ウディ・アレンに学ぶ 長続きする恋愛に必要な、たった一つのアレ
大金持ちになった元泥棒と元ストリッパーの行方
『金持ち父さん』シリーズで有名なロバート・キヨサキは言った。
“お金持ちになる方法は2つ。お金を稼ぐ事と、お金を守る事だ”
2000年公開、監督・脚本・主演ウディ・アレンの映画『おいしい生活』は、お金を稼いだものの、守る事に失敗した夫婦のお話。夫婦は元銀行強盗と元ストリッパー。何ともお金を守れなさそうな二人である。
夫のレイは、再び銀行強盗を試みる為の穴掘りのカモフラージュで、「お金が無くても幸せよ」という元ストリッパーの妻フィンチーにクッキー屋を始めさせる。しかし穴掘りを目立たせないために始めたはずのクッキー屋が大繁盛、銀行強盗などしなくても二人は大金持ちになるが…。というお話。内容もジョークもベタなのに、滑稽に笑わせてくれるウディ・アレン節炸裂のコメディ映画だ。
笑える映画ではあるけれど、作中でとても気になった事が…
大金持ちになった元泥棒のレイが食べたかったもの
「ピザ屋を始めろ」と言うレイに、フィンチーはキレながら言う。
「わたしはクッキーと肉団子入りパスタしか作れないわよ!!」
私は耳を疑った。
フィンチーはクッキーと肉団子入りパスタしか作れない。作れるのがクッキーと肉団子入りパスタだけという事は、つまりフィンチーが作れる食事は肉団子入りパスタだけと言う事だ。裕福ではなかった時の二人はどんな食生活を送っていたのだろう…物価の高いニューヨークで食費は一体いくらだったのだろう…
そんな事は映画内では特に重要では無く、結果、フィンチーはクッキー屋を始め二人は大金持ちになるわけだが、クッキー屋が繁盛する前、レイとの食事の為にフィンチーが作っていたのは、やはり肉団子入りパスタだった。
大金持ちになった二人はどんどんすれ違っていくのだが、レイは昔のフィンチーに戻って欲しくてたまらない。レイは言う。
「エスカルゴもトリュフも食べたくなんかない!僕の大好きな肉団子入りパスタを作ってくれ!!」
こじれた関係が直るカップルと直らないカップル
改めて言うが、映画『おいしい生活』は、決して肉団子パスタをフィーチャーした映画ではない。しかし肉団子入りパスタという、ただのパスタではないこの響きが脳みそにこびりついてたまらないのだ。
フィンチーは、レイが肉団子入りパスタを好きだから、それだけは作れるようになったのか、もしくはレイが、フィンチーが唯一作れる肉団子入りパスタを妻同様に愛するようになったのか。どちらにしろ、人間関係がこじれた時に、“やっぱり君の作ったアレが食べたい!”の”アレ”がある夫婦やカップルや親子は強く繋がり続けるもののような気がする。
人間、掴むべき(掴まれるべき)は、胃袋である。
(c)DREAM WORKS
「おいしい生活」は、熟練俳優達がベタでシンプルなストーリーやジョークで笑わせてくれる点が見所だ。脇役でヒュー・グラントが出演しているのも新鮮な風が吹いていて気持ちがいい。そしてなんといっても、女なら今すぐ肉団子パスタを作れた方が良い、という気にさせてくれる映画だ。ただのパスタでなく、肉団子が入っているというところがやはりミソ。
この、なんとも肉団子入りパスタを作りたくなる映画を見た私は早速近所のイタリア人のおばさまにパスタソースをもらいに行って、このパスタを作ってみた。
映画とは関係ないがこのイタリア人のおばさま、カナダモントリオールで愛されるパスタソース “ラサルサデラノーナ(La Salsa Della Nonna)”のレシピ創設者だ。
手前味噌の自画自賛でパンダ悦子な肉団子入りパスタなら確実に男性の胃袋掴める気がします。
今回使用したLa Salsa Della Nonnaソースはカナダ、モントリオールのDrogheria Fineというお店で買えます。モントリオールに行った際には是非。
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おいしい生活 (字幕版)
ウディ・アレン
自称・天才犯罪者のレイは、完璧な銀行強盗プランを思いつく。銀行の近くにある空き家を借りて地下トンネルを掘るというもの。だがカモフラージュとして妻が始めたクッキー店が大繁盛してしまい…。
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