ヤミー!-自己満足 食・文化メディア | ヤミー!(yummy!)は、おいしいが一気に読めちゃう飯テロWEBマガジン!

自分だけの果物の王様と、忘れられないあの日のエピソード

あなたにとっての「果物の王様」は

子どもの頃の「好き嫌い」を覚えているだろうか? トマト、ゴーヤ、セロリ…野菜は苦い物も多く、子どもに嫌われる傾向にある食材である。一方で果物は、すいか、メロン、みかん、ぶどう…甘みがあって、みずみずしくて、ジュースやアイスの味としても親しまれている、子どもたちのアイドル的食べ物。野菜に比べ、果物の「嫌い」は少ないのではないだろうか。「好き」でも「嫌い」でも、これを食べると思い出す、そんなエピソードがないだろうか。

私には愛してやまない果物がある。それはいちごだ。

omoide-poroporo_00

初めて話した言葉はママでもパパでもなく「いちご」だったし、両親の「あんたはいちご畑から生まれたとよ〜」という言葉も本気で信じていた。春はデザートに「いちご」、風邪を引いて食欲がないときのビタミン補給に「いちご」、もちろん、レストランでパフェを頼むときは必ず「いちご」パフェ。

一度だけ、いちごに裏切られたことがある。
3才だった私は、母の目を盗んで円卓の真ん中にあった「いちご」をつまみ食いしようとしていた。手に取ろうとした瞬間、母が注いだばかりの熱々の味噌汁をこぼしてしまい、腕はいちごのように真っ赤っかでブツブツに!初めての救急病院搬送を経験することとなった。しかし、私はすぐにいちごを許し、今でも健やかなる時も、病めるときも、いちごと一緒。私にとっての果物の王様は、やっぱりいちごなのだ。
大好きないちごのエピソードは数え切れないほどあるし、いちごと共に成長してきたといっても過言ではない。いちごだけは迷いなく、一途に愛して来たのだ。

タエ子にとっての果物の王様は、パイナップルか、バナナか

私の大好きな映画 高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』。 舞台は、1982年の日本。東京生まれの東京育ちの主人公・タエ子は、小さい頃から田舎に憧れを持つ女性。休暇を取って山形へと旅にでて、回想シーンたっぷりに小学五年生の自分を思い出しながら、農業体験生活を過ごす話が描かれている。

その、回想シーンのひとつ。
銀座で丸々1個のパイナップルを買って帰ってきたタエ子と父。缶詰でしか食べたことのないパイナップルに、家族全員が大はしゃぎ!いい匂いのするパイナップルを、早速切り分けた。

omoide-poroporo_01

©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

これぞ果物の王様だろう、美味しいに違いない!いそいそとコタツに入って、期待たっぷり一斉にみんなでパクリ!

omoide-poroporo_02

©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

「…硬い。」

タエ子の最初の一言はそれだった。

「大したもんじゃないな。」
 「あんまり甘くないのね。」
 「缶詰と全然味が違うよ。」
 「バナナのほうがずっとおいしいわね。」

omoide-poroporo_03

©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

そうぼやく姉に、タエ子は心の中で同感せざるを得なかった。なんと、タエ子たちにとって果物の王様はパイナップル、かと思いきや、食べ慣れたバナナなのだった。

omoide-poroporo_04

パイナップルをタエ子に押し付けてバナナを食べる姉たち
©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

人という生き物は話が「食」に及べばそれぞれの人間性が現れるもの。このあとタエ子は家族の雰囲気を察知して、美味しくないパイナップルを我慢して完食する。このいい子ぶりっ子な性格が、映画の終盤に大きく関係してくるのだが、その展開は、是非ご自分の目で確かめて欲しい。

それぞれの果物の王様と、それぞれのエピソード

給食で嫌いだったレバー
大好きなピザの上にいつものっている大嫌いなピーマン
おばあちゃんのバックにいつも入っているミルクキャラメル
家族で食べたあまりおいしくないパイナップル

omoide-poroporo_05

©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

大好きな食べ物でも、嫌いな食べ物でも、誰でも一つは心に残る食のエピソードを持っているのではないでしょうか。そのエピソードはあなたを形作る大事な一部となっているはず。どうかそのまま、その貴重なあなただけのエピソードを、心の中でずっと大切にして欲しい。

omoide-poroporo_06

©1991 岡本蛍・刀根夕子・GNH

Written by Hikari

このライターの他の記事はこちらから!

関連記事

見たら普段のご飯がいつもより美味しくなる?映画『南極料理人』

毎日何気なく食べているご飯は実はとんでもないご馳走なのでは?

今日紹介するのは見るとそんな気持ちになる映画南極料理人(2009年公開)です。

 

ネタバレにならない範囲であらすじを説明すると

主人公の料理人・西村(堺雅人)が南極を調査するための南極観測隊員たちと共に

南極に赴き、そこで彼らのために料理を作る、という話です。

001

 

良い料理映画、ドラマ、漫画、アニメの条件は料理が美味しそうに見えることに加え

食べている人間が本当に美味しそうに食事をしていることが大切だと思います。

この映画の優れている点も、噛みしめるように物を食べる登場人物達の食事シーンにあります。

 

調査以外やることがない、周りは氷しかない、娯楽も限られている、

そんな観測員たちにとって唯一の楽しみと言っていい食事の時間、

クルーの中年男は本気で食事にがっつきます。

 

閉鎖的な悪条件の中、労働に疲れた男たちがガムシャラに食事を食べる。

それだけの食事シーンなのですが、これが本当に美味しそうで

つい見ている方も引き込まれてしまいます。

 

料理人の主人公西村はクルーを喜ばせるために気の利いた料理やご馳走を作ったりもします。

しかし作中で本当に美味しそうに見える料理は納豆、卵焼き、てんぷら、焼いた魚、など

普段我々がいつも当たり前に食べられる料理だったりします。

「こんなに美味しそうなものを普段自分たちは食べているのか…」

この映画を見ていると逆にそんなことを再確認させられてしまいます。

002

 

↑特別じゃないけど美味しそうなご飯

 

 

海の家で疲れた時に食べるラーメンやカレーがとても美味しく感じてしまうような経験を

皆一度はしたことがあると思います。

この映画の優れている点はあの感触を疑似体験させてくれる点です。

 

南極観測員クルーの疲労、あるいはストレスの描写が巧みで

見ているうちに我々は気が付いたらクルーのストレスに共感させられてしまいます。

だからこそ同じ目線で作中のありふれた食事を見てしまい

料理がとても美味しそうに思えて

気が付いたら心の中でヨダレを垂らしてしまいます。

 

映画はその後、食事絡みのトラブルで隊員たちはさらにストレスを溜め、

そのストレスをさらに食事で解消していく…という内容になっていますが

そちらについての顛末は気になったらご自身の目で確かめてみてください。

 

最近平凡な食事に飽きてきた、

食べ物に対する感動や感謝の気持ちが無くなって来た。

そんな方に是非、見ていただきたいな、と思い紹介させていただきました。

 

普段食べているありふれた食事も角度を変えてみるだけで感動が潜んでいる

そんなことを教えてくれる映画だと思います。

 

by tori

 

”深い生活”をしよう 食べる事=好きな事を楽しむ伊丹十三映画「タンポポ」

食べるという事自体を好きになる映画

伊丹十三監督の大名作「タンポポ」は、食べ物愛と人間愛がたっぷり詰まったコメディ映画だ。
物語はシンプル。主人公の宮本信子が扮するのは冴えないラーメン屋を経営するタンポポ。山崎努扮する通りすがりのトラック運転手ゴローが手伝い、タンポポのラーメン屋を立派な店にするまでがメインストーリー。その合間合間に様々な食と人間が作り出すドラマがサブストーリーとして散りばめられている。
「タンポポ」に出てくる食にまつわる物語は、どれも観ていて気持ちがいい。食べるという事自体を好きになる映画だ。

伊丹十三 タンポポ

(c)東宝

魅力的なキャラクターにまつわる食のエピソードたち

「タンポポ」は、何故ここにこのサブストーリーが…みたいな難しい事は考えずにそれぞれのシーンに泣き、笑い、楽しんでいくことをお勧めする。

フランス料理店に行く会社員達の話では、自分の食べたいものをちゃんとオーダー出来る本当の食通なのが、立場も年齢も一番下の平社員だけというのが滑稽。

伊丹十三 タンポポ

(c)東宝

危篤の妻に炒飯を作らせる父親のエピソードも素敵だ。亡くなった直後の妻の前で「死んだかーちゃんが最後に作った炒飯だ、冷めないうちに食べろ!」と、子供と共に泣きながら食べる姿にはこっちまで涙してしまう。

伊丹十三 タンポポ

(c)東宝

また、役所広司扮するヤクザの、食とエロスの楽しみ方にはドキドキしてしまう。恋人の腹の上でエビを踊らせたり、生クリームをつけた乳房にかぶりついたり……これから観る貴方のドキドキを奪いたくないのでこれ以上は、是非スクリーン(画面)を観ながら鼻息を荒くして欲しい。 他にも多種多様なエピソードが現れるが、主演の宮本信子、山崎努は勿論、渡辺謙、役所広司、洞口依子等、今は大御所の役者達の若い頃が観られるのも楽しい。

何かの卵?タイで「ンゴ」「ゲーオマンゴン」と呼ばれる食材、その正体は…?

ルックスと味のギャップに驚き

これ、何なんですか?

thai-fruit_01

初めて見た時のその強烈なインパクトは忘れられません。何かの卵ではなくてフルーツだと聞いたときは、にわかには信じられませんでした。「おいしいから食べてみろ」と勧められ、断れずに恐る恐るかじってみると…意外にも果肉は柔らかく、やさしい甘みのある味で、そのギャップにまたまた驚いたものです。

日本語では「ランブータン」として知られているこのフルーツ、タイでは「ンゴ」と呼ばれています。原産地はマレーシアといわれていてマレーシア・インドネシアで広く栽培されていますが、輸出を含めた生産はタイが世界一なのだそうです。「タイのフルーツ天国」といわれる東部カンボジア方面にあるチャンタブリ県が、その生産量の多さで名高い地域です。

タンニンを多く含み、肌の健康維持に効果があるとか。ただし食べ過ぎると酵素の働きを阻害し、消化不良を起こすこともあるそう。おいしいのでついつい手が止まらなくなってしまいますが、要注意です。

thai-fruit_02

このフルーツのいい点は、皮をむきやすいところ。爪で横に一本割れ目を入れて上下に開けば、写真のようにきれいに皮が剥がれます。皮は柔らかく、果汁で手が汚れることもありません。種の皮に渋みがあるので、かじりつかないように柔らかく食べるとおいしく食べることができます。

thai-fruit_03

美味しいだけではなく健康にも良い!恐竜の卵のようなフルーツ

もう一つ、変わり種フルーツをご紹介します。タイ語で「ゲーオマンゴン」と呼ばれる果物です。こちらは日本では「ドラゴンフルーツ」ですね。確かに恐竜の卵のようなイメージです。

thai-fruit_04
thai-fruit_05

このフルーツも皮が果肉から剥がれやすいため剥きやすく、わたしのお気に入りの一つです。果肉はジューシーで、桑の実のような懐かしい味がします。黒いつぶつぶは種なのですが、この食感がまた楽しいのです。

thai-fruit_06

個人的な体質なのかもしれませんが、これを食べるとわたしは必ずお通じが良くなります。よくなるどころか、よくなりすぎます。調べてみると、食物繊維がバナナの65倍?!半端ないですね、そりゃあよくなるわけです。

ドラゴンフルーツは、タイではちょっとした高級ホテルなどで、チェックイン時の部屋に置かれていたりもします。南国雰囲気満点ですね。

thai-fruit_07_02

タイではフルーツの最盛期の2月~4月になると、1キロ当たり100円など、日本では考えられないような値段で市場に出回ります。年がら年中何かしらのフルーツが食べられますので、通りを歩く際はフルーツに注目してみるのも面白いかもしれません。日本でも昔よりタイのフルーツが手に入りやすくなっていますので、スーパーやアジア食材店などで見かけたら是非手にとってみてくださいね。

Written by 元ジェット

このライターの他の記事はこちらから!

2017年秋アニメ ブレンド・S 天然ドS女子が働くちょっと変わったカフェへようこそ

2017年秋にヤミー!なアニメ化 「ブレンド・S」

『まんがタイムきららキャラット』にて連載中の4コマ漫画「ブレンド・S」(作・中山幸)。 この秋にアニメ化される、注目の作品なんです。

2017年秋アニメ ブレンド・S 天然ドS女子が働くちょっと変わったカフェへようこそ

(c)中山幸/芳文社

まず気になるのがタイトルの「ブレンド・S」の意味。
普通に考えれば喫茶店やコーヒーショップで注文するときの「ブレンドコーヒー・Sサイズ」という意味ですよね。
ところがこの作品だと、ちょっと意味が違うみたいなんです。

天然S女子と賑やかなメンバーが働く喫茶店「スティーレ」

物語の主人公は、なかなかアルバイトに採用されないことが悩みの女子高生・桜ノ宮 苺香
本当は優しいのですが、ちょっと人付き合いが苦手なことと、目つきが悪いことが原因で、周囲は彼女を誤解してしまっていました。

2017年秋アニメ ブレンド・S 天然ドS女子が働くちょっと変わったカフェへようこそ

(c)中山幸/芳文社

そんな苺香がある日偶然たどり着いた喫茶店「スティーレ」は、スタッフが様々な「属性」を演じて接客する、ちょっと変わったお店でした。
たとえば「妹キャラ」「ツンデレキャラ」「お姉さんキャラ」「アイドルキャラ」など…
ちょっとしたメイドカフェのようなコンセプトなのです。
この店の店長であるイタリア出身のディーノに気に入られた苺香は、スタッフとして働くことになります。
ここで苺香に与えられた属性が「ドSキャラ」
そう、「ブレンド・S」の「S」は、「ドS」の「S」だったのです!

2017年秋アニメ ブレンド・S 天然ドS女子が働くちょっと変わったカフェへようこそ

(c)中山幸/芳文社

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

アニメをよく観る方であれば、聖地巡礼という言葉を耳にしたことがあると思います。
実際にアニメを観て舞台となった現地に足を運んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私もいろんなアニメを観る方ではあるのですが
「なぜ、聖地巡礼までするのか?」
と思っている視聴者でした。
でも、その概念をガラッと変えてしまったアニメがあります。
その名も『ユーリ!!! on ICE』

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

(C)はせつ町民会/ユーリ!!! on ICE 製作委員会

この『ユーリ!!! on ICE』を観ていなければ知らなかったであろうイベントに、先日参加してきました。
そのイベントとは、福岡市天神で行われた「唐津まるごとマーケット」

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

唐津は『ユーリ!!! on ICE』の舞台である長谷津のモデルとなった場所。
今回は「唐津まるごとマーケット」のレポートを通して、唐津への想いを高めるに至った経緯を、熱くお伝えしてまいります。

新鮮な海鮮に、日本一のお酒。「唐津のよかとこ」がぎゅぎゅっと凝縮

2017年9月2日(土)、3日(日)の二日間で開催された「唐津まるごとマーケット」。
3回目の今回は『ユーリ!!! on ICE』と唐津市のコラボ企画「サーガ!!! on ICE」の皮切りイベントとしても実施されました。

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

朝10時の開場でしたが、限定うちわと物販・撮影整理券の配布が行われることもあり、1時間前にはすでに大勢の人の列が!
アニメファン以外の方も並んでいたとは思うのですが、会場に設置してあるキービジュアルを撮影している方の多さからも、『ユーリ!!! on ICE』の影響力って凄いなあと早くも体感しました。

ユーリ!!!ファン歓喜!唐津まるごとマーケットで見たアニメと地域の最強タッグ

さて開場後は、早速会場内をフラフラします。

アニメ2期放送開始直前!川本家のあたたかご飯で『3月のライオン』1期を振り返ろう

2016年の秋からのTVアニメ化、そして2017年の豪華キャストによる実写映画化と、話題のたえなかった『3月のライオン』。 嬉しいことに、2017年10月より、2期TVアニメの放送が決定しています。

アニメ2期放送開始直前!川本家のあたたかご飯で『3月のライオン』1期を振り返ろう

(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

『3月のライオン』といえば、将棋を題材にした作品ですが、それ以上に人間ドラマの側面が強い作品でもあります。
主人公・桐山零の成長に欠かせない、様々な人との出会い。
今回はその中でも、彼の心の大きな支えとなっている「川本家の食卓」と一緒にTVアニメ1期を振り返りましょう。

アニメ2期放送開始直前!川本家のあたたかご飯で『3月のライオン』1期を振り返ろう

主人公・桐山零
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

そもそも川本家と桐山零の関係とは?

史上5人目となる中学生プロ棋士となった主人公・桐山零の成長を描く『3月のライオン』。
幼いころに両親と妹を交通事故で亡くした彼は、生きていくための手段として、父の友人・幸田の内弟子となり、将棋の世界に入ります。
零は内弟子として引き取られた家に馴染めず、中学卒業とともに半ば逃げ出すように、六月町という町で一人暮らしを始めます。

アニメ2期放送開始直前!川本家のあたたかご飯で『3月のライオン』1期を振り返ろう

(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

ある日、零が無理やり飲まされ潰されているところを、隣町の三月町に住む川本家の長女・あかりに助けられます。
このことがきっかけとなり、川本家が彼の新たな居場所となっていきます。

アニメ2期放送開始直前!川本家のあたたかご飯で『3月のライオン』1期を振り返ろう

手前が川本家長女・あかり
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

『3月のライオン』は、孤独を強く感じていた桐山零が、温もり溢れる川本家との交流を通して、頼り頼られる関係を築いていく姿に心打たれる物語でもあるのです。

『異世界食堂』は2017年夏最高の飯テロアニメ!様々な種族に愛される逸品、続々。

『異世界食堂』は2017年夏最高の飯テロアニメ!様々な種族に愛される逸品、続々。

2017年夏のアニメとして放送が始まり、SNSでは早くも「深夜の飯テロ」だという声が数多くあがっている『異世界食堂』
本作品は、2013年から小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されている小説のアニメ化作品です。
2016年11月からは、『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス発刊)にて、コミカライズの連載も始まっています。

定休日には別の顔を持つ、一見普通の洋食屋の物語

物語の舞台は、オフィス街に佇む一見普通の洋食屋「ねこや」
洋食屋といっても、「海の向こうからやってきた、元々日本にはなかったものは大体洋食」だと言う先代店主の方針のもと、ありとあらゆるジャンルのメニューが味わえるので、平日は多くの会社員で賑わっています。

『異世界食堂』は2017年夏最高の飯テロアニメ!様々な種族に愛される逸品、続々。
『異世界食堂』は2017年夏最高の飯テロアニメ!様々な種族に愛される逸品、続々。

©犬塚惇平・主婦の友社/「異世界食堂」製作委員会

でも、オフィス街が静まり返る土日の定休日、「ねこや」は別の顔を見せます。
7日に1度、「ねこや」のドアは異世界に向けて開かれ、「異世界食堂」となるのです!
料理のおいしさは世界が違っても確かなもので、異世界でも多くの常連客を抱える「異世界食堂」。
異世界ならではの個性的な常連たちのドラマが描かれていきます。

『異世界食堂』は2017年夏最高の飯テロアニメ!様々な種族に愛される逸品、続々。

©犬塚惇平・主婦の友社/「異世界食堂」製作委員会

【おいしい小説】『また次の春へ』父が作った豚コマともやしのトン汁

「東日本大震災」を題材にした短編集『また次の春へ』

重松清著の『また次の春へ』は、2011年3月11日の「東日本大震災」をテーマにした、7編の短い物語が集められた1冊です。

【おいしい小説】変わる味と変わらない味『また次の春へ』我が家の味トン汁

“その日”の話というよりは、“その後、残された人たち”の話に焦点を当てていて、感傷的なお話ではなく、ほとんどが現実的で人の感情がじわじわと心に入りこんで来るようなお話ばかりです。 津波にさらわれたまま、見つからない息子や親。残された家族は、「ただいま」って帰ってくるんじゃないかという思いと、もうだめなんだろうという思いの狭間で揺れ動きます。残された人々は、それぞれの想いを抱えたまま生きていくことになるのです。
読んでいる最中は、目を背ける事をしてはいけないような気持になり、ほとんど貪るように読みふけってしまう、そんな本でした。
その7編の小説のうち、特にじんわりと心に染みたお話が「トン汁」です。

「トン汁」のはじまり

この「トン汁」というお話はのスタートは東日本大震災ではありません。主人公の母親が急死し、そのお葬式から帰ってきた場面から始まります。
母親は冷え込んだ早朝、トイレに行こうとした瞬間に倒れて、脳溢血(のういっけつ)で亡くなりました。この時、主人公は小学3年生。中学1年生の兄と小学5年生の姉がいました。それから、これまで料理をしたこともなかったであろう、父親。残された4人家族は、呆然としたまま葬式が行われた田舎から帰宅したのです。
帰宅してしばらく後に、お隣のおばさんが申し訳なさそうに“生協の食料品”を持って訪ねてきました。2週間前に母親が注文した食材が届いたので、預かっていてくれたのです。生前、母親が注文しておいてくれたシーズン前の酸っぱい「いちご」を、それぞれの方法で食べる子どもたち。

【おいしい小説】変わる味と変わらない味『また次の春へ』我が家の味トン汁

いちごを食べ終わると同時に、今まで黙ってこたつに入っていた父親がこういうのです。

“腹、減ってないか”。

これが、この家の味となる「トン汁」が誕生した瞬間でした。

【おいしい小説】変わる味と変わらない味『また次の春へ』我が家の味トン汁

「トン汁」の役割

父親がこの日作ったトン汁の具は、生協から届いた“豚肉のコマ切れ”“モヤシ”でした。母のトン汁とは大違いの具材でしたが、父親は“モヤシだったら包丁も使わずにすむんだし”“お父さんのオリジナル料理だ”と言って、笑います。この時、主人公ははじめて「お母さんがもういない」現実を目の当たりにして、ようやく泣く事ができたのです。

父親が初めて作ったトン汁は、あまりおいしくありませんでした。しかし、このトン汁はその後“我が家にとって大切な、特別な料理になった”のです。もちろん、具は「豚肉」と「もやし」のみのままで。

【おいしい小説】変わる味と変わらない味『また次の春へ』我が家の味トン汁

その後、3人の兄弟はそれぞれ大人になり、結婚後も「トン汁」を特別な料理として、それぞれの家庭で作り続けます。兄は父親のオリジナルレシピのまま、姉はいろいろなアレンジを加えながら、そして主人公は豆腐を入れたトン汁を“わが家のトン汁”としています。
この家族にとっては、トン汁が「家族の団結」の味であり、傷ついた気持ちを何とか守ろうとする、後ろ盾のようなものだったのだろうと思います。

【おいしい小説】変わる味と変わらない味『また次の春へ』我が家の味トン汁

家族の戸惑いをまとめてくれた「トン汁」

母親の急死という突然の出来事に戸惑い、泣く事すらできなかった残された家族たち。そのどうしようもない気持ちを、父親が作る温かいトン汁がまとめてくれました。
「家庭の味」や「おふくろの味」ではなく、その瞬間でしか生まれない「我が家の特別な料理」は、奇跡にも近い味。「失恋した日に食べたスイーツ」や「受験前日に食べたごはん」…特別な料理が生まれるきっかけは、誰にでもあるものです。その時の味や気持ちは、いつまでも忘れられない大切なものとなって、その人の心に残り続けるのです。

Written by フジイ

過去のランキングはこちらから!

臭いけど美味しい!?『もやしもん』から垣間見る発酵食品の世界!

菌が目で見える大学生が主人公『もやしもん』

『もやしもん』という作品をご存じでしょうか?
『イブニング』・『月刊モーニングtwo』にて連載されていた石川雅之さんによる漫画です。2007年・2012年にフジテレビのノイタミナでアニメ化、2010年には中村優一さん主演で実写ドラマ化されました。

臭いけど美味しい!?『もやしもん』から垣間見る発酵食品の世界!

©「もやしもん」製作委員会

『もやしもん』の舞台は、「某農業大学」。物語は、菌を目で見ることができるという不思議な力を持った主人公・沢木惣右衛門直保(さわき そうえもん ただやす)の大学入学から始まります。沢木は、ひょんなことから祖父の知り合いだった樹慶蔵教授のゼミの一員となり、常にボンテージを身に付ける院生・長谷川遥や、密造酒を作る先輩・三里薫と川浜拓馬など個性的な樹ゼミの面々と共に、様々な経験を通し成長をしていきます。

臭いけど美味しい!?『もやしもん』から垣間見る発酵食品の世界!

主人公の沢木惣右衛門直保
©「もやしもん」製作委員会

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

愛すべき不思議兄弟の恋愛模様

江國香織著『間宮兄弟』は、佐々木蔵之介さんドランクドラゴン塚地武雅さんでの映画化も話題になった作品です。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

主人公は明信と徹信、趣味や価値観がちょっと不思議な兄弟
作中で描かれる非モテな間宮兄弟の恋愛模様が、独特かつ滑稽、しかも妙に共感出来たりと、読んでいくうちに間宮兄弟の魅力に引き込まれていきます。彼らは、男性としての魅力はあまりないかもしれませんが、まさに「愛すべき人間」といった感じで、本人たちに自覚はなくともとても優れた人間力を持っている印象を受けるキャラクターです。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

©「間宮兄弟」製作委員会

ストーリー上最初の大きなポイントとなるのが“カレーパーティ”です。間宮家で開催されるカレーパーティのゲストは、徹信が“明信好み”だと感じた小学校の教諭「葛原依子」と、明信が密かに好意を抱いているレンタルビデオ店店員の女子大生「本間直美」の2人でした。
勇気を出して女性を招待したそのパーティから、いつもとは違う「女性が関わってくる」間宮兄弟の日常が始まります。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

©「間宮兄弟」製作委員会

本間姉妹の“ボウルいっぱいつくったフルーチェ”

カレーパーティに招待された本間直美は、仲良しの妹・夕美に報告をします。男二人暮らしの部屋に行くわけですから、直美も不安です。しかし、妹は“一緒に行こう”との姉の誘いを“やだよ”“あやしーじゃん、そんなの。”と言って断ります。
物静かで優しいけれど、気の弱い姉・直美と、振る舞いが乱暴ではあるけれど、優しくしっかり者の妹・夕美。そんな二人の話合いのシーンには“ボウルいっぱいつくったフルーチェ”が登場します。この食べ方は姉妹ならではだなーと、とても印象的な場面です。
“ボウルいっぱいつくったフルーチェ”を2人でスプーンでつついて女子会議をする様子は、姉妹の内側を見せてくれたような、瑞々しい魅力にあふれていました。 もちろん映画でもこのシーンがあります。沢尻エリカさんと北川景子さん演じる本間姉妹は、かわいいというより美しすぎましたが。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

©「間宮兄弟」製作委員会

ちなみに間宮兄弟の開催したパーティに登場したのは、“エダマメさつまあげ茹でとうもろこし”など…間宮兄弟の普段の食卓も昭和感漂うちょっと質素なメニューが登場します。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

©「間宮兄弟」製作委員会

一方で、本間姉妹が食べるシーンはファミレスファストフードなど、「イマドキ」な雰囲気で描かれています。

【おいしい小説】『間宮兄弟』“ボウルいっぱいつくったフルーチェ” の誘惑

©「間宮兄弟」製作委員会

“ボウルいっぱいつくったフルーチェ”の誘惑

『間宮兄弟』の小説や映画に触れてから、 “ボウルいっぱいつくったフルーチェ”を実現したいという誘惑が度々訪れました。しかし、これを実行するには絶対に相方が必要です。本間姉妹のように、誰かと「あーでもないこーでもない」と話しながら食べないと、魅力が半減してしまう気がするのです。
そんな思いを抱えたまま数年。長女が3才くらいの時です。誘惑に抗いきれず、「いけるんじゃないか」と思い “ボウルいっぱいつくったフルーチェ”を作ってみたことがありました。結果は、そもそもフルーツが嫌いだった長女はフルーチェにあまり興味を示さずに断念…。ほぼ一人で無理やりたくさんのフルーチェを食べる羽目に陥りました…。
妹が生まれ、長女がそこそこ大きくなった今、“ボウルいっぱいつくったフルーチェ”リベンジをしてみる良いタイミングではないかと、またひそかに思っています。その時には、女子会議ならでは、子供たちの好きな子の話なんて、聞けるのかもしれません…♪

Written by フジイ

過去のランキングはこちらから!

ページトップ