つの時代を行ったり来たりするたびに次々に新しい事実が判明していくので、途中から読むのを止められなくなってしまう。
壮大なスケールを経て到達するラストには鳥肌が立ち、山形の料理人としての信念・プライドに、涙さえ誘われた。

巻末には「大日本帝国食彩全席」の全レシピ名が収録されている。
食材は実際に当時使えたものしか想定されてないというその一覧はまさに圧巻で、一見の価値有りだ。
映画は2017年11月に公開予定。
監督は「おくりびとの」滝田洋二郎氏、脚本は『永遠の0』の林民夫氏、料理監修やメニューの映像化を服部幸應氏が担う。
二宮和也さん、西島秀俊さんの他にも、綾野剛さん、宮崎あおいさん、竹野内豊さんが出演する豪華っぷり。
二宮さん演じる佐々木、西島さん演じる山形が、それぞれどう描かれるのか…今から劇場へ足を運ぶのが楽しみだ。
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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)
田中 経一
第二次大戦中に天才料理人・直太朗が完成させた究極の料理を蘇らせてほしいと依頼された、絶対味覚=麒麟の舌を持つ佐々木充。彼はそれを”再現”する過程で、そのレシピが恐ろしい陰謀を孕んでいたことに気づく。直太朗が料理に人生を懸ける裏で、歴史をも揺るがすある計画が動いていたのだ。美食に導かれ70年越しの謎に迫る、感動の傑作ミステリー!
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