幸せ独り占め!アラサーの貴女、そろそろひとりごはんデビューは如何?
トラ子さんの洞察力・細か過ぎる描写に脱帽
カフェでコーヒーを飲みながら、ゆっくり一人で過ごす時間が好き。でも、一人でご飯はあまり…行きたいお店はたくさんあるし気になるお店もあるんだけど、周りの目が気になって一人だとなかなか入りづらい…。そういう風に考えている人って、多いんじゃないでしょうか?
そんな恥ずかしさを払拭して、一人飯に行く勇気をくれるマンガを紹介します!
日高トラ子『東京おんな一人飯』
©角川書店
著者の日高トラ子さんの実体験を元にした『東京おんな一人飯』、女性の一人ランチの様子が日常のリアルな様子を交えて描かれています。圧倒されるのは、その情報量の多さ。料理はもちろん、お店の雰囲気や、お客さんの年齢層・性別から、店員さんの接客の様子まで…。思わず友達に教えたくなるような飲食店や料理についての豆知識も細かく載っていて、読めば読むほど「一人飯に行きたい!」という気持ちが増すこと間違い無し。特に料理は巧みな描写で表現されていて、食欲を存分に掻き立てられます。なかでもちゃんぽんの描写は素晴らしく、長崎在住の私も共感できる部分が山ほどです!
とんかつのオーダーの仕方にこだわりを見せるトラ子さん
日高トラ子『東京おんな一人飯』 ©角川書店
『東京おんな一人飯』というタイトルから、さぞかしオシャンティなお店についての話かと勘違いしてしまうかもしれませんが…全く違います!驚くことにリンガーハット・吉野家といったチェーン店のことも触れているので、地方に住んでいても共感できる部分や参考になる部分がたくさんあるんです。紹介されているお店はお値段も安価で、敷居もそんなに高くありません。これなら一人飯だって、思い立ったらいつでも行けますね。
アラサー女子の主人公・トラ子さんの妄想がとにかく凄い!
30代未婚のトラ子さんは、本業で漫画を描きながらいくつものアルバイトを経験しています。ネットサーフィンでさりげなく情報を集めつつ、外に取材に(遊びに)出て、またそのことを漫画に描いて、何もない時は家でだらだら…という、賢く自由気ままに生きている人。
そんなトラ子さんの妄想がホントに面白いのです!常人とは桁違いのレベルに膨らんじゃってます。(笑)
「05 永田町編 自民党本部食堂 突入作戦」の回。
東日本大震災が起こった後、被災地の農産物支援のために自民党が党本部の食堂を一般開放していたことはご存じでしょうか。この情報を、普段家でずっとネットサーフィンという名のネタ集めをしているトラ子さんが、逃すわけがないのです。
永田町にある自民党本部に足を運び、食堂に行くまでのエレベーターの中は、おじさんばかり。トラ子さん、「なんだ、いつもの一人飯と変わらないな」なんて思っていたら!!
おじさんの中に紛れて、一人の高身長な若者の姿が。
これはもしや…小泉進次郎?!
もし、小泉議員だとしたら…!声をかけ握手を求めたら、一緒に食堂でランチをすることになる…!それがきっかけで、お互い惹かれ合って…!トラ子夫人になる…!
…99.9%あり得ないトラ子さんお得意の妄想が展開されます。「こんなの、あり得ません。」とわかってはいるけれど、そこがユニークで面白いんです。
妄想から我に返るトラ子さん
日高トラ子『東京おんな一人飯』 ©角川書店
寂しい生活は、一人飯でこそ救われる!?
「02 大久保 インド人の 心配カレー編」では、トラ子さんがインドカレー屋・ミランで体験したことが描かれています。
ミランではカレーの辛さを5段階から選べるので、5段階中3のちょうど良さそうな辛さにしたトラ子さん。でも、このカレーの辛さは日本基準ではなく、もちろんインド基準。3辛でもかなり辛かったようです…。それを見たインド人の店員さんがトラ子さんを心配してくれます。
トラ子さん「血縁関係以外の男性にこんなに優しくされたのは初めて…」と、心が愛とカレーで満たされます。一見寂しく見られがちな一人飯でも、こんなに幸せを感じることが出来るのです…!この愛を、もう一度味わいたい…。
そう思ったトラ子さんは再びミランに足を運び、また心配されたいがために今度は5辛に挑戦します。案の定辛い…!激辛い…!これならまた優しくしてもらえるかも…!?と思いきや、店員さんが忙しくて相手にしてもらえないという、なんとも切ないオチなのでした。(笑)
楽しく、優しく、賢く、そして妄想力豊かに、一人飯の魅力を伝えてくれる『東京おんな一人飯』。たまには人付き合いを忘れて、周りの目なんか気にせず、美味しいものを独り占めしてみてはいかがでしょうか?
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『東京おんな一人飯』
日高トラ子 角川書店
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