『崖の上のポニョ』母が魔法をかけるあの味は…
ノスタルジックにほっとする思い出の味
なんだかお腹がすいてきたな。のんびりとした日曜日の午後。
でも家にはインスタントのラーメンしかない。
一人暮らしをしているとついつい手抜きしがちなわたし。
冷蔵庫を開けてみると、ネギと卵とハムがあった。
ネギを細かく刻んで、卵をゆでて、お湯を注いで、最後に大きめのハムをそっとのせる。
そういえば実家の母は、卵やネギを加えて、ちょっと贅沢なラーメンを作ってくれたな。
うちの両親は共働きで、小さいころからわたしは鍵っ子。
夏休みは3つ下の妹と遊んで、テレビを見ながら母の帰ってくるお昼ごはんの時間を待っていた。
忙しかった母は、よくわたしたちにインスタントラーメンを作ってくれた。
「卵のせるひと~?」
わたしが「は~い!」と答えると、真似して妹も卵のっけてたな。
そんな思い出に浸っているうちに、昔懐かし母の味、あっという間にインスタントラーメンの完成。
こうして一人、ラーメンを作ると、必ず思い出すあのシーン。
ジブリ映画、『崖の上のポニョ』
魚の子だったポニョが人間になって、主人公・崇介の家でラーメンをはじめて食べる場面。

ふかふかの湯気と、醤油の香ばしい香りと、厚みのたっぷりあるハム。
口の中でほのかに広がるネギの甘み。
スープでほどよく柔らかくなった卵の黄身。
想像するだけで口の中がぎゅうって。わたしの中のうま味センサー発動する感じ。
映画を観ているこちらまで、思わず食欲が…
この日は大雨のせいで停電になり、家の中も真っ暗。
そんな中、家にある材料でリサ(崇介の母)がさっと作った、まるで魔法のようなラーメン。
すっかり安心して美味しそうに食べる2人が、わたしを温かい気持ちにしてくれる。
忙しい中でも子どもたちのためにひと工夫してあげたいと思う、インスタントラーメンに詰まった母の愛情。
簡単に作れるラーメンだからこそ、家族の温かみと絆が感じられる。
たった3分でできあがるラーメン。
子どものころ待っていたあの3分間
わたしは待ち遠しかった…。
「まだ開けたらダメ!」
と母に怒られながら、結局我慢できずに開けて、ちょっと固めのおいしくないラーメンを食べてしまったり。
今では一人でラーメンを食べに出かけることも。
母に作ってもらっていたあの頃に比べたら身長も度胸も大きくなったかな。
『崖の上のポニョ』を見ると、遠くに住んでいてなかなか会えない母を思い出す。
実家に戻ったら、わたしがラーメンを作ってあげようかな。
母は何を思い出すんだろう。
自分の母親の作るラーメンの味?
小さかったわたしたちの記憶?
歳をとってしまったことの実感?
一緒にキッチンに立つのもいいな。
わたしに子どもが生まれたら、『崖の上のポニョ』、必ず観させてあげたいな。
おいしそうだよね、お母さんにも、おばあちゃんがこうやって作ってくれていたんだよって。
日曜日の昼下がり
そんなことを思いながらちょっと工夫を加えたオリジナルのインスタントラーメンを作る。
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