ヤミー!話題のグルメやあの漫画のご飯の再現レシピ!気になる「オイシイ情報」をサクッと読めちゃう食WEBマガジン!

【改めて知りたい世界の3大食作法】箸のタブーとは?!

繊細で優しい、箸食文化

最後に、箸食文化を見てみたい。私たちにとって、最もなじみ深い食具である箸は、日本はもちろん、中国、朝鮮半島、台湾、ベトナムなどで使われている。箸の発祥の地といわれる中国では、一時は箸とスプーンが両方使われていたが、漢の時代には中国北部に麺や餃子が登場し、それらを食べるのに箸を使うようになった

【改めて知りたい世界の食作法】生と死をつなぐ橋?箸のタブーとは

日本に箸が入ってきたのは7世紀ごろで、「小野妹子が最初に日本に帰国した時に、箸と匙(スプーン)を持ち帰った」という節が有力だ。ということで、それ以前は、食べ物を葉の上に乗せて、手で口に運んでいたのだ。
時は移ろい、今では非箸食文化圏の人が箸を上手に使う光景も当たり前に見られるようになった。世界的にも一般化しつつある。
「箸を使うと食べるペースが落ちるので、ダイエットになる」「箸は子どもの脳の働きを活発にする」といった説まで登場している。

【改めて知りたい世界の食作法】生と死をつなぐ橋?箸のタブーとは

箸は、生まれてから死ぬまで、日本人の人生には特別欠かせないものである。
生まれてはじめての箸行事といえば「お食い初め」。親が子どもに箸でモノを食べさせる真似をし、「一緒に食べ物に困らないように」と願うのだ。その後成長し、箸が使えるようになってからは、毎年お正月に両端が細くなった祝い箸「両口箸」を使う。両端が使えるようになっているのは、片方は自分用、もう片方は神様と共有するためだ。さらに箸は生と死の“橋渡し”にも使われる。お葬式の後に、箸で骨を拾い上げて人から人へと箸渡しをするのは、現世と死後の世界の結びつきを強めるためなのだ。私たちの人生はまさに、箸に生まれて箸に終わるのである。

【改めて知りたい世界の食作法】生と死をつなぐ橋?箸のタブーとは

箸といえば、かの有名なフランスの言語学者、ロラン・バルトの言説を紹介しておきたい。いつか外国人に箸について聞かれたら、ドヤ顔でウンチクを語ってほしいものだ。

箸は西洋のナイフに(そして猟師の武器そのものであるフォークに)対立する。箸は、切断し、ぐいと捕まえて手足をバラバラにして突きさすという動作(中略)を拒否する食器具である。箸という存在があるために、食べ物は人々が暴行を加える餌食ではなくなって、みごとな調和をもって変換された物質となる。
(ロラン・バルト「表徴の帝国」)

ナイフでギコギコ切断するのではなく、箸でそっとつまむ優しさが、箸食文化には溢れているというのであろう。そう言われると、途端に箸食文化が誇りに思えてくる。

【改めて知りたい世界の食作法】生と死をつなぐ橋?箸のタブーとは

関連記事
ページトップ