Chef~三ツ星の給食~大切なのは星?プライド?給食業界に革命を起こせ!
失った星を取り戻せ!「お子様へ」三ツ星の給食を届ける痛快ストーリー
給食と聞いて皆さんはどのようなことを思い浮かべるだろうか。大好きだった献立を思い出す方もいれば、苦手なものばかりだったと悪い記憶を思い出す方もいるだろう。私は後者の、給食が苦手な方の人間だった。だが、フジテレビで毎週木曜22:00に放送されている『Chef~三ツ星の給食~』というドラマの主人公が、そんな私の思い出を優しく、そして時に力強く慰めてくれた。
©Fuji Television Network, inc.
本作は、世界でも有数の腕前を持つ天才女性シェフ・星野光子(天海祐希)が主人公。自分が納得する料理を作りたいがために店の意向に従わない彼女は、オーナー(小泉孝太郎)に食中毒事件を画策され、職場である三ツ星レストランを追いやられるように退職することに。料理人としての評判が地に落ちた彼女だったが、彼女に興味を持ったあるテレビプロデューサーが発案した企画で、給食のシェフとして反骨心を再燃させ、子どもたちに料理の腕を振るうことになったのであった。
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ある日突然、三ツ星レストランのシェフから給食を作ることになれば、モチベーションは落ちそうなものだが、たかが給食、されど給食。
自分が作った料理を口にする子ども達がいる。「お客様」が、「お子様」になっただけ。給食だからといって、彼女は決して料理を妥協することはない。
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本作の一番の見所は、給食を作るのはものすごく大変なことなのだ、ということが、はっきりと伝わってくるところである。
給食を食べる子ども達の成長に欠かせない絶対的な栄養のバランス、衛生管理、決められた予算、減らさなければいかない残食率…給食チームが試行錯誤して、黙々と作業をこなす姿は、まさにプロフェッショナル。
そんな厳しい条件を懸命にクリアして作った給食を、私は「不味い」「なんでこんなに美味しくないものを、残さずに食べなきゃいけないんだろう」「コンビニ弁当の方が、おいしい」と思いながら食べていたと思うと、過去の自分を張り倒したくなるほどだ。
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主人公・星野光子は、「お子様」の胃袋を掴むべく、時にはその熱過ぎる想いから周りの人たちと対立しながらも、徐々に溝を埋め、意志を固め合いながら、最高の給食を作り上げていく。
時にはお子様が納得してくれないこともある。結果がすべてうまくいくとは限らない。しかし、料理人として誰かのために全力を尽くして腕を振るうその姿に、胸を打たれるのだ。
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「労働」にも感謝を。ごちそうさまの本来の意味
『ごちそうさま』という言葉の由来をご存じだろうか。
『ごちそうさま』とは、漢字で『ご馳走様』と書く。
ここで使われている馳走という言葉には本来「走り回ること」「奔走すること」という意味があるのだが、そもそも昔は客を料理でもてなすために、文字通り馬を走らせ、駆け回り、食材を集めていたのだ。その労をねぎらい、感謝の気持ちを表すために、この言葉は生まれた。
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今まで本当の意味で、労働を想像し、作る人の立場になって一生懸命に考えて、素直にご馳走様と言ったことはあるだろうか。 このドラマを見た今ならば、私は言える気がする。自分が小学生、中学生の当時は、何も考えられず、ただ不味いと思いながら食べていた給食を作ってくださっていた方々へ、『ご馳走様でした』と。
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「Chef~三ツ星の給食~」は、 労働を知り、感謝を知り、明日からの行動を見つめ直させてくれる、おいしい「三ツ星ドラマ」と言えるだろう。
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フジテレビ系ドラマ「Chef~三ツ星の給食~」オリジナルサウンドトラック
木村秀彬
2016年10月放送開始のフジテレビ系ドラマ「Chef~三ツ星の給食~」(毎週木曜夜10時放送)オリジナルサウンドトラック。 音楽はドラマ「そして、誰もいなくなった」「せいせいするほど、愛してる」や、 フジテレビ系ドラマ「お義父(とう)さんと呼ばせて」も手掛けた、木村秀彬。
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