中世のアイルランド料理を紹介!【驚くほどシンプルで美味しい】
アイルランド中、どこを探しても食べられない料理があります。それは、中世に庶民が食べていた家庭料理です。近年、アイルランドは、EUに加盟したおかげで世界中の食品が手に入るようになりました。しかし、中世のアイルランドは四方を海に囲まれた孤島。古代ローマ帝国の流通システムからも切り離され、手に入る食材は限られていました。非常に貧しい環境から生まれた料理は一体どんな味だったのでしょう?作り方や実際に食べてみた感想をご紹介します。
アイルランド料理の歴史については、以下の記事でも詳しく紹介しています。↓
中世のアイルランド料理の作り方
まずは、中世に作られていたと考えられている質素なスープの作り方をご紹介します。まず、この記事を読んでいる誰もが疑問に思うことが、スープのだしは何を使うのだ?ということです。日本なら、昆布、いりこ、鰹節など例をあげたらキリがありませんね。中世のアイルランドには、だしは、ありませんでした。だしがなくても美味しいの!?と思う方、最後の感想までぜひ読んでくださいね。衝撃の事実が待っています。
【材料】
シチュー用の牛肉 600~800グラム
ターニップ(大根とカブとジャガイモを合わせたような味の野菜です)1個
タマネギ 2個
塩 中さじ1~(お好みで付け足してください)
【作り方】
①ターニップの皮を皮むき器でむいて、剥ぐように切っていきます。かぼちゃより固いので体力と忍耐力が必要です。レンジで加熱すれば切れやすくなりますが、中世のアイルランド料理の再現なので、レンジはあえて使いません!
②お湯を沸騰させ、先に牛肉を煮ます。中世のアイルランドでは、脂や油で炒める概念はなかったので、ゆでに徹します!
③タマネギを適当な大きさに乱切りにします。当時の包丁は、精度の高いものではなかったので、乱切りがちょうどいいです!
④お肉がゆであがったら、そのお湯を捨てずに、そのままアクをとってスープに使います。野菜を全部入れます。塩で味付けして、野菜が柔らかくなるまで煮込みます。
ちなみに、このお鍋は、一見何の変哲もない平凡なお鍋に見えますが、実はアイルランド人の夫の祖母から三代受け継がれてきた年季の入ったお鍋です。鍋蓋のつまみを回すと、空気穴を調節できます。昔は、皆こういったシンプルなお鍋でスープを作っていたのですね
⑤空気穴を完全に閉めて煮詰めること約30分。できあがり!
食べてみた感想
【初日】
お肉が少し硬かったですが、味は想像をくつがえす美味しさでした。だしが入っていないのに、この豊かな風味はどこから来たの!?と思いきや、実はターニップとタマネギの仕業でした。牛肉からもいい感じにだしが出ています。あれ?これはもしかしたら、自家製のスープだしでは?と思い、翌日ラーメンのスープに使ったところ・・・↓
【2日目】
再度、鍋ごと加熱したところ、更にお肉が柔らかくなり感動しました。さらに、インスタントラーメンとスープを混ぜたところ、とんでもない美味しさで思わず絶叫。中世のアイルランドとアジアがミックスして開花した瞬間でした。あえて例えるなら、勝手にシルクロードを、海を超えてアイルランドまで開通させた気分です!
中世のアイルランド料理がおしえてくれたこと
私は、今回の実験でとても大切なことに気づきました。それは、スープのだしは、必要ない!ということです。たとえば、魚の味が欲しいなら、かつおをそのまま入れて塩と野菜を混ぜれば、それなりの味になります。その方が無添加で、ヘルシーですよね。中世の人は貧しい暮らしをしていて可哀想だなと思っていましたが、今よりよほどヘルシーで美味しい料理を食べていたのかも知れません。
ライター 【Maroon】
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