Stingの名曲に学ぶイギリスの食文化
Stingの 「Englishman in New York」 という曲がとても好きです。
Sting – Englishman In New York (Official Music Video)
Music video by Sting performing Englishman In New York. (C) 1987 A&M Records #Sting #EnglishmaninNewYork #Vevo #Rock #OfficialMusicVideo
異郷の地ニューヨークで生活するイギリス人を歌った曲で
サビの「私はニューヨークに住むエイリアンだ」 というフレーズがとても印象的です。
物悲しいメロディから故郷を思うイギリス人の孤高のような感情が伝わって来て哀愁を誘います。
アメリカはイギリスから独立したのだしルーツも同じだし文化も似たようなものではないか、
と思ってしまいますが
イギリス文化とアメリカ文化の有りようは大きく異なります。
この曲、Englishman in NewYork の歌詞も冒頭から
I don’t drink coffee, I take tea my dear
(コーヒーは飲まない、紅茶がほしいんだ)
I like my toast done on one side
(パンは片面焼きを好む)
とアメリカとは強く異なるイギリス文化を強く訴えています
イギリスとアメリカの食文化は違いが多くありますが、歌詞の中にもあるように
とにかくイギリス人は紅茶を飲む、そしてアメリカ人は紅茶をほとんど飲まない
というのがあります。
アメリカでは紅茶を飲む文化があまり成熟しておらず、
そこそこの値が張るレストランでもティーパックの紅茶が出て来たりするそうです
またイギリスの食事はマズい、とよく言われます。
最高の人生とは、アメリカ人の給料をもらい、イギリス人の家に住み
日本人の嫁を娶り、中国人のコックを雇うこと
最悪の人生とは、中国人の給料をもらい、日本人の家に住み、
アメリカ人の嫁を娶り、イギリス人のコックを雇うこと
なんていうブラックジョークもあるくらいです。
イギリス人は味付けもせず野菜をクタクタに煮るヘンなクセがあります。
この野菜を煮た料理が日本人はおろか現地人にもとにかく不評で
イギリスの食事に対する悪評を広めるのに一躍買っています。
↑野菜を味付けせずまとめて煮…味は推して知るべし
ちなみに「魔女の宅急便」に出て来たニシンのパイ、あれも伝統的なイギリス料理です。
劇中で「私このパイ苦手なのよねー!」とイヤがる孫娘を見て
おばあちゃんの気持ちを考えろ!と憤慨した方も多いと思います。
せっかくおばあちゃんが焼いてくれたあんな美味しそうなパイを…
ちなみに実物はこんな感じらしいです。
あ、ごめんちょっと無理かもしれません…。
うん、これは色々ハードルが高いです。あの女の子の気持ちもわかります…。
それにしても中世~近代までに産業革命を経て多数の植民地を保有し
文化的にも高水準なイギリスがどうして食文化だけは豊かではないのでしょうか
「ジェントルマンは質素な食事を取るべき」 、食事は栄養を摂れれば良い、
食事を楽しむ必要はない、という考え方がイギリス社会には強く根付いています
そのせいで食文化が成長しなかったのが、イギリス料理はマズい、と言われる原因なのだそうです。
そんなイギリスの食文化を救うべく彗星のように現れた料理が
日本人にとってもなじみが深いフィッシュアンドチップスです。
イギリスに行ったら悪いこと言わないからフィッシュアンドチップスだけ食べてろ、なんて言う人もいます。
タラの白身を使ったフィッシュアンドチップスはとても栄養豊富で
見た目に反してカロリーも少な目でとても健康的な食べ物です。
イギリスにはフィッシュアンドチップスの専門店が1万店以上、存在しているそうです。
マヨネーズやタルタルソースに加えバルサミコ酢やオニオンビネガーをかけるのが本場スタイルと言われています。
私見ですがニシンのパイを食べ続けた人にとって、
本当に救世主のような料理だったのではないか、と思ってしまいます。
こうやってイギリスの食事を見てみると
豊かな食文化を持つ日本に生まれてくることが出来てよかったな、と思う次第です。
by tori
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