教師、JK、幼稚園児が料理に奮闘『甘々と稲妻』は料理苦手女子の教科書?
毎週末の思い出は、2時間待ちの父のごはん
私が小学生だった頃は、毎週土曜日の授業はお昼まで。両親が共働きだったため、毎週末に昼ごはんと夜ごはんを作るのは父の担当でした。空腹も限界に達した頃に授業が終わり、友達と話すこともなく猛ダッシュで帰宅すると、父は悠長にテレビ(しかも大河ドラマと朝ドラの再放送!)を見ながらまったり…。番組が終わるまで、もちろんご飯はお預け。切りのいいところで、「おとん、お腹空いたーーーーーっ!」と叫び、やっとこさ、お昼ご飯を作り始めてくれるのです。メニューは決まって、玉ねぎとひき肉しか入っていない焼きそばか、インスタントのカレーうどん~落とし卵入り~。男の料理とは野菜が少なく、味が濃く、ただただ脂っこいものなのだと、小学生ながらに思っていました。
毎週末、私と姉は普段仲が悪いのにここぞとばかりに一致団結して、マイペースな父に早くご飯を作らせるべく試行錯誤。のんびりした父は、なぜかご飯を食べる時だけは厳しく、空腹の限界が過ぎてもはや睡眠欲しかない私たちに、こってり味の焼きそばを出して、「俺の作った飯が食えんのか!」と激怒。眠気と戦いながらご飯を食べていたのも、今ではいい思い出です。
これがイマドキの料理マンガだ!その名も『甘々と稲妻』
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、今回はそんなうちの父とは正反対!?心温まる親子の料理マンガをご紹介します!その名も、『甘々と稲妻』です!!
主人公は妻に先立たれた高校教師・犬塚公平(通称おとさん)とその娘・つむぎ、そして”おとさん”の生徒で、料理研究家の母親を持つ小鳥の3人です。”おとさん”は料理初心者。小鳥は料理の知識は豊富ですが、ある出来事をきっかけに包丁を使うことができません。つむぎは、まだまだ料理なんて出来ない幼稚園生。
そんな3人が一致団結して料理に挑み、奮闘する様子を描いたのが、この作品です!
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
『甘々と稲妻』、料理マンガとは思えない不思議なタイトルですが、由来はというと……作者である雨隠ギドさんが以前に受けたインタビューでは「ご想像にお任せします!」とのことでした。ネット上では「甘々」とは小鳥とつむぎの甘えん坊2人を指し、「稲妻」は”妻がいない”ということから、”おとさん”のことを指しているのではないか、という意見もあります。また、「よく漫画やアニメのシーンにある衝撃を受けた時、稲妻が描写されるから」といった説も出ています。作者は他にも「1日人生を見つめなおして、今のタイトルをひねり出した」とも言っています。由来は結局謎のまま……。
お母さんじゃなくて、お父さんが料理をするの?
2013年より講談社アフタヌーンで連載されており、単行本は7巻まで出ています。2016年7月からはアニメも放送中です。”おとさん”と小鳥が苦労しながら料理を作り、それを見ながら応援し、時にはお手伝いまでするつむぎ。その3人の様子にほっこり心が温まります。
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
愛娘のために奮闘する父、そんな父の料理をほおばる娘のかわいらしさ!
このマンガのみどころは、なんといっても、つむぎの食べる姿とおいしそうな料理の数々!!!
目の前のごはんにキラキラと目を輝かせ、口いっぱいにほおばるつむぎのほっぺは、おいしい料理でパンパンに膨らんでいます。これがめちゃめちゃ可愛いのです…
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
母を亡くしてからコンビニ弁当ばかり食べてきたつむぎが、出来立てのご飯の美味しさに感動する様子を見ていると、妻に先立たれて踏ん張ってきたシングルファーザーの”おとさん”の目からは涙が出そうになることも…
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
3人が取り組むレシピはどれもシンプルなものばかり。第1話はまさかの「土鍋でごはんを炊く」です!ごはんを炊くって果たして料理なのだろうか……。でも、日常で土鍋でごはんを炊くことなんてめったにない!逆に興味がわきますよね。出来たごはんは、湯気やツヤまで細かく描かれているので、おなかが鳴り始めてしまうかも……。他にも、「具だくさん豚汁」や「魚の3枚おろし」、「イカと里芋の煮物」など…自然と3人と一緒に料理の基礎を身に着けることができます。
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
私の父とは違い、レパートリーもたくさん!野菜もたくさん!なレシピが満載で、そんなところもとっても魅力的。
“おとさん”や小鳥が料理初心者なので、作り方もとても簡単にわかりやすく、マンガには1話ごとに作った料理のレシピが詳しく書かれているので、料理初心者な私にはとても助かります!
「マンガのレシピって実際に作りながら読むのは難しくて……」という方!ご安心ください。なんとアニメ化を記念して料理本、その名も「つむぎと作るおうちごはん」が発売されました!これで、料理初心者なんて言わせない!私も料理上手になってやるんだから!
……というわけで、この夏、冷房で心も体も冷え切ったみなさん、ぜひ心がじんわり温まる『甘々と稲妻』を読んで、”おとさん”やつむぎと一緒においしいご飯を作ってみるのはいかがでしょうか? 作ったごはんも誰かと食べればおいしさ倍増!え、誰もいない?そんな方はアニメ版を見ながら、3人と一緒に食べている気分を味わうのもアリですよ。
© 雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
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甘々と稲妻(1) (アフタヌーンコミックス)
雨隠ギド
妻を亡くし、ひとりで娘の子育てに奮戦する数学教師・犬塚。料理が苦手で小食で味オンチな彼は、ひょんなことから教え子・飯田小鳥と、一緒にごはんを作って娘と3人で食べることに!!
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