【郷土料理】山形名物「冷やしラーメン」!山形で生まれたのは必然だった?!
暑い日が続くと、冷たいものが食べたくなりますね。
冷やし中華、おそば、そうめん…つるっといただける冷たい麺類は、夏のごはんの定番。 しかし山形県ではこの季節、「冷やしラーメン」が圧倒的に人気なんだとか! 今日はこの謎のラーメンについて迫りたいと思います!
(出典:写真AC)
山形県で食べられている「冷やしラーメン」ってどんな食べ物?
冷やしラーメンは、山形県のご当地グルメのひとつ。
氷入りの冷たいスープのラーメンで、最初から氷が入った状態で提供されます。 もちろん麺もゆでた後にしっかり冷やされています。 写真のとおり、通常のラーメンと同じようにスープもたっぷり。
具材は熱々のラーメンとそれほど変わらず、もやし・ネギ・チャーシューやメンマなどが添えられることが多いのですが、生の「きゅうり」がトッピングされることも。
見た目には、湯気が出ていないだけで普通のラーメンとそこまで変わらない印象です。
(出典:写真AC)
山形県で流行したのにはワケがあった!
全国ナンバー1!ラーメン好きな県民性
冷やしラーメンを語るうえで、まずお伝えしておきたいのが山形県民のラーメン愛。 実は山形県は、外食でのラーメン年間支出金額が全国一位(2020年/総務省の家計調査より)。
しかも8年連続での全国一位です! 調査結果によると、「中華そば」の山形市の支出額は1万4473円で、全国平均の6447円を2倍以上上回っています。
(総務省統計局/家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)より抜粋して作成)
ちなみに人口10万人あたりのラーメン屋店舗数も、山形県は1位。 山形県民がどれだけラーメン好きか伝わってきます…!
山形の夏はとんでもなく暑い!!
冬の厳しい寒さや雪のイメージが強い山形県ですが、実際、夏はかなり暑いのです。
どれだけ暑いかというと、1933年7月に気温40.8度を記録したこともあるほど。 2007年8月に熊谷(埼玉県)と多治見(岐阜県)で、40.9度を記録するまで、国内観測史上最高気温の場所だったのです…!
(出典:写真AC)
盆地が広がる山形県では、海で冷やされた空気が山々に阻まれて通り抜けにくく、熱せられた空気がたまりやすいため、暑くなってしまうようです。
「ラーメンを食べたい気持ちはあるけど、今は冷たいものがいい…」という気持ち、よくわかります。 しかし山形県民の中には、冬でも冷やしラーメンを注文する猛者がいるとのこと。す、すごい…!
ラーメン好き文化×暑さが生み出したB級グルメ!
こうしてみると、冷やしラーメンは悪ふざけ等で作られたものではなく、山形県民のラーメン愛と夏の暑さによって生まれたものであることがわかります。
そうなると気になるのが、いつ・どこで生まれたのか。早速こちらもチェックしていきましょう!
冷やしラーメンの発祥は?
冷やしラーメンが登場したのは1952年(昭和27年)。 山形市本町のラーメン店「栄屋本店」の初代店主が、「夏には冷たいそばを食べるんだから、ラーメンも冷たいのが食べたい」という常連客の要望で開発を始めたんだそうです。 単純に麺もスープも冷やすだけかと思いきや、そこには大きな難題が。
(出典:写真AC)
そう、スープです!
熱々だと脂は自然に溶けてスープになじみますが、冷たいと固まってしまい、美味しくなくなってしまうのです…。 冷やしても脂が固まらないように試行錯誤し、完成するまで1年かかったといいます。
昭和27年と言えば、戦後復興期。 当然現在のように保存技術や調理器具が進化・充実しているわけではないでしょう。 開発までの苦労がしのばれるとともに、常連さんの要望に応えたいという店主の心意気にぐっときます!
気になるその味を調べてみた!
あれこれ語っても、すぐにはイメージできないのが冷やしラーメン。 スープはどんな味なのか、麺の太さは、氷は避けて食べるのか…などなど知りたいことはたくさん。< イメージの参考になるよう、冷やしラーメンの味や麺についてご紹介します!
スープはどんな味?
冷やしラーメンのスープは醤油ベース。 もともと山形ラーメンは昔ながらの醤油スープが圧倒的に多く、冷やしも醤油がほとんどなんだそう。
(出典:写真AC)
冷やしラーメンの元祖「栄屋本店」では、牛肉を煮た醤油にカツオ節・昆布を使った秘伝のスープに、油を加えて旨味や風味・コクをプラスしています。 ここで加える油はごま油などの植物性の油。動物性の脂だと白く固まってしまうためだそうです。
そしてスープに浮かぶ氷はそのまま溶けるのを待ちます。 最初のひと口はちょっと濃いかな?と感じる人もいるそうですが、氷が溶けるにつれてちょうどいい濃さになるとか。
麺の太さや歯ごたえは?
山形の冷やしラーメンでは、中太以上の太めの麺を使うことが多いようです。 コシがあって、つるつるモチモチの麺は冷たいスープによく合いそうですね。 またちぢれ麺ではなく、ストレート麺を使っているお店が多い印象です。
(出典:写真AC)
ただし最近では冷やしラーメンの広まりとともに、塩味・トマト味・豚骨味などさまざまな味のスープも登場しているため、太さにこだわらず、それぞれのスープに合った麺を使うことも。
定番から山形県らしいユニークなものまで!多彩なトッピング
トッピングはねぎやもやし、メンマにかまぼこ(ナルトの場合もあり)、海苔…とよく見る中華そばと変わらないものも多いのですが、やっぱり気になるのは「きゅうり」です。
(出典:写真AC)
うすくスライスしたきゅうりが添えられていて、なんとなく冷やし中華を思い起こさせます。 生のきゅうりのシャキシャキした食感が、いいアクセントになるのでしょうね。
またラーメンと言えば、チャーシューが入ることが多いと思うのですが、栄屋本店の冷やしラーメンにはなんと牛もも肉から作られたチャーシューが入っています!
他にも揚げ玉・トマト・ゆで卵・コーン・わかめ・かいわれ・きくらげ・ごぼう…とたくさんのトッピングがある模様。 意外なものあり・納得のチョイスありと、どれも興味深く、間違いなく美味しいであろうラインナップです!
おうちで冷やしラーメンにチャレンジ!
さてこの冷やしラーメン、インスタントの袋めんを使っておうちで作ることもできるんです。 作り方はとっても簡単!
(出典:写真AC)
【材料】 ・お好きなインスタント袋めん(私はサンヨー食品さんの「サッポロ一番」を推します!) ・麺をゆでる用の水 ・氷 ・お好きな具材
【作り方】 ① 袋めんをお湯でゆでます。 私はパッケージに書かれている時間通りにゆでていますが、これもお好みで調整してください。
② 麺をゆでている間に、粉末スープを水に溶きます。 まずは150~170mlくらいで試してみて、少しずつ薄めていくのがいいと思います。 (氷でスープが薄まることをお忘れなく!)
③ ゆで上がった麺をざるにあけ、冷たい水でしっかり冷やしてから水気を切ります。
④ スープに麺と氷を入れて、具材を盛りつけたら完成です!
これ、そんなに厳密に水や時間をはからなくても美味しく作れるのがすごいんです! 冷蔵庫にあったものをちょっとのせるだけでOK、思い立ったらすぐ作れる手軽さもよく、今年の夏のお気に入りメニューでした。
ちょっと凝りたいという方は、生めんを用意して作るのもよさそうです。 また具材とスープの組み合わせで洋風にしたり、エスニック風にしたりとアレンジが効くのもまた楽しいところ。
本場・山形風にするなら、「醤油ベース・太めの麺」の組み合わせがおすすめです。 きゅうりをのせると、より本格的なビジュアルに近づきますよ。
まだまだ暑さが厳しいこの季節、ぜひ冷やしラーメンを試してみてくださいね!
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