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読書と食欲の秋にピッタリ!江戸時代の料理小説「みをつくし料理帳」

 

本日は江戸時代を舞台とした「みをつくし料理帳」という料理小説を紹介させていただきます。

作者は髙田郁さん過去には2度にわたってドラマ化もされ、北川景子さんが主演を務めたこともありました。

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京都からやって来た誠実で素朴な料理澪が江戸の料亭で様々なトラブルに巻き込まれつつも

料理の才能と誠実な人柄に惹かれた周囲の人間の協力で厄介事を解決していく…というあらすじになっています。

 

この作品の魅力は素朴でささやかな工夫がこらされた主人公の作る創作料理と

その料理を彩る丁寧な描写にあります。

登場する様々な料理がゆったりとした風情ある美しい日本語、そして登場人物の会話で描写されます。

そのおかげで小説にもかかわらず、我々はその料理がどんな物でどんな味が想像することが出来ます。

その描写が巧みで丁寧で且つ激しく食欲を刺激してくるので一例を紹介したいと思います。

 

当時の江戸っ子は初夏に出回る初鰹を有難がり、戻り鰹は「猫またぎ」と言ってバカにしていました。

主人公はそこで敢えて戻り鰹を使った魚ご飯を作ろうと企てます。

主人公は魚が「猫またぎ」であることを敢えて隠して「はてなの飯」と名付け

食べた人に魚が何であるかを当てさせることにしました。

お祭り好きの江戸っ子はそんなはてなの飯に飛びつき店は大繁盛するわけですが、その時の会話がこちらです。

 

「はてな…。滅法旨いんだが、お澪坊、こいつは戻り鰹じゃあねぇのかい?」

「畜生め、猫跨ぎを旨いと思うなんざ、俺も焼きが回っちまったよぅ。お澪坊、お代わりだ」

 

これだけのセリフで本当に美味しいご飯なのが伝わってきて同じものをつくって食べてみたくなってしまいます。

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京都出身の主人公が頑張って少しずつ江戸向けに工夫して作った料理は決して高価なものではなく、

滋養があって、お客さんに美味しく食べてもらいたいという気持ちが描写のスミズミから伝わってきます。

贅沢ではないけれど、洒落ていて、料理に身を尽くし食べる人のことを考えたその姿勢に

いつしか読んでいるとは好感を抱き、思わず応援したくなってしまいます。

 

また劇中では当時の文化、京都と江戸の料理や味付けの違い、風俗がいきいきと描写されています。

人々が何を食べて何を好み、どのようなサイクルでどんな仕事をして、

どのような生活をしていたかも丁寧に描かれているので

江戸時代にタイムスリップしたような臨場感を味わえる点もポイントです

 

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料理描写以外の物語の本編も非常に起伏が飛んでいて読みやすく

気が付くと続きが気になって次巻を買い求め本を読む手が止まらなくなるほど引き込まれます。

全10巻と少しボリュームはありますが1冊1冊はとても読みやすいので

これからの季節、もしよかったら手をとってみて読書と食欲の秋を楽しんでください。

 

by tori

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