ダージリンとアールグレイは何が違う?今更聞けない紅茶の常識と歴史
紅茶が好きです。
最近森永乳業から発売されたリプトンのIRISH TEA LATTEが美味しいです。
独特の風味と普通の紅茶とは違うまろやかで甘い後味が特徴で
「冬!」って感じの飲み心地がクセになります。
ところでアイリッシュってなんだ?
どうアイルランドなんだ?と思って調べてみました。
アイリッシュティーの特徴は紅茶にウィスキーが入っていること。
なるほど、あの風味はウィスキーのものだったのか…
とまた1つ勉強になりました。
…とこのように僕はモノをよく知らないで好きだ!美味い!と
食べたり飲んだりするクセがありまして
紅茶好きと言っておきながら数年前はは
ダージリンとアールグレイの区別もつかない有様でした。
ちなみにダージリンはインドのダージリン地方で採れる紅茶で
「紅茶のシャンパン」とも呼ばれ、セイロンのウバ茶、
中国のキーマン茶と並び世界三大銘茶と称されています。
年に3回採れ、季節ごとに味が違うのも特徴です。
春に収穫されるファーストフラッシュと呼ばれる1番茶は爽やかな風味。
夏に採れるセカンドフラッシュと呼ばれる2番茶はバランスの良い味。
秋に採れるオータムナルと言う3番茶は芳醇な甘さとコクを持っていると言われています。
対してアールグレイというのは銘柄ではなく
ベルガモット(柑橘系)の風味を茶葉に加えたものです。
1830年代にイギリスの首相を努めたグレイ伯爵が
中国のフレーバーティに魅せられイギリスの紅茶会社に
フレーバーティを作るよう依頼したのが始まりと言われています。
名前の由来もアール(=伯爵)、グレイと首相の名前がもとになっています。
グレイ首相
…と紅茶に詳しい方にはこんなことも知らなかったのかよ!
と言われてしまいそうですが、意外と知らなかった人も多いのでは…と信じたい。
幸い、平和な現代社会に生まれて原稿を書いたりyoutubeを見ながら
のんびり紅茶を飲んだりしている僕ですが
そのまろやかな風味とは裏腹に紅茶には血なまぐさい歴史がついて回ります。
その1番有名なものがアヘン戦争ではないでしょうか?
グレイ伯爵が首相を努めた約10年後、1840年
イギリスの上流階級の間では紅茶が大流行、
茶葉の多くを中国(当時は清という国)から輸入していたのですが
反対にイギリスが中国に輸出出来るものは絹織物しかなく
貿易格差がどんどん広がっていきました。
イギリス「このままじゃ赤字や…、なんとか違うモノ売って取り返さにゃ…
なんかないかな…せや、ウチの管轄のインドでアヘン作っとるやないか
あれ代わりに売ったろ」
別に関西弁に深い意味はありませんが
こうしてアヘンをこっそり中国に売ることでイギリスの貿易は大黒字に
反対に中国はアヘン中毒者で溢れかえることになりました。
当時4億人いた中国人の10分の1がアヘン中毒になったというのだから
中国の被害は尋常ではありません。
コレに対し当然、中国はアヘンを禁止する政令を出します
ところがここでイギリスは
イギリス「なんや?ウチのやり方に文句あるんか?
大体お前が調子こいてるからいけないんやろ?」
ということでイギリスは中国に戦争を仕掛けます。
これがアヘン戦争です。
他国の歴史にアレコレ文句を言うのはなんですが
当時の帝国主義全盛のイギリスはやることが本当にえげつないです。
アヘン戦争でイギリス軍に撃破される中国の船
結果は中国の大惨敗、イギリスの死傷者は400人。
対して中国の死傷者は18000人から20000人と言われています。
さらに戦争に買ったイギリスは中国に不平等条約を突きつけます
イギリス「ウチの勝ちや、調子に乗ってるからこうなるんやで、
さて勝ったからには色々言うこときいてもらいましょか
とりあえず2100万ドルよこしなはれ。後はもっとウチと取引してもらうため
今まで閉じてた5つの港を貿易のために開放しなはれ、
さらにそちらの国でウチの人間が粗相をやらかしたとしても
裁判はウチの国でやりますから、ほなよろしく~」
関西弁に深い意味はありませんが因縁に近いカタチで戦争をふっかけて
圧勝して置いて不平等条約を突きつける
ジャイアニズムもここに極まり、という感じですね。
その後実は強いと思った中国が
そんなに強くないことがわかったので
フランス、ドイツ、日本といった諸国も
中国にどんどん不平等条約を突きつけます。
これをきっかけに当時の中国(清)の方たちは
苦しい生活を強いられることになります。
もう1つの紅茶にまつわる有名な事件が
当時のアメリカで起こったボストン茶会事件です。
こちらは1770年とアヘン戦争より前に起きた事件ですが
原因はまたイギリスです(苦笑)
アメリカは独立前はイギリスの植民地でしたが
イギリスはフランスとの戦争でお金がありませんでした。
当時のアメリカはオランダから茶葉を購入していましたが
イギリスはここに目をつけます。
イギリス「オランダはんと仲良くやってるみたいやけど
次からはウチの紅茶を買ってくれや。
もちろん税金はたっぷりかけさせてもらいますわ、ほなよろしくー」
これにブチキレた当時のアメリカ国民は
ボストンに船舶中のイギリス船に積まれた
342箱(価格1万8千ポンド、約400万円相当)の紅茶を海に投げ捨てます。
コレに対しイギリスと当時のアメリカの間に緊張が高まります。
もともとことあるごとにイギリスに税金をかけられ苦しんでいたアメリカ側も
「もうやってられるか!独立してやる!」と独立戦争へ
結果はアメリカの勝利、アメリカは無事独立を果たし世界大国になりました。
紅茶だけが原因とは言えませんが、まさに戦争の影に紅茶あり
と言えるのではないでしょうか?
こうやって歴史に触れてみると、とりあえず平和な現代社会日本で
のんびり紅茶を飲める自分は幸せなのだな、とつくづく思う次第です。
by tori
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