小さな料理店の群像劇『ごはんのおとも』に、目も心も大満足!
全編フルカラー!美味しそうで心癒される「ごはんのおとも」
今日ご紹介する『ごはんのおとも』は、たな先生によるグルメコミック。
路地裏にひっそりと佇む料理店「ひとくちや」と、ここに集まる人たちの日常がオムニバス形式でつづられています。

ごはんのおとも
(出典:https://books.rakten.co.jp/rb/13134619/)
登場人物は幼稚園に通う女の子から、孫を持つおじいちゃんまでさまざま。
それぞれの毎日を切り取りながら、美味しそうな「ごはんのおとも」を交えた優しいエピソードが展開されていきます。
「ごはんのおとも」と言えば正直、決して派手ではないイメージがあります。
実際、1巻で描かれているラインナップを見ても、なすの浅漬け・なめたけ・とりそぼろ・こぶの佃煮…となかなかの地味さ。
けれど絵の力と、短くもきれいにまとまったストーリーで、そんなことを全く感じさせないのがこの漫画のすごいところです。

ごはんのおとも
(出典:©たな/実業之日本社)
給食だってこんなに美味しそう。
ご飯やお味噌汁から立ちのぼる湯気まで、細かく書き込まれていて、食欲をそそられます。
全編フルカラーで描かれているのも、食欲をそそる一因になっています!
私のお気に入りエピソードはこれ!
どのエピソードもおすすめなのですが、私が一番印象に残ったのは「シソみそと焼きおにぎり」の回です。
大学に入学し、一人暮らしをはじめた「マイ」。
新しい生活や環境になじめず、恥ずかしがりな性格も災いして、友だちができません。
田舎を出るときにお母さんが持たせてくれた、シソの苗に話しかけることで、寂しさを紛らわせる日々を送っています。

ごはんのおとも
(出典:©たな/実業之日本社)
そんな生活にも限界を感じていたある日、実家から荷物が届きます。
そこには家族からのたくさんのメッセージも同封されていました。
メッセージはとてもにぎやかで、騒がしくも懐かしい実家の面々をマイに思い出させ、思わず涙をこぼしてしまいます。

ごはんのおとも
(出典:©たな/実業之日本社)
ついに心が折れたかに思えたマイですが、その夜は実家のお米でおにぎりをつくり、じいちゃんお手製の味噌とベランダのシソを混ぜた「シソみそ」を塗って、豪快にかぶりつきます。
実家をぎゅっと詰め込んだおにぎりを食べながら、「おいしい!」「だいじょうぶ!」「がんばれる!」と自分を励ますマイの姿で物語は終わります。

ごはんのおとも
(出典:©たな/実業之日本社)
ちなみにこのお話には、意外なオチがついています。
また2巻では、マイのちょっぴり成長した姿も描かれているので、気になる方はぜひ読んでみてください。
日常を描いているからこそ、自分を重ねてしまうのかも
私がマイのエピソードにぐっと来たのは、自分にも似たような経験があるからかも知れません。
上京したばかりの頃、何もかもが今までと違う生活にうまく気持ちがついていかず、寂しさから地元の友人にしょっちゅう連絡していました。
マイの家族のように、たくさんのメッセージで励ましてくれたことが懐かしく思えます。
ここにおさめられているエピソードは、どれも日常のひとコマ。
ちょっと嬉しかったり、悲しかったり、切なかったり、恥ずかしかったり。
これからも経験していくであろう心の動きとともに、自分に響くエピソードがまた変わってきそうです。
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