【カルピスの原型は、モンゴルの馬の乳からできたお酒だった?!】
モンゴル在住ののびです。
夏になると飲みたくなる、日本の国民的飲料カルピス。
実は、モンゴルにも夏になると飲みたくなる飲み物があります。
それがアイラグと呼ばれる馬乳酒。
馬の乳から作った飲み物です。
カルピスの原型は、この馬乳酒にあるとも言われています。
今回は、この馬乳酒をご紹介します。
カルピスの原型になった馬乳酒
カルピスの開発秘話によると、カルピスの創業者三島海雲氏は、1910年代に仕事で訪れた今の内モンゴル地域で、遊牧民が飲む酸味のきいた馬乳に出会います。
そのとき、三島氏は体調が弱っていましたが、この酸乳を飲んだあとから調子がよくなり、その効果に興味を持つようになったそうです。
その体験が、のちに日本でのカルピスの開発、商品化につながっています。
チンギス・ハーンも愛飲した?馬乳酒はモンゴル遊牧民の貴重なビタミン源
器に入れられた馬乳酒は酸味の効いたミルクです (撮影:のび)
馬乳酒は、古くはチンギス・ハーンの時代に飲まれていたという記録があります。
肉が中心となる遊牧民の食生活のなかで、この馬乳酒は貴重なビタミン源です。
酒と言ってもアルコールは1%程度しかありませんので、子どもも飲みます。
馬の出産が終わり、馬乳がではじめる7月あたりから9月頃までが、馬乳酒のベストシーズン。
夏場の遊牧民は、食事は摂らず、毎日数リットルもの馬乳酒を飲み続けています。
まずは馬の乳搾りから
仔馬には申し訳ないとも思いつつ、夏は数時間おきに搾乳します (撮影:のび)
馬乳酒作りは乳搾りから始まります。
仔馬には申し訳ないですが、夏場は数時間おきに搾乳し、一日数十リットル分はいただきます。
これを牛の皮でできた袋に集めて入れます。
馬乳酒の味は地域ごとに異なります
袋に集めた馬乳に、酒母と呼ばれる乳酸菌を加えます。
この酒母は、地域ごとに代々受け継がれています。
菌株が異なることが知られており、それが地域ごとの味の違いを生んでいるとも言われています。
ちなみに、ウランバートルから西に500kmほど離れたBulgan県の馬乳酒が一番美味しいとされています。特にサイハン村でできる馬乳酒は絶品。
Bulgan県以外のモンゴル人もそういいますので、馬乳酒通のモンゴル人にも認められたナンバーワンの馬乳酒といえます。
何度もいただいたことがありますが、確かにここの馬乳酒は酸味が強くなく、いくらでも飲めてしまいます。
あとはひたすらかきまぜます
牛皮で作った袋に集め、木の棒でひたすらかきまぜます (撮影:のび)
集めた馬乳に酒母を加えたあとは、かきまぜます。1Lあたり100回はかきまぜるそうです。
つまり50Lだと5,000回。
これを一晩置くと、翌朝には美味しい馬乳酒が出来あがります。
馬乳そのものの味にほんのりした酸味がブレンドされた馬乳酒は、7月から9月にかけて飲める、モンゴルの夏の風物詩とも言えます。
ちなみに発酵させていますので、翌日になると酸味が強くなって味が落ちます。
さいごに
馬乳酒は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に対する効果も認められており、最近は健康食品としても注目されています。
7月にもなると、この馬乳酒がウランバートル市内でも売られ出しますが、都市部では大きめのペットボトルに入れ、冷蔵保存しておきます。
飲みだすと、心なしか体調もよくなり、短いモンゴルの夏を体全体が喜ぶのを感じます。
ライター のび
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