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NY・ロウアーイーストサイドにオープンした、噂のお洒落映画館に行ってみた!

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ダウンタウンアートシーンの発信源に出来たクリエイター向けのニューシアター

ニューヨークではL.E.Sの愛称で知られるロウアーイーストサイドにどうにもお洒落な映画館ができたというので探索してきました!

LESといえば、80~90年代のニューヨークのDowntown Art Sceneの発信源。革ジャンを羽織って、破れたデニムから膝小僧を出した若いアーティストたちが、路上でタバコを咥えてたむろす光景がよく見られた当時。音楽シーンにおいては、パンク・ロックやNo waveの代表的なミュージシャンたちの拠点エリア。今では伝説として語られているバンドたち(Ramones, Television, Talking HeadsやDNA)がたまっていたCBGBやMUDD CLUBなどのライブハウスがある、いわば『元祖パンクロック下町』?(突然ダサくなっちゃうなぁ〜。)そんなアウトローなLESも今では、パーティー好きなメインストリームファッション系の若者たちに占領され、カルチャー度がめっきり希薄化している印象。

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実は、新しいインディー系シアターがマンハッタンにできるのはなんと、10年ぶりらしい!しかも今話題の20年代のニューヨークの映画館を連想させる、レストラン付きの「映画好きはもちろん、映像クリエイターたちのための映画館」だとか…そんなアートハウスをわざわざLESにオープンしたというので、一体どんなところなのか、体験しに行ってきました!

外装はひっそり…内装は?サービスは?

今年3月にオープンしたMetrographが位置するのは、バーやクラブが騒々しく立ち並ぶLESと移民系市場で知られるチャイナタウンの境目。魚市場や墓地に囲まれた食材倉庫を改築したというだけあって「お洒落ゾーン」からは少し距離があり、看板もなく、ひっそりと開館している。

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でも、シアターに一歩入ると印象はガラリと変わる。さすが創始者Alexander Olchがメンズブランドを手掛けているだけあって隅から隅まで「こだわり」が感じられる内装が広がる。
まず、ネクタイとベストにしっかりと身を包んだ清潔感あふれるフレンドリーなスタッフたちが両手をひろげ、「WELCOME!」と迎えてくれる。無愛想なチケット売り場のお兄ちゃんしか知らない私は、タジタジ。さらに、嬉しいのはアメリカではまだ珍しい「指定座席」があるので、その場でipadを使って好きな座席をゲットできる。

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「チケット売り場」よりも「コンシェルジュ」という言葉の方が似合う

おすすめは時間に余裕を持ってチケットを買うこと。館内には小さなバーと赤いベルベットのソファーが印象的なラウンジエリアがあるので、早めに来て映画を見る前に1杯飲むのもいいかも。夜は、オールバックのイケメンバーテンダーがカクテルを振る舞ってくれるらしい。鑑賞後に飲みながら映画の感想を語り合うのもおすすめ!

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映画館の必須アイテム・ポップコーンやスナックをチェック

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そして、アメリカ人にとって映画館で欠かせないのは何よりもポップコーン!見てください、美しくブランディング&ライトアップされたポップなコーンたち!このディスプレイはお洒落だけど効率悪いデショと突っ込みたくなるのを我慢して吟味&ガン見。この日用意されていた味の種類は:海塩とオリーブオイル、トゥーメリック、カイエンペッパー。なんと一時期は「ボニート味」もあったらしい。え!?ボニートって、か、カツオですか!?

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光輝くようズラリとまさに「キュレーション」されたキャンディーとポップコーンは、オーナーのこだわり。ん!?よく見るとなんと日本の「グミ100」や「ポッキー」まであります。2年ほど前から、抹茶キットカットの大ブレークにより、日本のお菓子がニューヨークでは超人気。今では、ブルックリンなら普通のスーパーでもポッキーを見つけることも簡単になってきました。

ところで肝心の映画プログラムは?

こだわってるのは、もちろんお菓子やインテリアだけじゃなく、本業の映画のセレクションも。どーせ、アートハウス特有の「pretentious/気どった」セレクションなんでしょ?と思いがちですが、ハリウッドのいわゆるブロックバスター映画から知る人ぞ知るインディー系ドキュメンタリーまで幅広い作品が選びぬかれて上映されてるんです。一見、「え?なんで今この作品?」って思ってしまう上映作品のラインアップは毎月、フォーカスする映画監督とテーマにそったプログラムが理由。(なるほどね!だから「少林サッカー」(チャウ監督特集)と「グレムリン」(テーマ:これPG指定じゃないでしょ特集)と「サタデーナイトフィーバー」(テーマ:映画とダンス特集)がいっぺんに上映されてるわけね!)

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プログラムのクオリティーも高いんです。

でも、奥さん、高いんじゃないの!?というそこのあなた。DEMOそうでもないんです!今、マンハッタン全体では映画館のチケットが値上がりしていて、大体どこも大人は1枚$14~$15。一方のMetrographは1枚$15と、他と比べて得に高いわけではありません。

Mertographならではのこだわり施設たち

この階の隅には、まるで書斎のようなこじんまりと小さな本屋コーナーが。もちろん取り扱っている書籍は映画好きにはたまらない映画や監督に関するものばかり。世界の映画マニアが支持するフランスの映画雑誌Cahier du Cinema の貴重なバックナンバーや、トリュフォー監督の伝記など、シネマファンの心をしっかり掴む本が取り揃えてある。

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反対側にある扉の後ろにはなんとprojector room(映写室)の中をガラス越しに見ることができる秘密の廊下があり、どうやって映画が投影されているのか見れちゃいます!デジタル化が進む中、フィルムで見せるこだわりを持つMetrographならではの提案。

肝心な上映室には35mmフィルムが投影されるスクリーンルームが2つ。映画フリークに人気なのは、もちろんバルコニーからの鑑賞。座席もオーナーのこだわりでブルックリンの「ドミノ砂糖工場」の木の柱を木材に使用して作ったもの。(正直、すわり心地はびみょ~)

この日、私達が見たのはポーランド人の監督アンジェイ・ズラウィキーによる「コスモス」。イザベル・アジャニー出演の「ポゼッション」でカンヌ映画賞も受賞した監督!きっとこの作品もおもしろいはず!と期待大だったはずが…私の力不足なのか、最初から最後までちんぷんかんぷんで笑っちゃうほどついていけず、初めての映画館で途中退場というオチ。笑 (勧めてるんだか、勧めてないんだか。)

映画の後にはリッチヴィンテージなレストランでディナーを

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なんとも不完全燃焼な映画鑑賞のあとは、テンション挽回も兼ねて2階のレストラン「Commissary」(「食堂」)へ。ハリウッドの黄金時代の撮影所の食堂をイメージしたお店の雰囲気は、筆者なりの一言でいうと「お得意さんのヘミングウェイが隅でバーボン飲んでそう」。20年代を意識したリッチなヴィンテージインテリアと若者が好きそうなカジュアルさのバランス(ウェイトレスの制服はかわいい藍色のロングブラウス×ショーツ×スニーカー)が最近のお洒落ブームど真ん中を狙ってきてます。噂によるとプライベートのダイニングルームもあるそう。

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まずは、さっそくお酒を頼んじゃいますよね。さっすがここも抜け目なし。カクテルメニューを見ると、ドリンク名前は全部映画にちなんいます。私がオーダーしたのは、シャンパンとオレンジ・ビターでつくられた「ローマの休日」。相方はバーボンとシェリー、アブセンスとレモンジュースでできた「Sun Also Rises 日はまた昇る」。(各$12)

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この日のアペタイザーは、「冷えたビーツのスープ」を頼みたかったのですが、あいにくの品切れで「生ヒラメのオリーブオイル和え」($14)と「ロメインハーツ」に変更。メインには玉ねぎとアメリカンチーズにスペシャルソースがかかった「Metrograph Burger」($25)と「鱒のバター焼き」($23)。後で気づいたのは、「ロメインハーツ」って名前かわいいけど、ただのロメインレタスの芯じゃん!笑 これに$7かぁ。。。

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肝心のお味は?うーん・・・おいしいというより、おしい?全ての料理に塩がかなり効いていて、素材の美味しさよりも「濃い味付け」が気になってしまう感じ。バーガーについてきたフライは、なんとマックのフライに激似。笑 (いや、個人的には大好きですけど。)お店の雰囲気はとってもよくて、カクテルもおいしいし、サービスも最高なので食事のレベルアップに期待大。
現在はディナーしかやっていませんが、今後はブランチもやるみたい。

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この頃は、Netflixなどネットストリームにより自宅で映画を鑑賞する若者がほとんど。お金を払って映画を見るということに抵抗がある世代たちにとって「映画館で映画を見る楽しみ」=「家では得られない特別な時間」を提供することが、今後の映画館の成功の秘密なのかもしれない。まだまだオープンして間もないMetrograph。これからもますます他の映画館とは一味違う『こだわり』を見せてくれそうで、着々とファン急上昇中で要注目です!

Written by naossica

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