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会津で絶対外せないハレの日のごちそう「蕎麦」と「こづゆ」

会津地方では、蕎麦は贅沢品

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蕎麦というと、サッと食べられる手軽な食べ物というイメージがあるかもしれない。あくまでも蕎麦は米の代用品……なんて言われていた時代もあった。しかし、会津地方において、それは全くの逆である。
会津地方はもともと稲作が盛んで、米が豊富に獲れた。そんな土地柄もあって、蕎麦は米の代用品ではなく「特別な日の贅沢品」という位置づけなのだ。

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めでたいことがあると、親戚に一人はいる「そばぶちおじさん」が腕まくりを始める。そばぶちとは、会津の方言で「蕎麦打ち」のこと。だいたいどこの身内にも一人は趣味で蕎麦打ちをしている人がいて(!)、その人が蕎麦を打ってくれるのである。
会津の蕎麦の多くはつなぎを使わない十割蕎麦。口の入れると蕎麦の香りと甘みを十分に感じることができる。 つゆは鶏を入れたものを出す家が多い。会津地鶏の肉をふんだんに入れたつゆは、鶏の旨味が加わって実に味わい深い逸品になる。まさに贅沢な味。

ところで、蕎麦の他にも会津で特別な日に食べられるものがある。

雑煮なる未知のもの

それがこづゆだ。知り合いに会津生まれがいない人は、聞いたこともないかもしれない。

こづゆ! 嗚呼これぞ会津の郷土料理🍲😭 #localfood #こづゆ #會津

Yumicoさん(@ymk_omg)が投稿した写真 –

生まれも育ちも会津の私にとって、正月に食べるものといえばこづゆで、他県生まれの友人に雑煮と言われてもピンとこなかった。
汁に餅が入っている……?それはつゆもちと呼ばれる餅の一種であって、別に正月でなくても食べるものではないのか……?雑煮とつゆもち、何が違うんだ……?

ちなみにつゆもちというのは、簡単に言えばけんちん汁で煮込んだ餅のことである。餅と汁の味が良い塩梅に混ざりあい、一杯食べれば体の芯から温まる地元では定番の食べ方だ。
我が家の場合、両親も会津の人間なものだから、我が家の食卓に雑煮なるものが上ったことは一度もない。よく正月になると「○○地方の雑煮はみそ仕立てで角餅」とか「△△地方の雑煮は澄まし汁で丸餅」なんて会話があるが、それにも混ざれたためしがない。
そんなわけでアラサーを迎えた現在でも、私にとって雑煮は未知の食べ物。私にとってハレの日に食べる汁ものといえばこづゆであって、他の何物にも代えられないのだ。

会津の郷土料理 こづゆ 美味しいよー #郷土料理 #会津 #おいしいもの #こづゆ #fukushima #aizu

Shoji Hirutaさん(@syohiruta)が投稿した写真 –

ハレの食 こづゆ

こづゆというのは、会津地方で食べられている汁ものである。ハレの日……つまり、結婚式だとか正月といったおめでたい時に食べられることがほとんどだ。干し貝柱を贅沢に使って作る薄めの味つけで、すまし汁などとは違う何とも言えない味がする。

こづゆは各家庭によって作り方や味付けに個性がある。我が家では年末になるとこづゆを大量に仕込むのだが、以前は祖母の仕事だったこづゆ作りは、いつからか私の仕事になっている。 干し貝柱を十分に水で戻し、細かく裂いておく。きくらげと干ししいたけも水で戻し、きくらげは食べやすい大きさにちぎり、干ししいたけも薄くスライス。にんじんと里芋は一口大に切り、糸こんにゃくはあく抜きをして食べやすい長さにする。
こづゆを仕込み始めると、家中にだしの香りが充満する。味付けは塩と醤油。だしの旨味を活かすため、薄味にするのがポイントだ。
ここで忘れてはいけないのが豆麩(まめぶ)と呼ばれる小さな玉麩。具材が煮えたら火を止めて、豆麩を投入して完成である。
ちなみに、具材の数は7か9の奇数で揃えるのがこづゆの決まり。昔から7や9は縁起がいいとされているためだ。

蕎麦を啜って腹を満たし、こづゆを肴に酒を飲む――それが会津の「ハレの日」の景色。

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Written by じょたすけ

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(C)TBS 原作/ 海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」

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春の海の風物詩、潮干狩り
関東では3月頃から潮干狩りの人たちをみかけるようになります。
そんな潮干狩りでとれるアサリ。そしてアサリに混じって獲れることもあるアオヤギ。
普段あなたはどうやって食べていますか?

江戸前の海で豊富にとれる貝は、江戸の人々にも馴染み深い味でした。
グルメで知られる池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」にも、そんな江戸の貝料理が出てくるのです。

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鬼平の思い出の味「深川飯」

鬼平犯科帳のテレビ第1シリーズ第23話「用心棒」の中で、深川飯を食べるシーンがあります。

鍋の中でぐつぐつ音を立てる汁の中から、おたまでねぎとアサリをすくい、飯にかけ、それを平蔵にさしだします。

猫殿「またお頭も、物好きな・・・」
平蔵「猫殿、これがうまいのだ。昔々な、おやじに勘当されたとき、もう3日3晩飲まず食わずで屋敷の周りをうろつきまわってな。やっとのことで、門番のお袋にこうしてねぎとアサリの深川飯をふるまってもらったときの、そのうまさといったらもう・・・こうして思い出しただけでもよだれがたれるわ」
猫殿「でも、これはあの、醬油味でないと」
平蔵「いや何をいうんだい 深川飯は味噌に限る」
猫殿「いえいえ。なんとおっしゃろうと醬油味でございますよ!」

互いに譲らない二人を遠くから見ていた奥方が声をかけたところで、二人の小さな言い争いは終了します。

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深川飯とは?

そもそも深川めしって何なのでしょう?
簡単にいえば、アサリの入ったご飯。アサリの入った汁物をご飯にかける、いわゆるぶっかけの形と、アサリを炊き込んだ炊き込みご飯の形があります。
農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」でも東京都の郷土料理の一つとして選ばれた一品です。

深川飯 Fukagawa Meshi

「深川」は現在の東京都江東区の地名で、貝の産地として有名でした。
その深川の漁師が仕事の合間に手早く食べていたのが深川飯のはじまりといわれていますが、深川以外でも、貝のとれる地域では他にも同じようなご飯が伝わっているようです。

現在の江東区も海沿いですが、江戸時代はの深川のほうにも海岸があり、ハマグリ、カキ、バカ貝(あおやぎ)が名産でした。
今の深川飯といえばアサリが定番ですが、江戸時代にはバカ貝で作られていたともいわれています。

鬼平犯科帳劇中の長谷川平蔵は、若いときは本所深川を放蕩三昧で遊び回っていたようですが、実在の平蔵も少年時代を本所の母の実家か、長谷川家の屋敷で過ごしていた可能性もあるそうです。
深川は「本所・深川」と並び称されるように、隣り合った地です。
平蔵が深川の名物だった貝類を食べていたのも不思議ではありません。

ソバ好きな江戸っ子もよく食べた「あられそば」

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鬼平犯科帳では深川飯の他にも貝を使ったいろいろな料理が登場しますが、そのうちの一つ、現在はあまり見かけなくなったのが「あられそば」
小説では「ふたりの五郎蔵」の中で女性の密偵が立ち寄ったそば屋で、密偵達が注文したそばです。

あられそばとは、海苔とバカ貝(あおやぎ)の貝柱をいれた蕎麦のこと。
日本料理ではさいの目切りよりももっと細かいサイコロ状にする切り方を霰に見立てて「あられ切り」といいますが、具のバカ貝がこれと同じようにあられに見えることからこの名がつけられたようです。

江戸末期のそばの値段を見ると、以下のような相場だったようです。

そば      16文(普通のそば)
あんかけうどん 16文
あられそば   24文
花巻そば    24文(浅草のりをかけたもの)
天ぷらそば   32文(芝エビの天ぷらをのせたもの)
上酒一合    40文
(『江戸のファーストフード』講談社 より)

それぞれのそばのちょうど平均的な価格あたり。庶民にはなじみのあるそばでした。
現在のおそば屋さんではあまり見かけませんが、2月あたりに期間限定でメニューに載せるお店もあるので、見かけたらぜひ味わってみてください。

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関東では潮干狩りの季節。
旬の貝を使って、鬼平気分で江戸の味を楽しんでみるのも、また粋ではないでしょうか♪

Written by ハヤミ

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疎かな食事でダウンした時に出会った一冊

身内が入院した時だった。見舞いのため、毎日の病院通いが続くうちに家のことは疎かになり、気づけば私は一日二食の生活になっていた。二食といっても、インスタントの味噌汁に出来合いの総菜といった栄養バランスもへったくれもないもので、入院期間が長くなればなるほど、少しずつ私は消耗していった。 そしてしまいには一日一食になり、食事内容もより一層貧相なものになり、ある日私はとうとうダウン。見舞いする側がダウンしてどうするんだという話だが、何をするにも気力が湧かず、見舞いに行く以外は家で寝ている日々が続いた。

そんな時、気分転換にと友人が差し入れてくれたのが『妖怪アパートの幽雅な日常』だった。

摩訶不思議な妖怪アパート

『妖怪アパートの幽雅な日常』の主人公・稲葉夕士は、身寄りを失った高校生である。夕士は両親を亡くして伯父の家に住んでいたが、高校進学を機に寮での一人暮らしを始めるも、その寮がまさかの火事で全焼。苦労人中の苦労人である。 そんな夕士が、新しい住まいとして借りた格安のアパートが、寿荘

このアパート、住人は一癖も二癖もあるアクの強い面々ばかり。人間……っぽく見えるが、人間にしては胡散臭い人物もいる。それもそのはず、住んでいるのは、人間ばかりではない。妖怪も住んでいるのだ。
幽霊に妖怪、この世ならざる者たちがひしめく妖怪アパート……そんな常識の通じない場所で、夕士は時に泣き、時に笑いながら成長していく。

ねずみのアナトールとブルーチーズ・ショックと私

ピーマン・わさび・ゴーヤ…大人になって分かる味

小さかった頃はどうしても受け付けなかったのに、大人になってからは美味しく食べているという食べ物は珍しくないと思う。わさびだったり、苦みやクセのあるものだったり、人によって様々だ。
私の場合はブルーチーズがそれにあたる。ブルーチーズとの出会いは、忘れもしない小学校中学年の頃だった。

ねずみのとうさん アナトール

国語の教科書で、「ねずみのとうさん アナトール」という話を読んだのだ。ねずみのアナトールが繁盛していないチーズ工場に忍び込み、チーズを味見がてら、より美味しくするためのアドバイスをカードに書いて置いていく……という内容だった。
チーズといえば薄くて四角いプロセスチーズかキャンディチーズしか知らなかった私には、作中に登場した様々なチーズがとても魅力的に映った。エダムとかゴーダとか、どんなチーズかは分からなかったけれど、さぞ美味しいものに違いない!と。中でもとりわけ興味を惹かれたのがブルーチーズだったわけである。

ねずみのとうさん アナトール

ブルーチーズ・ショック

そんな時分にスーパーへ買い物に行ったら、なんとブルーチーズが売られているではないか!ブルーチーズといえば、あのアナトールも食べていたチーズである!今ではスーパーでもよく見かけるブルーチーズだが、当時は田舎のスーパーでそんな高級品が売られていることは稀であったこともあり、とても興味があった。
なんとか親に頼み込んで買ってもらい、家に帰って早速開封。そして、ショックを受けた。思ったよりも臭いがキツかったのだ。それに見た目もなんだか気味が悪いし、第一この青いものは食べていいのだろうか……。 でも親に無理を言って買ってもらった手前、食べてみなければなるまい。
意を決して一口。

思わず「うへぇ」と変な声を出した。
舌はピリピリ痺れるし、臭いはキツいし、しょっぱいし……これが私にとってのブルーチーズの出会い、ブルーチーズ・ショックだったのである。

ねずみのとうさん アナトール

大人になってからのブルーチーズ

そんな衝撃的なブルーチーズとの出会いから時間が経ち、私も今では赤ワインを飲みながらチーズを食べるなどという小洒落たことをするようになった。こどもの頃ショックを受けたブルーチーズも、今ではワインに欠かせない相棒だ。あの香りや刺激が無いと、少々物足りなさも感じる。
食べられるようになったきっかけは、知り合いのレストランで出されたブルーチーズだ。シェフがブルーチーズ初心者の私にも食べやすいようにと、白カビで覆われたタイプを選んでくれたのである。しかし相手はブルーチーズである。幼い日のショッキングな出会いを思い出して思わず身構えてしまった。
「とりあえず一口だけ食べてみよう……」フォークで少しだけすくって口に入れる。

「!」

その時、私の中のブルーチーズ観が崩壊した。
臭くない、ピリピリしない、しょっぱくない! 美味しい!
あの時食べたのはブルーチーズっぽい何かだったに違いないと思うほど、大人になってから食べたブルーチーズは美味しいものだった。もちろんシェフの目利きもあるだろう。しかし、自分自身が成長した……もとい、色々なことを見聞きして、少し薄汚れた大人になったからこそフクザツな味というのが分かるようになったのかも……なんて思ってみたり。

ねずみのとうさん アナトール

味覚の変化は成長の証?

大人になると味覚が変わる、なんて話はよく聞くが、自分でもここまでブルーチーズが好きになるとは思わなかった。今ではブルーチーズのピザも、ブルーチーズクリームのニョッキも、美味しく食べられる。こどもの頃の自分が知ったらさぞかし驚くだろう。
ブルーチーズを食べる時、いつも思い出すのは国語の時間に読んだアナトールの話である。昔は「ブルーチーズが好きだなんて変なねずみだ」と思っていたが、今ならアナトールが言っていたブルーチーズの美味しさも解る。小さかった頃は嫌いだったけれど、大人になってから食べられるようになった……その味覚の変化のプロセスには、成長の過程で培った人生の機微が詰まっているのかもしれない。

Written by じょたすけ

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