物語の主人公は原田織ヱ(おりえ)26歳。センスや才能にあふれた天才型の装丁デザイナーで、とってもスープを愛している女性。織ヱは感受性豊かではあるものの、ちょっと社会人としてはマイペース過ぎる側面が。というのも、一度スープモードになると会社の給湯室でスープを作り始めたり、昼休みにお目当てのスープがあるお店の前で座り込んでしまったり…。少々猪突猛進気味になってしまうほど、とにかくスープ・ラブ。
四季折々の食材にこだわってスープを作ったりおいしく食べたり、スープの思い出に浸ったり、スープを通して人間関係を築いていったり…織ヱがスープとともに過ごす日常を描いたマンガが『オリオリスープ』です。
© 綿貫芳子/講談社
作者の綿貫先生が描く世界観は、装丁デザイナーの主人公にぴったりの描き込まれたこだわりの美術。太めの線が印象的な絵柄は、白黒であるのにまるでカラーのように鮮やかに見えてくるから不思議です。
織ヱの存在感ある人物像を中心に、同じデザイン事務所の同僚・社長たちも個性豊かに愛情深く描かれています。彼らの普段の何気ない生活とともに描写されているのは、人生の岐路や壁に出会った時の葛藤やイラ立ち、悲しみ、それらを乗り越えて前に進む姿…読み進むにつれて作品全体に愛着が湧いてくるようです。
そしてもちろん、その大事なシーンに寄り添っている欠かせないものがスープ。
こだわりまくって本格的に作るスープから、ささっと簡単に済ませる時の汁物まで、その幅の広さに驚くこと請け合い!お雑煮、味噌汁、ポトフ、冷や汁、ポタージュ、お茶漬、すり流しなど、本当にバリエーション豊かです。
もちろん季節折々のオリオリスープなので、冬はもちろん夏にピッタリのスープもあるので、通年で楽しむことができます。材料も、生姜、パクチー、すだち、ネギ、丸鶏、ベーコン、れんこん、鯖、とうもろこし、かぼちゃ、さつまいも…と、ありとあらゆる旬のものが使われているので、自分好みのスープが見つかりそうですよね。
『オリオリスープ』を読んでいると、どうにもスープを作りたい欲求がふつふつと湧いてきます。綿貫先生が丁寧なレシピを作中に描いてくれているので、創作欲求が膨らむのです。もちろんマンガを見ながら作るのも楽しいのだけれど、オリオリスープはクックパッドに公式キッチンがあるので、マンガで読んだスープを実写で見て更におなかをすかす、という苦行を体験することが可能。こちらの公式キッチンにも簡単なものから本格的なものまで様々なレシピが掲載されているので、ぜひチャレンジしてみてください。
オリオリスープはWebコミックサイト「モアイ」と月刊「モーニング・ツー」との並行連載。公式サイトで数話ずつ試し読みが出来ます。気になった方はぜひ織ヱとスープの世界に触れてみては?
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綿貫 芳子
本の装丁家・原田織ヱ(26)は、スープが大好き。スープと言っても、種類は色々。思わず真似したくなる、四季折々のスープを、めしあがれ。
漫画やドラマや映画の登場人物が食べているのを見て、
つい自分も深夜にラーメンをすすってしまった経験が皆、1度や2度あると思います。飯テロです。
様々な料理を扱った数多くの飯テロ作品がありますが、
本日紹介させていただくのは私のおすすめ飯テロ映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」 です。
監督はジョン・ファヴロー。アイアンマンの監督としても有名な方ですが、
そのジョン・ファヴローが監督のみならず脚本・制作・出演(!)も行っているという彼の才気が全編にあふれ出ている作品です。
監督が演じるフランス人料理シェフの“カール”がまたいい味のキャラクターをしています。
本当にオススメなので切実に一切ネタバレしたくないのですが、そうもいかないので最低限あらすじを説明すると、
頑固でプライドの高い一流フランス料理人のカールが諸事情により
キューバサンドイッチのフードトラックを始める…という内容になっています。
作品の前半でカールは由緒正しいフランス料理を作ります。
カールが調理するシーン、この時点で見ていてヨダレが溜まります(笑)
監督自らシェフに弟子入りして包丁さばきを演技のために勉強したようで
繊細な包丁さばきで紡がれていく料理を見ているだけで期待が高まっていきます。
監督をして演技をして包丁さばきを勉強する、監督の熱意に脱帽するばかりです。
この「フランス料理」はいわば映画の前哨戦なのですが、この時点で
「いや、コレで十分です!コレ食べたいです!」 とこの時点で唸らされる格調のある飯テロが画面で繰り広げられます。
オレンジ色のソースと緑色の野菜ソースがカラフルに絡み合う豚バラ肉のロースト
野菜をミキサーしたソースにラディッシュを添えた海老のグリル
そしてヒレ肉のステーキ…他にも美味しそうな料理が次々と登場します。
そして話が進み今度は一転して、カールはカジュアルなフードトラックでキューバサンドイッチを作り始めます。
先述したフランス料理に比べたら安価で庶民的な食べ物ですが
このキューバサンドイッチもまた調理シーンから我々の胃袋を掴みにやって来ます。
バター、オイルが溶けた熱々の鉄板でプレスされたサクサク焦げ目のついたパン。
それに絡みあうトロリと伸びるチーズ、スパイシーなマスタード、肉などの具材の旨味が
見ているだけで伝わってきて…とにかく美味しそうなんです。
サンドイッチを食べるお客さんが本当に嬉しそうで
「美味しいものを食べるって本当に幸せなことなんだな…」という気持ちにさせてくれます。
その後も紆余曲折あるのですが食事、料理シーンはもちろん、人間ドラマ、家族ドラマ、
カールのアクの強いが憎めないキャラクターが
繰り広げる怒涛の展開、どれをとってもとても魅力的な映画です。
この映画を見てよかった、また見たい、そんな幸せな気持ちになれる映画ですので
もし機会があったらぜひ一度見ていただきたいです。
Written by tori
『茄子』というマンガをご存知だろうか。このマンガを読んで、私は衝撃を受けた。こんなふざけたタイトルで、まさかこんなに名作だと思わなかったからである。『茄子』というタイトルでとにかくインパクトを出して、読者を集めたいだけであり、あの食べ物の茄子とは全く関係ないのでは、とさえ思っていた。
このマンガは基本オムニバス形式であり、すべての話に茄子が絡んでいる。温かく繊細なタッチで書かれており、最近乱立しているデスゲーム系、終末系のマンガに辟易している読者の皆様には、ぜひ読んでいただきたい。
このマンガの著者は黒田硫黄という。2007年に日本テレビ系で放送された、松山ケンイチ主演の「セクシーボイスアンドロボ」の原作や、前編フルCGの映画「アップルシード」の原作を描いていると聞くと、ピンとくる方も多いかもしれない。そんな名作メーカーがなぜ「茄子」のマンガを描いたのか。
それはある夏の夜、作者の夢に出てきた茄子の化身から、「俺をタマネギよりもメジャーにしろ!」と使命をうけたから、であるらしい。
茄子とタマネギ、どちらがメジャーであるかは甚だ疑問ではあるが、「玉葱」というマンガが2016年現在に存在していない状況を鑑みると、黒田硫黄の企みは成功していると言えるだろう。黒田硫黄を茄子マンガの作者に選んだ茄子の化身にも、賞賛を送りたい。茄子の化身、本当に君は良い仕事をした、ありがとう。彼を選んでいなければ、茄子はメジャーになるどころか、この世から消えさっていたかもしれない。
もし、茄子がなくなったら世界はどうなっていただろうか。
いなくなってから気づくあなたの大切さ、などとよく言うが、もしこの世から茄子が消えてしまったら焼き茄子も食べられなくなるのだ、と考えると、すこぶる恐怖である。何を隠そう私は焼き茄子が大好きである。
そこでその事実がどれほどまでに恐ろしいものか、実際に検証してみることにした。
焼き茄子といえば、かつおぶしとポン酢だろう。
茄子を焼いてしまえばかつおぶしをまぶして、上からポン酢をぶっかけるだけ。しょうゆ派の方もいるだろうが、焼き茄子の香ばしさにはポン酢の酸っぱさがピッタリなのだ。
だが、思い出して欲しい。この世界にはそもそも茄子が存在しないのだ。
それでも焼き茄子を作ろうとしたら、どうなるか。
まずは、茄子を切る。
当然だが、この世界には茄子がないから、焼き茄子を作っても何も切るものがない。(この時点で、すでにおそろしい。)
フライパンに油を引いて、茄子を焼く。 当然だが、この世界には茄子がないから、焼き茄子を作っても何も焼くものがない。
茄子が焼けたら、アツアツの茄子の上にかつおぶしをまんべんなくかけて、一気にポン酢をかける。ジュワーっという音と、茄子に味が染みわたっていく時の香ばしい匂いが、食欲をそそる…はずだが、茄子がない。茄子がないのだ。
それではいただこう。茄子がなくなった世界で作った焼き茄子、果たしてどんな味がするのだろうか??
油だ。
ポン酢の味と、かつお節の匂い。それしかない。茄子の風味は、どこにもない。
私はいたたまれない気持ちになった。やっぱり焼き茄子には、絶対に茄子が欠かせないのだ。(当たり前だ)
茄子は、この世に必要なのである。
茄子のない世界、そこには恐怖や苦悩、虚無が満ちている。
改めて黒田硫黄、および茄子の化身に敬意を払いたい。
ありがと茄子。
東京・世田谷区は下北沢。
本多劇場をはじめとした数々の劇場、多くのライブハウス、点在する古着屋や雑貨店、そして無数の居酒屋・カフェ・バー…様々な食と文化が入り混じる、まさにヤミー!な街。
この街で行われる「餃子の旅」へのお誘いを受けたので、嬉々として行ってきました!
メンバーは20~30代の女3人。
ルールは簡単。各店でストイックに餃子のみを食べて、できるだけ多くの店舗を巡ること。(もちろんビール付き。)好きなものを食べていいのは最後の店だけ、というもの。
まずは、今回の旅の参加者中最年少かつエンゲル係数の高さNO.1が選んだ居酒屋・第三新生丸へ…こちらは八丈島の食材をふんだんに使ったお料理が自慢のお店。 早速生ビール!と、焼餃子を注文!
羽根!!!!!!
こちらの餃子、もう言っちゃいますけどこの日3人の一番の評価を叩き出した逸品。
餃子ひとつひとつが大きくて、皮はモチモチ厚くて、焼けた底がパリッパリ。タネはじゅわーーっとジューシーかつ肉感がっつり、パンチの効いた強気なニンニクのバランスが余りにもばっちり。青ネギとゴマが入った餃子のタレがついてくるのですが、これがまた絶品!餃子との相性が抜群なのでした。
3人で食べながら、「最高OF最高」「人生ナンバーワン餃子」といった言葉が飛び交いました。本当に全くその通りなのです。
それにしても何故一軒目を居酒屋にしてしまったのか…誘惑が多すぎる…
早速ルールを「おなかに溜まらないものなら1品は頼んで良い」と変更することに。意志が弱いってこういうことです。
結局「鯵のなめろう」を頼んで、ビールもお代わりする始末。しかもこのなめろうが!叩きたての鯵にしょうがと葱がたっぷり。お酢をつけて食べると味が変わっておいしいよ、というアドバイスに従ってみると、あまりの感動に大声が出るほど。いっそこのままここで飲もうよ、という誘惑を涙を飲んで断ち切って、お会計。
『まんがタイムきららキャラット』にて連載中の4コマ漫画「ブレンド・S」(作・中山幸)。 この秋にアニメ化される、注目の作品なんです。
(c)中山幸/芳文社
まず気になるのがタイトルの「ブレンド・S」の意味。
普通に考えれば喫茶店やコーヒーショップで注文するときの「ブレンドコーヒー・Sサイズ」という意味ですよね。
ところがこの作品だと、ちょっと意味が違うみたいなんです。
物語の主人公は、なかなかアルバイトに採用されないことが悩みの女子高生・桜ノ宮 苺香。
本当は優しいのですが、ちょっと人付き合いが苦手なことと、目つきが悪いことが原因で、周囲は彼女を誤解してしまっていました。
(c)中山幸/芳文社
そんな苺香がある日偶然たどり着いた喫茶店「スティーレ」は、スタッフが様々な「属性」を演じて接客する、ちょっと変わったお店でした。
たとえば「妹キャラ」「ツンデレキャラ」「お姉さんキャラ」「アイドルキャラ」など…
ちょっとしたメイドカフェのようなコンセプトなのです。
この店の店長であるイタリア出身のディーノに気に入られた苺香は、スタッフとして働くことになります。
ここで苺香に与えられた属性が「ドSキャラ」。
そう、「ブレンド・S」の「S」は、「ドS」の「S」だったのです!
(c)中山幸/芳文社
2016年の秋からのTVアニメ化、そして2017年の豪華キャストによる実写映画化と、話題のたえなかった『3月のライオン』。 嬉しいことに、2017年10月より、2期TVアニメの放送が決定しています。
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
『3月のライオン』といえば、将棋を題材にした作品ですが、それ以上に人間ドラマの側面が強い作品でもあります。
主人公・桐山零の成長に欠かせない、様々な人との出会い。
今回はその中でも、彼の心の大きな支えとなっている「川本家の食卓」と一緒にTVアニメ1期を振り返りましょう。
主人公・桐山零
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
史上5人目となる中学生プロ棋士となった主人公・桐山零の成長を描く『3月のライオン』。
幼いころに両親と妹を交通事故で亡くした彼は、生きていくための手段として、父の友人・幸田の内弟子となり、将棋の世界に入ります。
零は内弟子として引き取られた家に馴染めず、中学卒業とともに半ば逃げ出すように、六月町という町で一人暮らしを始めます。
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
ある日、零が無理やり飲まされ潰されているところを、隣町の三月町に住む川本家の長女・あかりに助けられます。
このことがきっかけとなり、川本家が彼の新たな居場所となっていきます。
手前が川本家長女・あかり
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
『3月のライオン』は、孤独を強く感じていた桐山零が、温もり溢れる川本家との交流を通して、頼り頼られる関係を築いていく姿に心打たれる物語でもあるのです。
毎日のランチタイムのために、お弁当を作っている方に質問です。
お弁当づくり楽しいですか?
正直、朝早起きして寝ぼけ眼で作るお弁当は、サボりたい習慣の1つだと思っている方も案外多いのではないでしょうか?
もしそのお弁当づくりが、美味しいのに楽チンだったら、毎日のお弁当づくりも楽しくなると思いませんか?
今回は楽しいお弁当づくりのアイデアが沢山詰まったマンガ『僕のランチを邪魔するな!』をご紹介します。
(C)Kaho/SQUARE ENIX
ガンガンオンラインにて連載されていた、香穂先生の『僕のランチを邪魔するな!』は、弁当作りに情熱を注ぐ男子高校生(DK)の日常を描くグルメコメディマンガです。
(C)Kaho/SQUARE ENIX
主人公・米田 育(よねだ いく)の高校生活は、弁当を中心に回ります。
前日からお弁当のレシピを考え材料の仕込み、当日は早起きをしてお気に入りのお弁当箱に作ったメニューを詰め、華やかなランチクロスで包んで、ウキウキ気分で学校に持参する徹底ぶり。
手作りのレシピ集を作ったり、自分の作ったお弁当に可愛らしいタイトルをつけたりして、お弁当づくりを楽しんでいるのです。
育があまりに美味しそうに食べたり作ったりするので、次第に彼の魅力に吸い込まれるように愉快(ちょっと変)な友達が増えていきます。
育のちょっといきすぎたテンションや、友達とのやりとりといったコメディ要素も散りばめられていて、クスクス笑いながらどんどん読んでしまうこと必至。
(C)Kaho/SQUARE ENIX
先日の藤井聡太四段連勝のニュースには大いに世間が湧きましたね。
なかでもワイドショーなどでは連日藤井四段の「お食事」が取り上げられていました。
というのも、将棋の対局は所要時間が長く、かなりの体力を消耗します。
そこで重要になるのがエネルギー補給=食事!
棋士の方々は、好き嫌いや気分はもちろん、縁起をかついだり対局相手によって変えたりと、それぞれ様々なメニューの決め方があるんです。
そんな棋士と食事の関係を描いた漫画が『将棋めし』(作・松本渚)。
藤井四段の連勝記録ストップとなった対局で注目された「みろく庵」も登場します。
主人公は「峠なゆた」。
父がプロ棋士、母が女流棋士、という将棋一家で生まれた若手女性プロ棋士です。
なゆたの食事へのこだわりは、やはり棋士ならでは。
ゲンを担いで毎日カレーにしてしまったり、お寿司を食べる順番を対局と重ねて決めたり…
『将棋めし』松本渚
株式会社KADOKAWA
屋根裏に隠されていた古いレシピブック
変な名前の、まほうの料理
隠し扉の向こうにある、スパイス棚
怪しげな館に住む怖いおばあさん…
これらのキーワードを聞くだけで、ワクワクする方は少なくないのでは無いでしょうか。
今回紹介するのは、Amazonオリジナルドラマ「まほうのレシピ」。
まほうと料理をテーマにした、ファンタジーミステリーです。
主人公のケリーのおばあちゃんは、ある日突然喋らなくなってしまい、ケリーの言うことにも無反応な様子になってしまいます。
おばあちゃんを心配するケリーですが、親友のダービーとハンナと一緒に屋根裏部屋で隠されていたを発見します。
左からハンナ、ケリー、ダービー
見つけたレシピをもとに「おだまりケーキ」を作ってみると、ケリーの弟が喋れなくなり、「癒やしのヘーゼルナッツ・タルト」はダービーがケガした脚を治してしまいます。
3人はこのレシピブックの料理には「まほう」が宿っていることに気づき、おばあちゃんの症状も魔法で治せるのではないか?と思い始めます。
ケリーの弟が喋れなくなったおだまりケーキ
ダービーの足を治した癒やしのヘーゼルナッツ・タルト
登場するまほうのレシピの数々は、その名前も超個性的!
レシピブックは全て手描きです。
「おだまりケーキ」や「癒やしのヘーゼルナッツ・タルト」の他にも、
脳みそぶっ飛びボロネーゼ
やり直しだよ人生はピリ辛シタビラメ
牛をなだめるサンドイッチ
壁は見ていたタコス
ぶっ壊し月のペロペロキャンディー
など…一体どんな効果の魔法がかかるのか、想像できないですよね笑
想像とは違う意外な効き方をする料理も、しょっちゅう登場します。
こちらは「呪いを解くストーンフルーツあめ」
これらのレシピは、ほとんどが普通のレシピと作り方・材料は変わらないのですが、ひとつ違うポイントが、前述した通り、「まほうのスパイス」を使うところ。
まほうのスパイスは、身体に作用するもの、移動に関わるもの、時間を操るもの、など様々な種類が存在します。
カーネジアカイエン、エリージャンシュガー…聞いたことのないスパイスばかり
ひとさじ、ひとつまみ、少量…絶妙な量の差を間違えるだけでも、居眠りの魔法が昏睡の魔法に変わってしまうくらい、とても繊細なものです。
3人がそれぞれのスパイスの特性を理解し始め、ちょうどいい量に調合したりして料理するのを見ていると、ちっちゃな魔女の実験室を覗いているようなワクワクした気持ちになります。
壮観な、まほうのスパイス棚
このまほうのスパイス。
種類によっては、使用する代わりに対価を支払わなければならないものも…
歌うようにしか話せなくなったり、街中の落とし物が集まってしまったり、過去の出来事を忘れてしまったり…
この対価が原因で3人を様々なトラブルが襲います。
まほうを解いたり対価を終わらせるには、大切な人に大事な思いを伝えたり、誠実さをもって謝罪をすることなどが必要になるので、3人は次第に成長していきます。
「なくし物フォンデュ」で引き寄せてしまった街中のなくし物
3人の少女の年齢設定は7年生なので、ちょうど中1くらいでしょうか。
小学生の女の子が見たら、魔法の力を次第に使いこなすようになる様子は頼もしく、憧れる存在に映るかもしれません。
おばあちゃんのために一生懸命料理したり奔走する姿は、大人が見ればとてもかわいらしくて健気で、ちょっと涙を誘うほどです。
美味しそうなものからちょっと微妙そうなものまでオリジナリティあふれる料理は、もちろん毎回登場します。
まほうのスパイスがないと再現するのは難しいので、実際の料理の参考にはできませんが…笑
エリジアンソルトとリヴォニアンオイルをかけたチキン・シュニッツェル
そんな子供から大人まで楽しめるドラマ「まほうのレシピ」、現在シーズン2まで作られています。
Amazon Prime会員なら無料で楽しめますので、是非チェックしてみてくださいね。
5月20日、21日に行われた都市型フェス、GREENROOM FESTIVAL 2017。
今回は、このお洒落イベントのフェス飯事情を探りに潜入してきました!
GREENROOM FESTIVALは、「Save The Beach, Save The Ocean」をコンセプトに、サーフ・ビーチカルチャーをベースとした音楽・アートフェス。
会場も赤レンガ倉庫とあって、音楽を聞きながら横浜の海が望め、時には海風が通る、とっても気持ちのいいロケーションで開催されています。
まさに都市型フェス!といったオシャレ感が満載で、会場内にはいたるところにガーランドやテント、ハンモックなどのフォトスポットが点在しています。
まずはビール!超!快晴です。
早速フェス飯調査に乗り出します!
フェスらしく屋台が基本ですが、どの屋台もなんだかお洒落に感じます。
こんな可愛らしいワゴンのお店も有りました。
全体的にはタコライス、チリ、カレーなどのメキシカンやスパイシーな料理が多め。
海に寄り添ったフェスらしいラインナップです。
さっそくブルースカイエリアで、先ほど写真に出ていたLunch Stand tipiさんの、タコライス、チリポテト、リングィーサを頼んでみました。
このリングィーサというもの、アルファベット表記ではLINGUICA。
リングイカと誤読して、てっきりイカリングだと思ったら、その正体は巨大ソーセージ!
リングィーサとは、ポルトガルやブラジル、ハワイやカリフォルニアで食べられている、豚肉に唐辛子などのスパイスが入った燻製していない生ソーセージなんだそう。
かなりジューシーで食べごたえがあり、ビールの進むお味でした。
ARAWIGOKITCHENさんでは、パクチーポテトとグリーンカレーをいただきました。
グリーンカレーにはチキンがドーン!と乗っていてかなりボリュームたっぷり。
パクチーポテトは、個人的にはもっとパクチーがモリモリでもよかったかも。。。
ハミングバードエリアでは、かねよ食堂さんの三崎まぐろロースト弁当を!
小梅が乗っているので和な味付けかと思いきや、ソースはスパイシー。
これは意外でした。
このエリアはとっても立派なツリーハウスがあって、夜のライトアップされた様子はとってもきれいなんです。
GREENROOM FESTIVALの会場は、横浜赤レンガ倉庫の店舗エリアと、特設エリアに分かれています。
特設エリアはチケットを購入しないと入れませんが、店舗エリアはチケットがなくても楽しめるようになっています。
サーフマーケットと称して、様々なブランドや店舗がテントで物販コーナーを設けていて、とってもにぎやか。
我々はこちらのエリアで、なんと崎陽軒のシューマイを発見!
ビールに合うね~とっても合うね~、とおいしくいただきました。
野外で座ってビールを飲みながら青空の下、崎陽軒のシューマイを食べる経験って、めったに出来ないですよね笑
今回の調査で、ヤミー!的に最も美味しかったフードを2つ紹介します!
(選考基準は、「ビールに合う」、「スパイシーさに疲れた時によい」となっておりますので、あしからず…)
ひとつめは、J.S. BURGERS CAFÉのスモークターキー!
ターキーだからこそ、チキンとは違ったハンパじゃない大きさの逸品。
一人では食べ切れそうにないボリュームです。
スモーク加減がちょうどよく、とにかくビールに合いまくります。
他のフードが盛り付けで時間がかかって並ぶなか、スモークターキーは並ばずに変えるところも高ポイントでした。
ふたつめは、赤レンガ倉庫内のPatagoniaブースで出会った、ワイルド・ソッカイ・サーモン!
もともと加熱調理済みのスモークサーモンがパウチになって販売されていて、トルティーヤ・チップスとともに提供されます。
これが本当に美味しいんです!!!
味付けはシンプルに思えますが、程よい塩味とサーモンの旨味、スモークの絶妙さが完璧なバランスです。
Patagoniaのオリジナルビール、ロング・ルート・エールとともに楽しめば、気分は最高。
実はこちらはPatagonia内のキャンプやトラベルに適した食品を製造しているプロビジョンズの商品。
Patagoniaのオンラインストアでも買うことが出来るので、キャンプやピクニック、お花見の時に持っていけば、その日の人気メニューNO.1となること間違いなしです。
今年のGREENROOM FESTIVALでは、たくさんのおいしいフェス飯に出会うことが出来ました。
他のフェスで今回おすすめしたフードを見かけたら、是非食べてみてくださいね。
ちょっと感傷的になったり、気持ちに整理がつかない時…ちょうどいい距離感で優しく話を聞いてくれ、おいしいお酒を作ってくれるバーでマスターとおしゃべり、なんて出来たら良いですよね。
今回紹介するのは、吉村喜彦さんによる小説『バー・リバーサイド』です。
舞台は東京・二子玉川にある席数わずか7席の小さなバー・リバーサイド。
静かな空気感の落ち着いたお店で、マスターの川原草太とスタッフの新垣琉平が働いています。
彼らと6人の個性的な常連客が繰り広げるのは、それぞれの世界で様々な境遇を経た者たちならではの印象的な会話劇。
物語は5つの短編で構成されていて、ページ数も多くないので、あっという間に読み終えてしまいます。
全ての短編にそれぞれの会話にちなんだお酒や料理が登場するのですが、作者の吉村さんは元サントリーの宣伝部勤務というだけあって、その描写が独特なのです。
たとえば、うどん店で働く客・井上が語るのは、あの世とこの世に関するちょっとスピリチュアルな話題。
スタッフ・琉平が出身地である沖縄特有の死者の埋葬方法を語り始めます。
沖縄には洞窟が多く、昔はその中に亡くなった人を葬って、亡くなって七年後に親戚がその骨一本一本を丁寧に泡盛で洗ったそう。
使う泡盛はできれば、与那国島で作られる60度の泡盛・花酒がいいとされていたといいます。
井上が静かに相槌を打ちながら琉平の話を聞いていると、突然マスターが目を輝かせていいます。
「あ、いいカクテル、思いついた!」
シェイカーに氷を入れ、花酒をとろりと注ぎ、
シャカシャカ、シャカシャカッ—-
マスターがシェイカーをかなり激しく振り続ける。
シェイクの決め手は
氷を微妙に溶かし、酒に水を入れることだ。
水と空気によって、酒が開かれ、香りがたち、液体の味はまろやかになる。
円錐形のグラスに、できたかカクテルをやさしく注ぎ入れた。
シェイクのおかげで、液体の色は、ほんのり霧のかかったような乳白色。
グラスには、きめ細かい霜がびっしりとついている。
マスターは表面張力ぎりぎりまでグラスに液体を注いだ。
グラスの縁の液体が、ぷっくり膨れてエロチックだ。
「マスター。これ、何ちゅうカクテルなん?」
「花酒シェケラート。花酒をシェイクしただけ。」
花酒シェケラート、こんな素敵な文章で描かれると味がとっても気になりますよね。
他にも、紹興酒と烏龍茶で作るドラゴン・ウォーター、桃のカクテル・ベリーニ、ジョニ赤のハイボール…様々なお酒が個性豊かに登場します。
フリーライター・森の話題は、少しディープな人間関係の悩み。
落ち込み気味の森にマスターが差し出すのは、ダーティ・マティーニです。
こんな言葉をかけます。
「マティーニは時を重ねるごとに、どんどんドライになっていきました。でも私は、影と湿り気のある方が好きなんです。だから、森さんにはこのカクテル。
切れ味が過ぎると、その鋭い刃で、自分が怪我をすることになります。加減が難しい。少し澱(おり)を残しておいた方がいい。そう。自分の『いい加減』を見つけることがたいせつです」
こんな風に、マスターの心に響く名言が飛び出しまくるのも、この小説の魅力の一つ。
その言葉の数々は決して説教臭かったり押し付けがましいことはなく、常連客達の心に寄り添おうとしているようで、説得力があります。
おいしいカクテルや料理と共に、人情味あふれるマスターの言葉たちが、お客さんの悩み・葛藤・迷いをそっと包んでくれるバー・リバーサイド。
読んでいると、常連客達の心や体のどこかに詰まっていた何かがすっと押し流されていくのを見守っているような感覚になります。
帰路につく頃に、どこかすっきりとした表情になっている彼らの顔が浮かぶよう。
春や初夏の涼しい夜、お酒を片手に是非読んでいただきたい一冊です。
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二子玉川にある大人の止まり木「バー・リバーサイド」。炭酸の音とジンとライムの爽やかな香りが五感を刺激するジン・トニック、水の都で生まれた桃のカクテルベリーニ。月の光がウイスキーになったムーンシャイン、真夜中のペペロンチーノ。チェダーチーズにギネスを混ぜ込んだポーターチーズ…など。マスターの川原とバーテンダーの琉平は、おいしいお酒&フードとあたたかな心づかいでお客を迎える。「花の酒、星の酒」「自由の川」など五篇収録。