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もはや一線を超えたアート 富山の細工かまぼこ

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日本人はなぜ、食べ物に顔をつけたがるのか……。オムライスにウインナー、キャラ弁、ラテアート、はたまた最近は「ぐでたま」とかいう、やる気のない目玉焼きが人気だというではないか。どこもかしこも顔、顔、顔、かお~~~!食べ物に顔をつけるのは、もはや日本のお家芸である。そこにはアニミズムの精神が宿っているのか、どうかは、知らないけども……この歴史、今に始まったことではないらしい。

というわけで、全国ご当地擬人化食材。第1弾は、富山のかまぼこに迫る。

富山といえば、かまぼこだっちゃ!

富山といえば、ブリ、ホタルイカ、白エビ、ますのすし、柴田理恵……。そして、かまぼこ。あまり知られていないが、富山の土産物屋の1/3はかまぼこ屋で占められていると言っても過言ではない。そして大抵、土産物屋の入口すぐの一等地にかまぼこブースがどーんと構えている。それぐらい、富山の人にとってかまぼこの存在は大きい。

このかまぼこ、もちろん県外から来た人にとっても魅力的な存在。酒のつまみに、おやつに、栄養補給に……保存はきくし、手頃だし、何より見た目のインパクトが大なのだ。

喧嘩上等!かまぼこ参上!

さて、随分引っ張ったところで、本題のかまぼこドーン!!

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とにかく、富山にはかまぼこでありとあらゆるものをつくる「細工かまぼこ」という文化がある。かまぼこで雪だるま、かまぼこで富士山、かまぼこで北陸新幹線、かまぼこでスイカ、かまぼこで魚。……って、かまぼこってそもそも魚のすり身だし……先祖返りしてるけど……。

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真剣に細工かまぼこの歴史を考えてみる

ではなぜ、かまぼこでわざわざ形を作っているのだろうか?答えに辿り着く前に、ちょっと立ち止まって想像してみたい。

説1.労働者たちの自我の芽生え、あるいは、個性の主張

昔々あるところにかまぼこ工場で働く男あり。36年間、毎日同じ形のかまぼこを作り続けていたが、ある時ふと、余計なことを考え始めた。

「自分が生きる意味ってなんだろう?」「何を残せるのだろう?」「ていうか、自分が生きた証をこの世に残したい!」

そんな感じでクリエイティビティに富んだオリジナリティ溢れるかまぼこを作り始めたら、みるみるうちに評判になり、遠方からもお客様が訪れるようになった。そして、彼はたちまちかまぼこ職人として有名になり、稼いだお金でかまぼこ御殿を建て、地元の人から大層慕われたそうな。おしまい。……的な話。

説2.手に入らない憧れの品を、手に入りやすいもので作る

こういうのもありそうだ。すなわち、その昔、スイカは高価であり、富山から富士山に行くのは、夢のまた夢であった。だから身近なかまぼこでそれらを模倣した。かまぼこなら作れる。夢を形にできる、というわけである。

と、想像はここまでにして、正解は?
……曰く、お祭りや祝いの席で、祝いの膳を持ち帰ることが一般的だった富山。ならば、「はじめから持ち帰れるものを」、ということで、祝いの品として「細工かまぼこ」が用意されるようになったらしい。つまり、祝いの席に登場する「細工かまぼこ」がはじめにあり、職人のスキルが上がってくるにつれ、エスカレートして富士山やスイカや北陸新幹線ができあがった、という解釈が正しそうだ。

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鶴亀かまぼこはTHE縁起物、という出で立ち

こうして富山では、結婚にもかまぼこ、出産にもかまぼこ、葬式にもかまぼこ、と、かまぼことともに人生を歩むようになった。

ちなみに祝いの席から持ち帰ったかまぼこはご近所さんと分け合うのが富山の風習。つまり、富山の人のかまぼこ人生には、何度もご近所さんからの「おすそ分けかまぼこ」が登場するのだ。人生で頂戴する無数のかまぼここそが、ご近所同士の友情と信頼の証なのである。

富山のお土産は、細工かまぼこ一択!

かまぼこについて学んだところで、県外の人がドヤ顔で「細工かまぼこ」を語れるように、おすすめの店を紹介したい。

おすすめ1「梅かま」

かまぼこ作って70年。「細工かまぼこ」は、かご盛りから単品まで豊富に揃っている。日数があるのなら、名入れかまぼこをオーダーすると良い。
http://www.umekama.co.jp/

おすすめ2「河内屋」

なんといっても、URLが「カマボコ」!これは本物にちがいない。おすすめは「雪だるまくん」と、季節商品の「金太郎かまぼこ」。どちらも抜群にかわいい。
http://www.kamaboko.co.jp/

と、ここで2店を紹介したが、どちらも見つからなくても心配することなかれ。富山の土産物センターにはかまぼこ屋が並んでいるので、そこらへんで適当に買えば良い。どれもおいしく、個性的で、チャーミングである。

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河内屋の雪だるまくん。食べかけで失礼。

かまぼこのありがたいことわざ

では最後に、富山に伝わるかまぼこに因んだことわざを紹介してこの話を〆ることとする。

人生山あればかまぼこあり
人生、いいことがあれば、かまぼこがもらえるよ!

鬼にかまぼこ
強い鬼相手でも、かまぼこがあればもう何も怖くないね!

かまぼこは天下の回りもの
かまぼこは常に世の中を回っている。今かまぼこがなくてもいつか手に入るかもしれないし、今たくさん持っていてもいつか失うかもしれないよ!

転ばぬ先のかまぼこ
いつ何時もかまぼこを持っていれば安心だっちゃ!

終わり。

Written by いまか

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