2017年夏アニメ化！明日の元気に変わる食事 手首から先だけの幽霊・るり子さんの絶品ごはん

明日の元気に変わる食事

食べてくれる人のことを考えて、ほんの少し手間暇をかける。隠し包丁を入れたり、丁寧にアクを抜いたり……そのひと手間を惜しまずに。味付けは、できるだけ優しく薄味に。温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま。

その日、私は久しぶりに1時間かけて夕食を準備した。
「いただきます」
手を合わせ、味噌汁に箸をつける。一口すすれば、しっかりとだしの旨味を感じた。
（うん、美味しい）
炊きたてのごはんと豚の生姜焼き、ほうれん草の胡麻和え、味噌汁……るり子さんのごはんのような豪華さは無いけれど、私なりに手間暇は掛けた。
それらを食べ終わるころには、いつものレトルトばかりの食事にはない満足感を感じつつ、「また明日頑張ろう」という気持ちになっていた。手間暇をかけた食事には、明日の元気に変わる「何か」が宿っているのかもしれない。

それからというもの、忙しい時ほど私は手間暇をかけて食事を作るようにしている。るり子さんのような献立にはできなくても、できるだけ手作りでしっかりとした食事を作るのだ。
食事の支度をしている時、いつも思い浮かべるのは妖怪アパートの食事風景である。誰もが笑顔で食事をし、明日への活力を補って自分の部屋に戻っていく。まさに理想の食卓のあり方だと思う。

私のごはんが誰かの元気に変われば良いな……そんなことを思いながら私は今日も「るり子さんのごはん」を目標に台所に立つ。