タイの大衆魚の決定版!プラーニンの名前の由来に見つけた日本との深い関わり
プラーニンってどんな魚?
この写真の魚、アジア好きの人ならどこかで見たこともあるかもしれません。大衆魚で調理法のバリエーションも広く、多くの人に楽しまれている魚で、タイでは「プラーニン」と呼ばれています。
写真はプラーニンを揚げた料理で、タイ語で「プラーニン・トード(揚げ)」と呼ばれています。揚げたての身をほぐすと肉厚・ほっくほくでおいしい!淡水魚なので全く臭みがありません。あまりにおいしそうなので急いで頬張ると、熱がこもっていてアツいアツい! 小鉢にはソースが2種類。パクチー・青唐辛子・ライムなどで賑やかな味のシーフードソースは、すっぱからさが病みつきになる味。このソースのスパイシーさが、一層魚のジューシーさを引き立てます。もうひとつのソースは、おなじみナンプラー。日本でいう醤油にあたる、タイの食卓では欠かせない調味料です。においが気になる人もいると思いますが、タイ歴5年のわたしはもう慣れました。ないと落ち着かないくらいです。
プラーニンの原産はアフリカのスーダンのあたりで、学名はその土地柄から「ナイルティラピア」。ナイル川のナイル、です。雑食で繁殖力が強く、世界中に生息しています。日本にも輸入されていますが、あまり食用としてはお目にかかる機会がないですね。
プラーニンの調理法のバリエーションは多種多様。スチームボート(ライム蒸し)のプラーニン・ヌンマナーウ、塩をまぶしたグリルはプラーニン・パオグルアヒマ。どうやって食べてもおいしい、まさに万能魚。
プラーニンが繋ぐ、日本とタイの歴史
プラーニンは、「プラー」が「魚」で「ニン」が「名前」という意味。その由来を調べてみると日本と縁の深い、おもしろい背景がありました。
さかのぼること今から50数年前、当時タイでは食糧事情が思わしくありませんでした。今では世界一のコメ輸出国にまでなっているタイですが、そんな時期もあったのですね。厳しい状況を聞いた魚類学者でもあった昭和天皇・裕仁天皇が、タイの現王様プミポン国王に、このナイルティラピアの幼魚の養殖を導入することを提案しました。国王は王室プロジェクトでこのティラピアを繁殖させることに成功、その成果は瞬く間にタイ全土に広がりました。この背景を受けて、華僑系タイ人が魚を裕仁天皇の「仁」の字をとって「仁魚」と名付け、これがそのままタイ語に音写され、現在のように「プラー・ニン」と呼ばれるようになった、という歴史があったのです。
そんな日本にゆかりのあるプラーニン。日本でどこまで行ってもマグロの刺身が出てくるように、タイを旅行するとどこでも食べられます。食べ方によって全く違う味が楽しめるので、飽きることのない魚です。タイ旅行の際は、是非ご賞味あれ。
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